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竹林軒出張所

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『入院しちゃった うつウーマン』(本)

入院しちゃった うつウーマン
安部結貴著、大葉リビ作画
小学館

b0189364_945383.jpg 躁鬱病の治療のためにあえて精神科の閉鎖病棟に入った女性の、マンガ形式の体験記。
 精神病院の閉鎖病棟といえば、その昔『ルポ・精神病棟』という本で、どれだけ劣悪な環境でしかもひどい「治療」が行われているかが告発されていて、僕の中にはその印象がいまだに残っているが、時代が変わったのかあるいは単純に病院が違うせいか、この本で紹介されている閉鎖病棟は、人権蹂躙が平然と行われているというようなものではない。少なくとも患者を人間として扱っているという印象である。ただし患者にはやはりいろいろな制限があり、持ち物も自傷、他傷につながるようなものは禁止されている。シェーバーやカミソリを使う場合は、ナースステーションで借りて看護師の目の前で使うことになっているし、ライターも喫煙室に固定されている。もちろんタバコの本数も制限されている。また、人を助けてはいけないとか人にものをあげてはいけないなどといった制限もあるらしい。そのため、タバコやお菓子を患者同士でやりとりする場合は、病院スタッフの目を避けてこっそりと行うなど、犯罪であるかのようなスリリングな状況が生まれる。この辺は外の世界では考えられない部分で、体験者ならではという記述である。随所に未知の世界が紹介されており、花輪和一の『刑務所の中』みたいな目新しさ、面白さがちりばめられていて大変興味深かった。ただ絵が非常に稚拙である。原作者本人が描いたというならいざ知らず、「原作者と作画が別れていてこの絵か!」とツッコミを入れたくなるような絵であり、考えようによってはある意味大したものである。味があると言えば言えないこともない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『失踪日記2 アル中病棟(本)』

by chikurinken | 2012-06-02 09:46 |
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