タリバンに売られた娘
(2010年・NHK/スウェーデンNima Film)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー<シリーズ アフガニスタン紛争10年>

タイトル通り、タリバンの男に妻として売られた娘の話。この娘、サベレはあまりの暴力に耐えられず女性シェルターに逃げ込んだ。
アフガニスタンでは、娘を男に売るといういわば人身売買が今でも公然と行われているという。売買の対象であるがゆえ、どのような扱いをしてもあるいは殺してもかまわないというような発想が男の側にはあるらしい。サベレが嫁いだ男も、実は先妻2人を殺しているという。で、そういった危険な目にあう女性を救うための駆け込み寺みたいな施設もあり、NGOなんかが運営しているらしいんだが、そこに逃げ込むことでこういった女性たちは何とか一命をとりとめることができているというのが現状である。
やがてこのような女性は、一定の条件の下で親族に引き取られるんだが、サベレも母親とその夫(サベレの本当の父ではない)に引き取られる。だが、この父に至っても仕事がないため、生活は困窮を極めている。あげくに10歳の娘(サベレの妹に当たる)を、羊や土地と引き替えに嫁に出すことにした。要するに売ることにしたのだ。当初は、とりあえず婚約だけで16歳になってから嫁に出すことになっていたが、相手方が強引に迫ってきたために、結局すぐに(嫁として)売ることになった。しかも相手は、これまたタリバンの関係者らしく、不幸が繰り返されるのは目に見えているのだ。
大変重く、見ていてつらいドキュメンタリーであるが、タリバンが力を持つアフガンの状況というのはこういうものだというのがよくわかる。また貧困と人権蹂躙が表裏一体であることも理解できる。なんとかこういった現状が少しでも改善されることを望むしかない。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『アフガニスタンの少女、日本に生きる(本)』竹林軒出張所『わたしが明日殺されたら(本)』竹林軒出張所『祖国に幸せを(ドキュメンタリー)』