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竹林軒出張所

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デジタル・リマスターでよみがえった『東京物語』

b0189364_145652.jpg 昨日、かねてより楽しみにしていた『東京物語 デジタル・リマスター版』を見た。
 前に書いたように(竹林軒出張所『デジタル・リマスターでよみがえる名作(ドキュメンタリー)』)、画像のノイズ、音声のノイズ、画像のブレが修正され、これ以上ないほどのクオリティになっていた。果たして製作当時にこれだけのクオリティがあったかどうかは定かではないが、「再現」された『東京物語』、それはそれは素晴らしい映像!の一言に尽きる。なんと言っても風景映像が美しい。熱海の海の輝きや尾道の山の緑(モノクロだが)がこんなに美しく表現されていたのかとあらためて納得。モノクロ映像であるため、夏の朝の雰囲気などはなかなか伝わってこないが、色を付けられさえすれば、製作者側はおそらく季節感の表現なども取り入れようとしたのではないかと思う。それくらい素晴らしい映像である。まさしく修復された美術作品のようで、桐箱に入れておきたくなるような素晴らしいデキであった。
 修復のせいかわからないが、作品自体にもこれまでにないほど感じるところがあった。この作品はこれまで劇場で2回、ビデオで数回見ているが、「身に沁み」具合は今回がピカ一。セリフもよく練られていて、演出が巧みであることも今回あらためて納得。カットのつなぎにまでうならされる。こういう部分に気付いたのは映像がきれいになったせいかも知れない。あるいは自身の年齢のせいかも知れない。
 ただし、終いの方の紀子さん(原節子)のセリフと演出はやはり引っかかる。ちょっとくさすぎというか理想化しすぎというか……。それほど監督の紀子への思い入れが強かったということなんだろうが、何度見てもここだけは受け入れがたい。
 とはいうものの、これまで『東京物語』に対してはそれほど思い入れのなかった僕でさえ、今回の『リマスター版 東京物語』についてはいたく感銘を受けた。イマジカは素晴らしい仕事をしたなと思った。

 今回『リマスター版 新・平家物語』(オランダ・ハーゲフィルムによるリマスター)も見たが、こちらは動きがある部分で画面にちらつきが出ているようで、総じて良いデキではあった(特に色の再現)が、どうしても細かい部分が気になった。他にもNHK大河ドラマなどもアメリカの企業にリマスターを発注したようだが、ピントが甘くなっていたりして、あまり良い修復とは言えない気がする。やはり「リマスターのことはイマジカに頼め」ということなのか……。

参考:
竹林軒出張所『デジタル・リマスターでよみがえる名作(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2011-05-05 12:28 | 映画
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