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竹林軒出張所

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キックの鬼

b0189364_1642527.jpg 『昭和子どもブーム』を読んで以来、昭和レトロにはまっている僕であるが、もちろん昭和レトロといっても子どもの頃ほぼ体験していることばかりなので、レトロ感覚を味わうというよりも懐かしさに浸るという感覚である。
 そういう僕が最近図書館で借りてきた本が『ザ・テレビ欄 1954〜1974』『ザ・テレビ欄 1975〜1990』で、この本には、1954年から1990年までのテレビ番組表(新聞のテレビ欄)が半年ごとに1週間分ずつ掲載されている。つまり半年単位で、どのようなテレビ番組が1週間放送されたか確認できるようになっている。ほとんど元々の新聞からコピーしてきただけのような本(若干のコメントが付加されているが)で、それこそほとんどの人には役に立たない本だが、僕はこの本をペラペラめくりながら非常に感動したのである。テレビっ子だった僕にとって、これはまさに子ども時代を甦らせてくれるツールである。その当時のいろいろなこと(生活や環境)が思い出されて、大げさに言えば涙が出そうなほどであった。
 ま、それでTBS系列月曜日19:00から放送されていた『キックボクシング』という番組に目を留めたんだが、1974年10月14日放送分が「富山勝治対ビラチャイ・ホーマチャイ」というタイトルになっていた。富山勝治はともかく、ビラチャイ・ホーマチャイという名前はまったく記憶がなかったが、その連想で突然「ルンロード・ホーマチャイ」という名前を思い出した。確かルンロード・ホーマチャイという名前のムエタイ選手がいたよなとふと思い出し、ネットで調べてみると、案の定、沢村忠と対戦していた。やはり記憶違いなどではなく、実在していたのだった。ずっと頭の表部分から消えていたにもかかわらず、番組表を見て甦った記憶である。つまり深層心理の部分(脳内の海馬領域の奥の方か?)に残っていた記憶ということになろうか。
 さて、このTBSのテレビ番組『キックボクシング』であるが、『ザ・テレビ欄』の記述によると1968年10月から月曜19:00に登場しており、78年10月が最後になっている。ということは79年3月までの放送か。事実79年4月からは『クイズ100人に聞きました』に替わっている(今Wikipediaで調べたところ「1968年9月30日から1979年3月26日まで」ということである)。この番組を牽引したのは、「キックの鬼」沢村忠であり、沢村忠については、彼をモデルにしたアニメ(『キックの鬼』)まで登場し、当時の子ども達にとっては非常に馴染みのある人であった。
 当時、沢村忠と言えば、とにかくやたら強く、放送ではめったに負けることがなく、今考えると格闘技の世界ではありえないことのようにも思えるのだが、実際に非常に強かったらしい。しかも毎週のように試合をさせられていたというのだから恐れ入る。もちろん毎週キックボクシングの試合をやるとなると、強い相手とばかりやっているわけにもいかず、そのあたりはマッチメークが巧みだったらしいが、それでも手強い相手にも勝ち続けていたらしく、やはり相当な実力者だったと逆に今になって思う。その沢村選手であるが、非常に記憶に残っているのが、チューチャイ・ルークパンチャマという強い選手にボコボコにされ、KOされてのびてしまった試合である。それからしばらくして沢村選手が失踪したらしいが(僕の周辺でも沢村が精神病院に入ったとかいろいろな噂が流れていた)、そういうこともあり、このチューチャイという名前と共に、件の試合は鮮明に覚えているのだった。
b0189364_1675025.jpg で、ちょっとこのあたりの事情もネットでいろいろ調べてみたんだが、沢村選手がチューチャイ選手に負けたとき、すでに引退を希望して数年経っていたところで(沢村本人がすでに限界を感じていたらしい)、しかも相手は階級が上(沢村がライト級、チューチャイがウェルター級)だったということで、ちょっと無理なマッチメークであったらしい。しかも毎週のように試合があって満身創痍だったようで、そういうことを考え合わせると、「キックボクシング」という興行自体が、沢村選手にちょっと依存しすぎだったんじゃないかと思う。だが一方で沢村選手が選手生活の最後の方にリングに這いつくばるようにして朽ちていった(少なくとも僕はそういう印象を持った)というのは、格闘家の生き様を見せつけてくれたとも考えられるのではないか、今にして思えば。彼がリング上で息絶え絶えになっていたのは、当時子どもだった僕にとってはちょっとショッキングではあったが。(「失踪」云々についてだが、2年後再び沢村選手がプロモーターのもとに現れたそうで(脳の障害などの)噂はすべてデタラメであることが判明した。なかなか引退させてもらえなかったので実力行使に踏み切ったんじゃないだろうか。沢村さん、現在もお元気なようだ)
 何でもこのあたりの事情を紹介している本もあるようだ(『真空飛び膝蹴りの真実―“キックの鬼”沢村忠伝説』)。そのうち読んでみようと思っている。それから当時の彼の試合も今の視点で見てみたいという気もする。DVDも出ているようで、こちらも機会があれば是非という感じである。

参考:
竹林軒出張所『昭和ちびっこ広告手帳(本)』
竹林軒出張所『昭和子どもブーム(本)』
竹林軒出張所『ぼくらの60〜70年代宝箱(本)』
竹林軒出張所『真空飛び膝蹴りの真実 “キックの鬼”沢村忠伝説(本)』
竹林軒出張所『買った、見た、ふるえた……キックの鬼 最終章』
竹林軒出張所『四角いジャングル 激突!格闘技(映画)』
by chikurinken | 2011-01-26 16:08 | 日常雑記
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