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竹林軒出張所

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色づくQ

b0189364_116023.jpg 日本で最初の空想特撮テレビ番組『ウルトラQ』。知ってる人は知ってるが知らない人はまったく知らない。当たり前だが。特に世代的なものが大きいようだ。
 僕が学生の頃『ウルトラQ』が深夜に再放送されることが決まって、先輩のウチに出向いて「ウルトラQを見る会」みたいなものを開いていたが、そういう話をいつものたまり場の学食でしていたところ、特に同年代の女性にとって「?」だったらしく、ましてや下の世代は関心を示さずという状態だった。あちらにとっては何を言ってんだか−−だろうが、こちらにとっても、近い世代で『ウルトラQ』を知らない人がいるということが逆に驚きだったりする。そのくらい、僕の心の中には『ウルトラQ』がくっきりと刷り込まれていたのだ!
 まあ思い入れはこれくらいにして、その『ウルトラQ』がカラー化されるという話を最近聞いたのだな。実際には前半の14話がすでに発売済み(『総天然色ウルトラQ』DVD-BOX I)で、残りも来年早々に発売されるという話(『総天然色ウルトラQ』 DVD-BOX II<最終巻>)。言ってみれば、今流行りのデジタル・リマスターの延長みたいなもので、元々のモノクロ画像に丁寧に色を付けていく作業を行うことになる。まさにウルトラCの技!(ちょっとベタですか……)
b0189364_1165442.jpg 今回の企画を担当した円谷プロの「ウルトラQ着色委員会」(以下、委員会)は、アメリカのLegend Films社(以下、Legend社)というところにこの作業を依頼したらしいが、このLegend社、すでにこれまで何十本ものアメリカ映画の着色を手がけており実績は十分である。しかも今回、Legend社側は最後のカラー化プロジェクトと位置付けているらしく(Legend社で中心になっている3D化作業に専念するようで)「それまでの技術の集大成として臨んで」いるという(『キャラクター大全 総天然色ウルトラQ 上巻』より)。うれしい限りではないか。
 モノクロ映画の着色化については、当然のことながらいつの時代も賛否両論あり、特に元になるモノクロ作品の映像がモノトーンならでは素晴らしいものである場合は反対意見が多いだろう。それも十分に頷けることだが、こと『ウルトラQ』については、個人的にはカラー化はかなり楽しみなのである。『ウルトラマン』以降の円谷作品がカラー版で作成されていることを考えると、当然その前の『ウルトラQ』にしても、製作者側は「カラーが可能ならカラーで」と考えていたのではないかと思う。だが『ウルトラマン』の時代、テレビもモノクロが普通で、『ウルトラQ』の時代はカラー放送自体が現実的ではなかったはずだ。『ウルトラマン』が放送された頃、画面の右下に「カラー」という文字が表示されていた(ちょっと前の「アナログ」みたいな感じで)くらいで、それくらいカラーで放送すること、カラーで見ることは珍しかったということだ。だから個人的には、きれいにカラー化できるんならカラー化したものもぜひ見てみたいと思う……切に。今回、委員会とLegend社の間で何度もやりとりを行い、テスト版の色合いなどについても繰り返し修正したという話(前出の『キャラクター大全』より)で、かなり期待が持てるんじゃないかと思うのだ。
b0189364_1172278.jpg で、昨日、何気なくBSで怪獣関連の(ちょっとおバカな)番組を見ていたら、出てきたんである、この『ウルトラQ』の着色版の映像が。何でもこの着色版は公共電波で放送されるのが初めてということらしい。「ガラタマ」の回が紹介されており、色付きのガラモンがガラタマから現れてダムを破壊するというシーンだが、色が付いていることにまったく違和感がないのがちょっと驚きであった。色合いは『ウルトラマン』の色合いに似ている気がしたが、おそらくLegend社にサンプル資料として『ウルトラマン』を含む映像が渡されたんだろうと思う。ちなみにガラモンは『ウルトラマン』にもピグモンとして出てくるし、色はそこから再現できたんじゃないかと思う。前出の本によると、やはりすでに存在しない怪獣(の着ぐるみ)も多く、元々どういう色だったかすらわからなくなっているものもあるという(モノクロの記録しか残っていないため)。そのため資料収集の段階から相当な労力が必要だったようで、そういう点でもかなりの労作と言えるんじゃないだろうか。まだ「ガラタマ」の回のごく一部しか見ていないので何とも言えないが、他の回もいずれは見てみたいと思う。前出の本には、カラー化した映像の写真がふんだんに載っていてある程度予想できるが、色自体の違和感はないにしても特撮独特の違和感(カラー、モノクロ関係なく)が少し顕在化しているような、そんな印象はある。このあたりは実際に動いている映像を見てみないと本当のところはわからない。また本に掲載されている写真では、一の谷博士(江川宇礼雄)の血色がやけに良いのも注目に値する。

 なんてことを書きながら、そう言えばYouTubeがあったじゃないかと思い立ち、調べてみるとやはりいくつかあった。『「総天然色ウルトラQ カラー怪獣図鑑」特別公開!』『総天然色ウルトラQの魅力!』あたりが充実しているようだが、特に後者は、いくつかのエピソードの開始部分が収録されているため、実際の映像の一部を目の当たりにすることができる。
 印象としては、怪獣や風景の描写はともかく、人の顔が少しのっぺりしているのが気にかかる。ドーラン塗りすぎという印象である。それからペギラの回で血が黒かったのも気になる。モノクロでは黒になっているため、新たに(透明色の)赤を重ねるのが難しかったのかも知れない。とは言え、全体としてよくできているという印象で、本物の映像を見てみたいという思いは余計強くなったのだった。

参考:
竹林軒出張所『総天然色ウルトラQ (15) 他(ドラマ)』
Wikipedia「映画の着色化」

by chikurinken | 2011-10-14 11:09 | 映像
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