私は屈しない 特捜検察と戦った女性官僚と家族の465日
(2011年・TBS)
演出:大岡進
原作:江川紹子
脚本:上杉隆之
出演:田中美佐子、益岡徹、六角精児、金田明夫、伊東四朗
障害者郵便制度悪用事件(いわゆる村木事件)をモデルにしたドラマ。
この事件で逮捕されながらも結果的に無罪判決を受けた、当時雇用均等・児童家庭局長の村木厚子氏は田中美佐子が演じているが、田中美佐子演じる村木氏は雰囲気が出ていて非常に良かった。ドラマでは村木事件の全容がうまくまとめられており、しかも日本の冤罪の構図がわかりやすく表現されていて、好感の持てる作品に仕上がっている。ただし、題材はともかく、ドラマとして見ると、説明的なセリフ(うまくまとめられてはいるが)や泣かせるような演出があちこちに見受けられ、ちょっと物足りなさも残る。
このドラマが放送されたのは、『TBS月曜ゴールデン』という枠である。このシリーズは1回も見たことがなかったのでわからなかったが、どうやら『火曜サスペンス』のTBS版みたいな番組なのではないかと、次回以降の予告を見て感じた。そういうこともあるのか、次回の放送(内田康夫原作のドラマ)でも同じような役者(六角精児、金田明夫など)が出演するらしい。今どきのサスペンスドラマ・シリーズらしく何とも安直な空気が伝わってくるが、このドラマについては、冤罪の問題をわかりやすく伝えようという意気が伝わってきて、このシリーズ内の作品としては優れものなんじゃないかと思う。素人っぽい出演者もいたが(裁判官や弁護士)、関係者の特別出演でもあったんだろうかと何となく思った。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『闘い続けた郵便局長たち(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『約束 名張毒ぶどう酒事件(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『正義の行方(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『時間が止まった私(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ふたりの死刑囚(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ガラス細工の家 (1)〜(7)(ドラマ)』