空飛ぶゆうれい船
(1969年・東映動画)
演出:池田宏
原作:石森章太郎
脚本:辻真先、池田宏
声の出演:野沢雅子、田中明夫、里見京子、岡田由紀子、名古屋章、納谷悟郎(アニメーション)

1969年に「東映まんがまつり」(当時は夏休みと春休みに全国の劇場でこういう企画があった)で上映されたアニメ映画。子どもの頃、劇場に見に行った記憶がある。その後も、小学校の映画上映会(当時、年に1、2回こういうのがあって16mm映写機を使って講堂で上映した)などで見て、都合3回ほど見たと思うが、内容についてはほとんど忘れていた。ただ、映画の中に出てくる「ゴックリゴックリコンとボアジュース」というCMソングはなぜかよく憶えていた。しかし忘れていたというのも頷ける部分がある。というのも映画で使われているモチーフが少し高度というか、子どもには少々難しいようなところがある。たとえば、軍需産業(クロシオ・コンツェルン)が防衛機関を牛耳っているという状況で、武器や兵器を国に売り込むために、(自社製の)破壊ロボットを街に登場させて、それを戦車や戦闘機で迎撃させるというマッチポンプ式の商売が出てきたりする。大人になった今見ると、なかなか示唆に富んでいて面白いと思うが、子ども時代にどのくらい理解できたか怪しいところである。もちろんそれ以外の部分にも、メカやバトルなどの面白さが多分にあって、初めて見たときはかなり面白いと感じた記憶がある(だからこそ挿入歌も憶えているわけだが)。
全体のストーリーは割によくできていると思うが、ところどころ果たして必然性があるのかと思う箇所が割にあった。ボアジュースの効用(人を溶かす)をはじめとする細かいストーリー展開などがそれで、子ども向けということで安直に済ませたのかも知れないが、最後まで引っかかる部分が多かったのは事実である。興味深いストーリーだが、(映画やドラマに慣れた)大人が見ると少々もの足りないという印象である。
なお余談だが、冒頭のクレジットの原画(担当者)の項に宮崎駿の名前があった。それから、ボアジュースが人を溶かすというのは、当時コーラが人の骨を溶かすと言われていたことへの皮肉であるようにも感じられた。また、最後の展開は、映画『スター・ウォーズ』の最後の展開そのものである。『スター・ウォーズ』の方が作られたのが大分後だが、このネタをパクったかどうかについては僕は知らない。
★★★参考:
竹林軒出張所『ちびっ子レミと名犬カピ(映画)』