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竹林軒出張所

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『阿修羅のごとく』(映画)

阿修羅のごとく(2003年・東宝)
監督:森田芳光
原作:向田邦子
脚本:筒井ともみ
出演:大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子、小林薫、中村獅童、八千草薫、仲代達矢、RIKIYA、桃井かおり、坂東三津五郎、木村佳乃、紺野美沙子

b0189364_82223100.jpg 70年代にNHKで放送された向田邦子のドラマを映画にアレンジしたもの。
 監督の森田芳光は好きな作家の一人だが、しかしこの映画についてはあまり良い印象を持たなかった。嫌いなわけではないんだが、あまり面白味を感じない。70年代のホームドラマというのはこんなにつまらなかったかなというような印象である。
 前にNHKで放送されたテレビ版の『阿修羅のごとく』は、リアルタイムではタイトルバック以外見ていない(タイトルバックに流れる音楽が非常に印象的だったのでここだけ見ていた)が、今から10年ほど前に再放送で全部見た。だが、内容はほとんど憶えていなかった。あまり印象がないんだな。ということで、おそらく原作自体がつまらないんだろうと結論付けることにする。
 老夫婦と四姉妹の家族で、父親の浮気が子ども達に発覚して、それが元で騒動が起こるというストーリーで、なんだかこの間NHKで放送された向田ドラマ『胡桃の部屋』にそっくりである(竹林軒出張所『胡桃の部屋(1)〜(3)(ドラマ)』参照)。『胡桃の部屋』の最初の放送が82年ということなので、さては阿修羅を焼き直ししたな、向田邦子!ということになる。ストーリーだけでなくキャラクター設定もかなり似ており、最初の『阿修羅のごとく』と最初の『胡桃の部屋』では主演も「いしだあゆみ」で共通している。テーマは若干違うが、それにしても他人がこういった作品を作ったらパクリの汚名を着せられるであろうことは間違いない。
 さて映画版であるが、向田作品に共通で、料理や食べるシーンが大量に出てくる。舞台は昭和54年前後で、元のテレビ版と同じ設定になっている。そのため電話の音がけたたましく、しかも何度も何度もいろいろなシーンで電話が鳴るのでうるさいったらない。当時の電話って家の中でこんなに威張り散らしていたのかと思うほどだ。そういうわけで料理と電話の音だけが妙に印象に残ったのだった。
 演出はありきたりでさして面白味もなかったが、キャストはやけに豪華である。長澤まさみも脇役で出ていた。あまりに脇役なんで、最後まで出ていたことに気が付かなかったほどだ。うまい俳優が多く出ているのに、どれも退屈な演技しかできていないのは残念で、主役の四姉妹もなんだかパッとしない。キャストで面白かったのは、中村獅童、桃井かおり、木村佳乃ぐらいか。
 ただキャスティングは凝っていて、テレビ版で次女を演じていた八千草薫が母役を演じる他、長女を演じていた加藤治子がナレーションで少しだけ登場する。先日のNHKの『胡桃の部屋』でも似たようなキャスティング(竹下景子)をしていたが、この映画の真似だったんだろうか。なんだかあのドラマのメッキがいろいろと剥がれてきたような思いがする。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『森田芳光の映画、3本』
竹林軒出張所『武士の家計簿(映画)』
竹林軒出張所『断定する人』
竹林軒出張所『39 刑法第三十九条(映画)』
by chikurinken | 2011-10-12 08:23 | 映画
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