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竹林軒出張所

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2011年ベスト(映画、ドラマ編)

 今年も恒例のベストです。当然「僕が今年見た」という基準であるため、各作品が発表された年もまちまちで、他の人にとってはまったく何の意味もなさないかも知れません(というより無意味?)。ま、個人的な総括ですんで、そこんとこヨロシク……です。(『2011年ベスト(本、ドキュメンタリー編)』の続き)
(リンクはすべて過去の記事)

今年見た映画ベスト5
1. 『利休』
2. 『エンディングノート』
3. 『死の棘』
4. 『流れる』
5. 『南極料理人』
番外:『地下室のメロディー』

2011年ベスト(映画、ドラマ編)_b0189364_8352271.jpg 今年も昨年以上に仕事がヒマだったので、100本近く映画を見ていた。このブログに書くという目的で見たものも結構あるんで、自分の生活にとってこのブログが良いのか悪いのかにわかに判別できない面もある。それぞれの評はリンク先の記事に当たっていただくとして、簡単に補足を。
 まず『利休』であるが、あまりの完成度の高さと芸術性に感嘆したので、古い映画であるにもかかわらず「今年一番」に持ってきた。十分な時間を確保した上で、精神的に余裕を持って堪能したい逸品である。
 『エンディングノート』は先日公開されたばかりのドキュメンタリーだが、笑わせながらホロリとさせる好い映画である。しかも1人の市井の人間の人生をまるごとドキュメンタリーにパッケージするという試みも目新しい。主役の人間に対する愛情まで感じられて心持ちが良いのもこの映画の魅力であった。
 良い映画というのは一般的にがっしり作られた堅牢な印象を受けるが、『死の棘』もまさにそれで、小栗康平作品の中では出色である。内容は結構きついが、それを独特の映像的なユーモアを交えて描いていて、こういうのはなかなかできない技だ。「描ききる」という表現がピッタリ来るような完成度の高さにも惹かれる。
 『流れる』も古い映画で恐縮であるが、今まで少し距離を置いていた成瀬己喜男の魅力に気付かせてくれた作品である。古いタイプの置屋の崩壊を冷徹に描く手法にも感心するが、映像で表現される空間の見事さに当時の日本映画の実力を見た。キャストの豪華さも大きな魅力である。
 『南極料理人』は2年前の映画だが、昨今の日本映画の質の高さを体現するような作品で、乾いた笑いや空気感が心地良い。いつまでも身を置いていたくなるような気持ち良さがあった。
 ということですべて邦画になってしまったので、番外として、洋画の名作『地下室のメロディー』を取り上げようと思う。センスが良くて質が高く、さらに完成度も非常に高い、「いかにも映画的」なフランス映画であった。

今年見たドラマ・ベスト5
1. 『鳥帰る』
2. 『坂の上の雲』
3. 『フリーター、家を買う』
4. 『ハワイアン ウエディング・ソング』
5. 『胡桃の部屋』

2011年ベスト(映画、ドラマ編)_b0189364_8375880.jpg ヒットしたドラマ(『家政婦のミタ』)や一部で話題になったドラマ(『それでも、生きていく』)はそもそも見ていないので、このランキングには当然入っていない。いずれDVDで見るかも知れない。でも食指があまり動かないのも事実。これまでの経験からヒットドラマや話題のドラマは、センセーショナルなだけでつまらないもの、くだらないものがきわめて多い。ま、機会があったらということで。
 『鳥帰る』と『ハワイアン ウエディング・ソング』は、山田太一脚本の古いドラマである。山田太一作品は質が高いのでどうしても外せないところなんだが、かつての山田作品を上回るドラマがなかなか出てこないというのも問題ではある。『胡桃の部屋』にしても向田邦子作品のリメイクだし、いつまで経っても、今の日本のドラマのレベルはたかが知れているという印象しかないのだ。だから『家政婦のミタ』がどれだけ人気を集めたとしても見るまでもないんじゃないかとつい思ってしまう。しかも『妖怪人間ベム』や『怪物くん』までリメイクしてしまうような放送局の作品だし。
 『坂の上の雲』は、NHKが総力を挙げて作ったという意気込みが伝わってくるようなドラマであった。だが何度も繰り返すが、3年間に分けて放送するというのは絶対に賛成できない。これが恒例化しないことを願う。
 『フリーター、家を買う』は、素材(原作)が良かったことと、それをおそらく忠実にドラマ化したであろうことが功を奏したのではないかと思われる。主役の二宮和也があまりにもキャラクターにはまっていたのも特筆ものである。これも去年のドラマだったんだが、第1回を見逃していてそれを今年見たため、今年の「ベスト」に入れた。そういう意味でも全然即時性がないランキングになってしまった。反省しきりである。

参考:
竹林軒出張所『2011年ベスト(本、ドキュメンタリー編)』
竹林軒出張所『2009年ベスト』
竹林軒出張所『2010年ベスト』
竹林軒出張所『原発を知るための本、ドキュメンタリー2011年版』
竹林軒出張所『2012年ベスト』
竹林軒出張所『2013年ベスト』
竹林軒出張所『2014年ベスト』
竹林軒出張所『2015年ベスト』
竹林軒出張所『2016年ベスト』
竹林軒出張所『2017年ベスト』
竹林軒出張所『2018年ベスト』
竹林軒出張所『2019年ベスト』
竹林軒出張所『2020年ベスト』
竹林軒出張所『2021年ベスト』
竹林軒出張所『2022年ベスト』
竹林軒出張所『2023年ベスト』

by chikurinken | 2011-12-29 08:38 | ベスト
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