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竹林軒出張所

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『慢性拳闘症』(本)

慢性拳闘症
香川照之著
講談社

b0189364_843845.jpg 昨年公開された実写映画『あしたのジョー』で丹下段平を演じた香川照之による『あしたのジョー』撮影日誌。
 幼い頃からボクシング・マニア(自称「拳キチ」)であったという著者が、実写版の『あしたのジョー』にいかに本物のボクシングを持ち込むか、そしていかに自らの役作りに昇華させていくか、他の役者を煽っていったかが日記形式で綴られる。リアルさを実現するために、あちこちのシーンに積極的に介入していったらしく、監督も少々辟易したんじゃないかと思う(何となく空気が伝わってくる)。
 楽しく読めるが、そこはやはり日記。映画版『あしたのジョー』を見ていればまた思い入れも違うのかも知れない。とは言え、充実した現場の空気やエネルギーは伝わってきて、撮影現場疑似体験的な楽しみ方ができるのも確か。文章は非常にうまい。
 パーティの席で辰吉丈一郎に「今度、段平やるんだよ」と打ち明けたときに、酩酊した佐藤浩市と豊川悦司が割って入ってきて、「歯を抜け」だの「頭を剃れ」だの「白木のお嬢様は誰がやるんだ」だの、あれこれ絡んできたというエピソードが非常に面白かった。あの世代には『あしたのジョー』に対する特別な思い入れがあるってことらしい。
 僕はと言えば、彼らとも世代的には近いが、『あしたのジョー』は子どもの頃からアニメもマンガも一切見ていないので、まったく思い入れがないのだな。映画についてもちょっと見てみたい気もするが、それはあくまでもこの本を読んだせいであって、これを読んでいなければまったく興味がわかなかったと思う。おそらく、同じ監督の『ピンポン』みたいな映画になっているのではないかな……となんとなく思っている。
★★★

参考:
映画『あしたのジョー』公式サイト
竹林軒出張所『ボクサー(映画)』

by chikurinken | 2011-06-06 08:45 |
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