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竹林軒出張所

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『スラムのオーケストラ』(ドキュメンタリー)

スラムのオーケストラ 〜ベネズエラ〜(2009年・伊 Verve Media Company)
NHK-BS1

b0189364_19424243.jpg ベネズエラには、子ども達に対してクラシック音楽(演奏)の教育を施すというプログラム(エル・システマ)がある。スラムの子ども達に対しても同じプログラムが展開されており、希望をなくしがちなかれらを音楽で元気づけ、かれらの生きる糧にしようという運動が進められている。
 このドキュメンタリーでは、首都カラカスのとあるスラム街でのエル・システマの現状を取り上げ、そこに参加するスラムの子ども達を追うことで、このプログラムを紹介すると同時に、あわせてスラム周辺の問題もあぶり出す。番組では、参加している何人かの子ども達にスポットを当てて、かれらの軌跡を約2年追いかけていく。途中で顔を見せなくなった子どもや、軍に入隊してこのプログラムから離れながらも音楽に関わりたいと願う少年など、さまざまなケースがあぶり出される。後者の少年(少年といっても最終的には19歳の姿が映し出されるが)の場合、薬物におぼれたりギャングに銃撃されたりする兄弟たちがいて、まさにこれがスラムに住むかれらのリアルな現状なのだろうが、彼だけが唯一まっとうな道を歩んでいるように見える。そしてその彼にとって、正しい道を進む上で音楽が支えになっているのだな、ということが見ていてよくわかるのである。ちなみに彼は軍を除隊してから、その希望通り、教える側としてこのプログラムに戻ってくる。
 また中には、スラムで育ちながら、ヴァイオリンですばらしい才能を発揮している少女もいて、彼女は、エル・システマのトップ・オーケストラであるシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ(プログラム参加者たちの憧れだという)に入団が認められることになる。ソロをとることもあるようで(最後の映像から)、指揮者のクラウディオ・アバドも彼女を絶賛していた。将来愉しみな逸材かも知れない。
 音楽が人の支えとなり、社会システムを補完していくという試みの有効性が示された番組で、「いやー音楽ってホントに良いもんですね」と言いたくなるようなドキュメンタリーだった。
★★★☆
by chikurinken | 2011-03-05 19:43 | ドキュメンタリー
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