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竹林軒出張所

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『マンガでわかるエネルギーのしくみ』(本)

『マンガでわかるエネルギーのしくみ』(本)_b0189364_82368.jpgマンガでわかるエネルギーのしくみ
飯田哲也監修、二尋鴇彦、サイドランチ作画
池田書店

 あの震災以来、さすがに原発推進という論調は少なくなったが、でその代わりに何をエネルギー源に使うのかということになるとなかなか結論が見えにくいのが実際のところである。将来的に自然エネルギーが有望とはいえ、まだまだの感は依然としてつきまとう。当面のリリーフは天然ガスが担当ということになるんだろうが、これにしたところでLNGとなればやはり価格がネックのようで、実際は『脱原発。天然ガス発電へ』(竹林軒出張所『脱原発。天然ガス発電へ(本)』参照)で書かれていたとのはちょっと事情が異なるようだ。そうは言っても自然エネルギーについてはもう少し知っておきたいところで、特にヨーロッパの自然エネルギー事情については関心があるところ。というわけで、安直にこういう「学習マンガ」に頼ろうとしたというわけだ。
 さて本書は「マンガでわかる」というタイトルの本なんで、てっきり学習マンガ形式のエネルギー解説本だと思ったが、全編マンガ形式で描かれているわけではなく、説明的なマンガがちょっとだけ挿入されているというのがホントのところである。ちょっと羊頭狗肉。ほぼ見開き2ページに1トピック(項)が割り振られているという構成で、右ページに説明文、左ページに図やイラストが割り振られている。そういうわけで読みやすくなってはいるが、パンフレットみたいでもの足りない。中高生(およびエネルギー入門者)向け学習教材といった趣である。
 「電力とエネルギーのいま」、「現代の社会を支えるエネルギー」、「未来を担う自然エネルギー」、「どうやって自然エネルギーにシフトする?」、「自分たちでできる省エネ」の5章立ての構成で、それぞれの章に15程度の項が割り振られている。エネルギーの現状を探りながら、自然エネルギーの動向について紹介していくというわかりやすい構成である。震災後に出た本なので、もちろん原発は「今後無くなっていく過去の技術」という扱いである。監修が飯田哲也なので推して知るべしなのだが、とは言っても「原発ダメ!」というような完全ネガティブな評価ではなく、現実的にもう無理だろうというやや引いた見方である。そういう点も「一般の入門者向け」と感じさせる要因なんだな。
 内容は、あまり目新しい事実もなく、ヨーロッパの事情なんかもほとんどが統計データなので、あまり具体性もない。そういう点では至極もの足りない。エネルギー関係の全体像が掴めるような構成であるところから、やはり現状について広く浅く知りたい「一般の入門者向け」と考えるのが良いのかも知れない。
★★★
by chikurinken | 2011-11-11 08:02 |
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