MEGAQUAKE(巨大地震)II(2012年・NHK)
第1回 いま日本の地下で何が起きているのか
第2回 津波はどこまで巨大化するか
NHK総合 NHKスペシャル

今回の東北太平洋沖地震をきっかけにさまざまな地震関連番組が作られているが、この『MEGAQUAKE II』は、あの震災で新たに判明したと思われる地震学の成果も盛り込んだ意欲作である。前シリーズの『MEGAQUAKE』は2010年に放送されたが、個人的にはあまり印象に残らなかった。しかし今回の放送(すでに第1回と第2回を放送済み)は、非常に示唆に富み、(僕にとっての)新事実も出てきて興味深かった。
第1回では、地震の原因としてアスペリティを紹介する。アスペリティというのは、プレート上の滑りにくい部分を指す。東北沖では太平洋プレートが北米プレートに潜り込んでいて、この潜り込み運動が少しずつ進行している。つまり東側の太平洋プレートが西側の北米プレートの下にあり、中の方に入り込んでいる。こういう状態で、北米プレートの下(つまり太平洋プレートと接する部分)で太平洋プレートの潜り込みがそのまま順調に進めば問題はないのだが、一部滑りにくい箇所があるらしく(これをアスペリティと呼ぶ)、そこの部分だけが下のプレートにくっついてしまい、ある程度くっついたまま進行してから、耐えられなくなると元の位置に戻る運動をするという。このときの反動運動が地震の原因になり、津波を発生させる。で、こういうアスペリティの部分が何カ所かあり、1つのアスペリティの回復運動が他のアスペリティに影響することがあって、そうするとアスペリティが連鎖反応し、結果的に地震の規模が大きくなるという。この番組では、今回の地震が巨大になったのもそれが原因ではないかと主張しており、それをアニメーションやモデルを使って懇切丁寧に説明していた。僕みたいなシロートから見ても大変わかりやすく、イメージが掴みやすかった。
第2回では、海中の震源が複数あって連動する場合について考察する。そしてその時間差によって、局所的な津波の大きさが変わってくるというのである。ある地域では時間差が数分のときに津波が最大になるが、別の地域では1時間あまりのときに津波が最大になる。このことを、各地域の土中にある過去の地震の痕跡を調べ、過去の震災の規模を割り出して証明していく。この仮説が正しければ、防災に置いて、さまざまな震源と時間差を考慮しなければならなくなるため、あらゆる種類の津波、震災について検討する必要が出てくる。結果的に津波や震災の予想や想定がきわめて難しくなるということになる。この第2回も具体的でわかりやすく内容が充実していて、さすがドキュメンタリーのNHKというような濃密な内容であった。このシリーズ、今後も続く予定だが期待が持てる(第3回は6月放送予定)。
★★★☆