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竹林軒出張所

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『胡桃の部屋』(1)〜(3)(ドラマ)

胡桃の部屋(2011年・NHK)
演出:渡邊良雄、一木正恵
原作:向田邦子
脚本:篠﨑絵里子
出演:松下奈緒、竹下景子、原田泰造、西田尚美、蟹江敬三、井川遥、臼田あさ美、瀬戸康史

b0189364_858421.jpg 向田邦子原作のドラマで、今回が3回目のドラマ化だそうな。ちなみに2回目の主演は竹下景子で、今回はその竹下景子が母役として出演している。こういう遊びの要素が入ったキャスティングは、『新・細うで繁盛記』(2006年にフジテレビで放送)でも見られたが、結構好きである。
 端から見ると至極幸せな家族(両親ときょうだい4人)が、父の失踪をきっかけにどんどん変な方向に進んでいくというホームドラマで、向田邦子らしいネタである。食事のシーン、料理のシーンがやけに多いのも、向田作品らしいと言える。失踪した父は、飲み屋の女性の元に身を寄せており、家の中では厳格で一切家事をしなかったような父が、そこでは女の洗濯物を取り込んだりする。このあたりのエピソードは以前何かで見たことがあるが、元が何か思い出せない。もしかしてかつての『胡桃の部屋』を見たのかも……と思ったが、見た記憶はまったくない。向田ドラマは、一般的にストーリーのドラマではないため、ディテール以外忘れていることが割に多いのだな。さて、その父の同棲をきっかけに、それまで家のことを切り盛りしてきた母が少しずつおかしくなる。少しずつ歯車が狂ってきた家の中で、主人公の次女(松下奈緒)が必至に家を支えようとする。このあたりが(1)と(2)で、正直ちょっともの足りない。
 それが(3)あたりから思わぬ展開(と言ってもおおむね予想の範囲内であるが)になってくる。他家に嫁いでいた長女(井川遥:ここも一見きわめて平和そうな家庭)の夫が不倫していることがわかる。一方で、家を支えようとしていた主人公の次女も、精神的に参ってきて、妻子ある男(原田泰造)と恋仲になる。つまり家の破滅の元凶になった「不倫」が、他の家族メンバーにも別の形で飛び火するという展開になってくる。しかも主人公は、家族を破壊する立場の不倫相手という立ち位置になる。このあたり皮肉がきいていてなかなか面白い。ただし、父のケースと主人公のケースは、(3)話の時点ではまだ「不倫」になっておらず、長女のケースも「不倫」はまだ明るみになっていない。だからもしかしたら最後までそういうことはないのかも知れない。それはわからない。
 まあそういった、平穏な家庭に巻き起こるちょっとした波乱で、他のドラマに見られるようなセンセーショナルな要素はあまりない。まさに「ホームドラマ」であるが、まあでもそういう小さな波風でも、身近なところで起こればそれは重大事で、こういったドラマはまさにそこらあたりを狙っているのであって、身近な要素として感じさせるのがこういったドラマの力量である。いかにも70年代のドラマのテーマという感じでもある。ちなみに舞台設定も70年代のようで、画面に映る家の中の調度が非常に懐かしい。家具調テレビなんか実に良い味を出している。
 大変地味なドラマで、第(1)回から第(3)回まではあまり視聴率がとれていないようだ。たしかに(1)と(2)は退屈だったからしようがないが、これからもう一波乱ありそう(たぶんあるだろう)で楽しみではある。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『あ・うん (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』

by chikurinken | 2011-08-16 08:58 | ドラマ
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