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竹林軒出張所

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『他人の顔』(映画)

b0189364_824857.jpg他人の顔(1966年・勅使河原プロ、東京映画)
監督:勅使河原宏
原作:安部公房
脚本:安部公房
音楽:武満徹
美術:磯崎新、山崎正夫
出演:仲代達矢、京マチ子、平幹二朗、岸田今日子、岡田英次、入江美樹、千秋実、市原悦子、井川比佐志、観世栄夫、前田美波里

 『おとし穴』『砂の女』に続く、勅使河原宏監督による安部公房作品の映画化。表現主義的な映像が独特の雰囲気を醸し出す。いかにも安部公房作品という不条理な世界が今となっては非常に新鮮で、勅使河原宏による映像化も雰囲気を損ねておらず、奇妙な世界が展開される。
 ただし安部公房が書いた脚本は、映画で聞き流すには少し小難しすぎるセリフが多く、少し気になるところではある。とは言え、劇映画の脚本としてもよくできており高いレベルにある。キャストも皆好演で隙がない(ま、うまい役者ばかり出ているんだが)。岸田今日子、岡田英次は『砂の女』の主演、井川比佐志は『おとし穴』の主演俳優で、こういった勅使河原映画の常連も登場する。また例によって能楽師の観世栄夫が出演していたが、今回は精神病患者の役どころで、異色のキャラ設定である。
 武満徹の音楽も少し不条理な味があって面白い。この武満徹だが、途中ビアホールのシーンでエキストラとして出ていた。他にも見たことのある顔がいくつかあったので、カメオ出演があったのかも知れない。一風変わった表現主義的な美術も特筆モノだったが、今確認すると磯崎新が担当していたようで、こちらも異色と言えば異色なスタッフである。
 映画の完成度は非常に高く、安部公房作品の魅力を十分伝えるもので、さすが勅使河原宏と思わせるものであった。
 なお、途中、二次的なエピソードで登場する美女、入江美樹は、指揮者、小澤征爾の奥方であり、俳優、小澤征悦の母上。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『おとし穴(映画)』
竹林軒出張所『砂の女(映画)』
竹林軒出張所『利休(映画)』
竹林軒出張所『豪姫(映画)』
竹林軒出張所『武満徹・音楽創造への旅(本)』

by chikurinken | 2012-01-05 08:24 | 映画
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