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竹林軒出張所

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『夜』(映画)

(1961年・伊仏)
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ、エンニオ・フライアーノ、トニーノ・グエッラ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、ジャンヌ・モロー、モニカ・ヴィッティ、ベルンハルト・ヴィッキ

『夜』(映画)_b0189364_17173224.jpg ミケランジェロ・アントニオーニの「愛の不毛」三部作(四部作?、五部作?)の1本。
 多分にアントニオーニの私生活を反映した私小説的映画である。タイトルの『La Notte』は「夜」には違いないがニュアンスとしては「その夜」に近いのではないかと思う。ある日の昼間から翌朝までの、とある夫婦の足取りをたどった話で、ストーリーに直接関係ない映像が随所に流れる。映画的つまり説明的な映像ではなく、日記的な感覚で時間経過が表現されていると言える。また象徴的なカットもいくつかあるが、その意味も、またストーリーと関係あるかどうかも実のところ見ていてよくわからない。
 テーマは夫婦間の愛についてで、非常に今日的な問題でもある。夫(マルチェロ・マストロヤンニ)が惹かれる美女を、当時アントニオーニの愛人でもあったモニカ・ヴィッティが演じており、かつて妻(ジャンヌ・モロー)を愛した病気の男を演じるのが、映画監督としても名高いベルンハルト・ヴィッキである。キャスティングも非常に凝ったものになっている。
 テーマやストーリーはなかなか面白いが、いかんせん、本当に(一見)無駄な映像が多く、前半部分はかなり退屈して疲れる。だがこれを、当時の風俗を表した映像であり、しかも時間経過や登場人物の心情を巧みに表現しているものとして捉えられれば退屈しないかも知れない。映像自体はモノクロで詩的であった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『甘い生活(映画)』
竹林軒出張所『天使の入江(映画)』
竹林軒出張所『雨のしのび逢い(映画)』
竹林軒出張所『死刑台のエレベーター(映画)』

by chikurinken | 2011-02-14 17:18 | 映画
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