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竹林軒出張所

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『年賀状の戦後史』(本)

b0189364_97535.jpg年賀状の戦後史
内藤陽介著
角川Oneテーマ21

 郵便学者が戦後の年賀状について通史的に書いた本。読む前はまったく期待してなかったが意外に面白かった。やはりその筋のマニアの本は侮れない。
 年賀ハガキにお年玉くじが導入されたいきさつや、年賀切手の図案をめぐるエピソード(ときの郵政大臣の地元の民芸品が採用されるという一種の利益誘導)、年賀状と郵便料金値上げや全逓(全逓信労働組合)のストライキとの兼ね合いなど、まったく知らない話がさりげなく披露されている。またそれがすべて時系列で書かれているため、トリビア本みたいな「ね、すごいでしょ」というような押しつけがましさもなく、本当にさりげない。一部、年賀切手の図案に採用された民芸品の説明がくどすぎるように感じた箇所もあるにはあったが。
 マスコミや一般市民が切手の図案に対して不満を表明してそれが社会問題になったなどという話を聞くと、ホントにくだらないことでエネルギーを使っていたんだなと思う。また切手に記載する国名のローマ字表記を「NIPPON」にするか「NIHON」にするかという議論が巻き起こったというのもはなはだバカバカしいように思う(結局「NIPPON」になる)。テレビ番組の『時事放談』で、ある政治評論家が「ニホン」が正しいのであってこんなことを命じる首相が馬鹿だと発言したというのも、今思うとどっちが馬鹿だかわかりゃしないと思う。とは言え、それくらい国民にとって郵便切手が大きな関心事だったとも言えるわけで、隔世の思いを感じざるを得ない。ついでに言うと、1960年代の切手ブームのとき、記念切手を買うために学校をさぼる子どもが大量発生し社会問題になったという話も今回初めて知った。今振り返るとすごい時代であることよなあと思う。
★★★☆
by chikurinken | 2012-01-21 09:08 |
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