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竹林軒出張所

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『カルメン故郷に帰る』(映画)

『カルメン故郷に帰る』(映画)_b0189364_19112572.jpgカルメン故郷に帰る(1951年・松竹)
監督:木下恵介
脚本:木下恵介
出演:高峰秀子、小林トシ子、坂本武、佐野周二、笠智衆、佐田啓二

 日本初の総天然色映画。
 カラーの発色は、この時代のものにしては非常に良い。それに浅間山の雄大さが非常にうまく表現されている。何でも制作側は赤と緑の発色が気に入らなかったらしいが、少なくともDVD版を見る限りまったく問題がない。むしろ赤の発色が良いと感じたほど。僕の視覚に問題があるのか、それともDVD化するにあたりリマスターでもしてるのか。ともかく色はきれいである。
 ストリッパーが故郷に錦を飾るという発想と「カルメン故郷に帰る」というタイトルが非常に秀逸と前々から思っていたんだが、プロット自体は緊迫感が乏しく、とってつけたような展開で、しかもストーリー自体とてもぬるさを感じる。そういうわけで、期待に反してガッカリな結果であった、僕にとっては。
 それから高峰秀子が演じたストリッパーの役は、少し頭が弱い設定らしいが、まったく頭が弱いように見えない。まあそれならそれでも良いんだが、なんとなく消化不良な印象を受ける。全体を通じてそういうところがあり、この映画、「消化不良」という言葉が一番ピッタリ来るような気がする。
 実は今回、見るのは2回目だったんだが、これもというべきか、内容をまったく憶えていなかった。だがこの「消化不良さ加減」に思いを馳せるならば、印象の薄さは致し方ないところで、今回も印象に残ったのは雄大な浅間山と美しい自然くらいのものだった(牧場のシーンで、登場人物が、空と沸き立つ雲を背景にした部分があったが、それはそれは素晴らしいカットであった)。
★★★

参考:
竹林軒出張所『わたしの渡世日記 (下)(本)』
竹林軒出張所『浮雲(映画)』
竹林軒出張所『稲妻(映画)』
竹林軒出張所『流れる(映画)』
竹林軒出張所『乱れる(映画)』
竹林軒出張所『めし』(映画)
竹林軒出張所『無法松の一生(映画)』
竹林軒出張所『女の園(映画)』
竹林軒出張所『雁(映画)』
by chikurinken | 2011-09-19 19:12 | 映画
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