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竹林軒出張所

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『旧ソ連 原子力潜水艦の末路』(ドキュメンタリー)

旧ソ連 原子力潜水艦の末路(2010年・独Context TV)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

『旧ソ連 原子力潜水艦の末路』(ドキュメンタリー)_b0189364_8455094.jpg 原発の解体が大変だという話は以前から耳にする上、かつてNHKのドキュメンタリーでも放送された(竹林軒出張所『原発解体(ドキュメンタリー)』参照)ので、ある程度実情はわかっている。だが原子力潜水艦の解体についてはあまり公にされていない。一体どうなっているのかというのは前から気になっていた。原発の原子炉同様、同じような困難さがつきまとうのではないかというのは容易に察しが付くが、実際どうなっているのかはまったく知らない。
 このドキュメンタリーでは、旧ソ連の原子力潜水艦が現在どういうふうになっているか、どのように処理されているかをレポートする。結論を言えば、原潜を輪切りにして原子炉の部分だけ取り出し、それを巨大な密閉容器に入れて、一箇所(コラ半島のサイダ湾)に集めておくというのがその回答である。放射能が減少する数十年後を待って解体処理するということらしいが、要は次の世代にやらせるというのが骨子のようだ。すでにロシアだけで200隻もの原潜がこの方法で処理されているらしく、処理が(とりあえず)進んでいるのは何よりだが、本質の部分については手も足も出ないというのが実情のようだ。
 番組では、米ソ冷戦時代に、核ミサイルを搭載した原潜が多数造られた事実やその背景などにも触れており、状況が非常にわかりやすかった。また、90年代に魚雷爆発事故を起こして沈没した原潜クルスクについても詳細に語られる。なお、クルスクの原子炉も現在サイダ湾に集められているという。
 テンポが非常によく、情報が一杯詰まった濃密なドキュメンタリーだったが、米国の古い原潜は今どうなっているのかという疑問が最後まで残る。続編として、是非米国の原潜事情についてのドキュメンタリーをやってほしいところだ。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『原発解体(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『原子力“バックエンド”最前線(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『核のゴミはどこへ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『終わらない悪夢 前編、後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『地下深く永遠に』(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『原子力“バックエンド”最前線(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2012-03-24 08:47 | ドキュメンタリー
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