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竹林軒出張所

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『金環蝕』(映画)

金環蝕(1975年・大映)
監督:山本薩夫
原作:石川達三
脚本:田坂啓
出演:仲代達矢、三國連太郎、宇野重吉、京マチ子、高橋悦史、中村玉緒、山本学、神山繁、内藤武敏、中谷一郎、安田道代

b0189364_8414646.jpg 金にまみれた政界の汚さを暴きたてる映画。監督の山本薩夫は、前年に財界の堕落を扱った『華麗なる一族』、翌年にロッキード事件の『不毛地帯』を撮っていて、この頃、政財界の汚濁を追求する作品を連発している。
 原作は石川達三で、「まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真っ黒に腐っている」ということからタイトルが「金環蝕」。九頭竜ダムに関連する贈収賄事件がモデルになっているらしい。そのため、実在の人物をモデルにした人々も多数出てきて、池田勇人、田中角栄、大平正芳は特定できた(風貌が似ていたため。大平正芳はアーウー言うてました)。
 実際の事件も、映画と同じような展開だったようで、死者や逮捕者も出たという(Wikipediaで調べてわかった)。映画のストーリーは、今見るとなかなか凝っていて、話として実によくできているので、たぶんどこかにモデルの事件があったんだろうと思いながら見ていた。ところが実際は、モデルどころじゃなくてほとんど実話と来ている(もちろん作者の推測も入っているようだが)。「事実は小説よりも奇なり」ということなんだろう。それにしても、よくもまあこんなに汚い世界があったよなと思う。今は当時に比べると、大分ましになったような印象すら受ける。公開当時は、見る人もこれが実話に基づいていることを意識して見ていたんだろうかと思う。一般公開する映画であることを考えると、そういう点、なかなか意欲的である。
 山本薩夫映画の常として、豪華キャストで、重厚かつ骨太な内容であった。同時にサスペンスの要素を持ったエンタテイメントとして見ることもできる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『華麗なる一族(映画)』
竹林軒出張所『不毛地帯(映画)』
竹林軒出張所『真空地帯(映画)』
竹林軒出張所『氷点(映画)』
by chikurinken | 2011-06-03 08:43 | 映画
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