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竹林軒出張所

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『原発労働現場 異常なし?』(ドキュメンタリー)

原発労働現場 異常なし?
(2009年・ベルギーCRESCENDO FILMS・仏ARTE France)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

『原発労働現場 異常なし?』(ドキュメンタリー)_b0189364_932962.jpg ヨーロッパの原発労働者に直接インタビューすることで、原発労働現場の状況を明らかにしようとするドキュメンタリー。
 現在、ヨーロッパの原発では次々と民営化が進んでおり、そのため安全性より利益を追求する傾向にあるという。これを受けて、下請け労働者の割合が大幅に増えており、あちこちの原発を渡り歩く「原発放浪者」と呼ばれる人々も多くなっている。これに伴い経験不足の労働者も増えているという。また一方で、定期検査もおざなりになっており、たとえ異常が見つかっても「異常なし」と報告するよう強要されるらしい(ある労働者の話より)。また、放射線障害と考えられる障害が発生しても、会社は責任逃れに終始する。どこかで聞いたことがある話ばかりで、土地は違ってもやることは同じということなんだろう。
 そのせいかどうかわからないが、2006年にスウェーデンの原発であわやメルトダウンという事故が起こっており、フランスでも重大な放射能漏れ事故が頻発しているという。いずれはヨーロッパでも大事故が起こりそうな、危うそうな雰囲気が漂ってくる。
『原発労働現場 異常なし?』(ドキュメンタリー)_b0189364_922122.jpg このドキュメンタリーは、さまざまな労働者へのインタビューをつなぐような構成であるためか、少し流れが捉えにくい部分もあった(このあたり、あるいは日本語訳が拙かったせいかも知れない)。それぞれの労働者の言い分と主張はよく理解できるが、製作者側がその段階で何を主張したいのかわかりにくく混乱する場面が多かった。とは言え、原発労働者の言い分が報道されることは一般的に少なく、一般の人は原発の労働現場についてもほとんど知らないわけで、そういう点でもこの番組の意義は高い。また原発内部の様子や原子炉直下での部品交換の様子など、ちょっと目にすることができない映像が出てきて、これも非常に貴重であった。
★★★☆
by chikurinken | 2012-03-10 09:04 | ドキュメンタリー
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