鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)
(1957年・新東宝)
監督:石井輝男
原案:根岸伸介
脚本:宮川一郎
出演:宇津井健、池内淳子、中山昭二、岩下亮

1957年に新東宝で作成されたB級特撮映画。
当時、地球上で核実験がたびたび行われたことから、他の星に対する影響を危惧した他の星の代表がエメラルド彗星に集まって宇宙会議を開催する。その結果、地球人に核実験をやめさせるため、代表を地球に送り込むことになった。その代表こそが、われらがスーパージャイアンツ! 銃弾を跳ね返す鋼鉄のような身体を持ち、宇宙会議の総力を結集してつくられた腕時計の形をした地球時計(どう見ても50年代のチープな腕時計であるが)を駆使し、核兵器を使う地球の悪を退治する……というような話。
50年代に作られたSF映画に対しあれこれケチをつけるのは、当時と今とで技術レベルや学術レベルが違うことからあまりフェアでないと言えるが、しかしこの映画は安直にもほどがあると言える。1人なのにスーパージャイアンツなのはご愛嬌だとしても、普通の人間のサイズなのに巨人はおかしいだろと思う(この後大きくなるんだろうか……それとも讀賣と関係あるのか?)。セットは非常に安っぽく、宇宙会議もいかにもスタジオで撮りましたというようなもので、しかも円卓の片側がカメラのためにあけられている。テレビのバラエティ番組のようなセットである。またシナリオもそれに負けず劣らずスーパーご都合主義だ。飛行機の乗客がウランをカバンに入れて運んでいるんだが(これも危なすぎ)、空を飛んでいたスーパージャイアンツが地球時計のガイガーカウンターでそれを感知し発見するというのも随分いい加減な展開である。その後、スーパージャイアンツとこの運び屋の間でカバンをめぐって地上で乱闘が起こるが、それを見ていた子ども達がそのカバンを持っていくというのもまったく理解不能な展開である。もうちょっとストーリーをしっかり作らなければ、小さな子どもだって真面目に見てくれないよと思う。全般的に至極いい加減なSF映画で、作り手がこういった種類の映画をなめていたのではないかという気さえしてくる。なおこの映画は「スーパージャイアンツ」シリーズ(全7作)の第1作だが、なんと完結せず、途中ものすごく盛り上がる箇所で終わってしまい、『続鋼鉄の巨人』へと続く。テレビの連続ものじゃないんだからなと悪態の1つもつきたくなるところだ。もっとも第二作を見たいという気持ちも起きないが。
スーパージャイアンツに扮するのは怪優、宇津井健。当時はまだ怪優の片鱗はなく、端正な二枚目である。相手役は当時19歳の池内淳子で、後のような低音の魅力はまだなく、非常に初々しい。ウルトラセブンのキリヤマ隊長(中山昭二)も主役級で登場。ただし登場シーンは短い。
★☆参考:
竹林軒出張所『ウルトラセブン (1)〜(3)(ドラマ)』竹林軒出張所『ウルトラセブン (42)、(43)(ドラマ)』竹林軒出張所『総天然色ウルトラQ (15) 他(ドラマ)』竹林軒出張所『変身忍者 嵐 (1)、(2)(ドラマ)』竹林軒出張所『ジャイアントロボ (1)(ドラマ)』