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竹林軒出張所

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『死の棘』(映画)

死の棘(1990年・松竹)
監督:小栗康平
原作:島尾敏雄
脚本:小栗康平
出演:松坂慶子、岸部一徳、木内みどり、松村武典、近森有莉

b0189364_818951.jpg 島尾敏雄の私小説を映画化したもの。
 序盤は淡々とした展開で、どこかとぼけたユーモアが漂っていて、それだけでもなかなか面白かったんだが、これがだんだんエスカレートしていき、途中からホラー映画みたいな迫力になった。
 特に前半は、小津安二郎ばりの穏やかかつ端正な絵作りで、小栗康平の力量を見せつけてくれる。もちろん後半でも、激しい展開になりはするが、エレガンスは失わない。イメージ・ショットなども詩的で非常にグレードが高いと思った。
 だがやはり、何といっても主演2人(松坂慶子、岸部一徳)の好演が光る。松坂慶子については、絶叫芝居が多いこともあり、これまであまりうまい役者だと思っていなかったが、この映画では、不安定な揺れ動く心情をノーメイク(たぶん)で演じきり、すごみを見せた。一方の岸部一徳は、例のごとく淡々と演じており、特にこの映画では平板な台詞回しが多かったが、それも大いに効果を上げている。小栗康平の実力がいかんなく発揮された映画で、彼の最高傑作と言っても過言ではない。すばらしい。
カンヌ映画祭「グランプリ・カンヌ1990」、国際批評家連盟賞受賞

★★★★

参考:
竹林軒出張所『伽倻子のために(映画)』
竹林軒出張所『眠る男(映画)』
by chikurinken | 2011-03-21 08:19 | 映画
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