昭和子どもブーム
大崎悌造著
学研ビジュアル新書
昭和34年生まれの著者が、昭和30〜40年代の子どもブーム(子どもの世界でだけ巻き起こる大きなブーム)について解説する本。「ビジュアル新書」だけに当時のガジェット(キャラクター商品や雑誌)がふんだんに写真で紹介されている。
紹介されるブームは「テレビアニメ」、「忍者」、「お笑いアニメ」、「怪獣」、「スパイ」、「スポ根」、「怪奇」、「変身ヒーロー」などで、30〜40年代に子ども時代を過ごしてきた人にとっては、懐かしいものばかりである。実際のところは、この本の章立てのように、それぞれのブームがばらばらに子どもにやってきたわけではなく、かなりの部分が重なっていたという実感がある。それに、当時の子ども(つまり自分だが)にとってなぜブームになったかすらわからず、ただ何となく心惹かれたというものも多かったような気がする。本書ではそのあたり(なぜそれがブームになったか)についても記述があり、頷かされる部分も非常に多かった。
解説の内容もなかなか面白いが、何より写真で紹介されるガジェットが懐かしい。当時以降今に至るまでまったく目にしなかったものもかなり紹介されており、マジックプリントやココア缶、キャラクタートランプなどは、(写真ででも)目にすると当時の感慨が甦ってくる。また、著作権を無視したような、キャラクターに似せられた絵(つまりパチモン)のメンコなども多数収録されており、「こんなのもあった、あった」と感激することひとしおである。
さらに、梶原一騎の『巨人の星』が『ちかいの魔球』(「消える魔球」や魔球の投げすぎで再起不能になる点など)や『なげろ健一』(キャラクターが似ている)などのパクリであった(一部梶原本人も認めているという)など、初めて聞く話も多く、非常に新鮮な面もあった。というわけで、「昭和30〜40年代に子ども時代を過ごしてきた人」にとっては大変面白い本である。が、それ以外の人にとってはまったくわけのわからない、つまらない本である可能性もある。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『昭和ちびっこ広告手帳(本)』竹林軒出張所『ぼくらの60〜70年代熱中記(本)』竹林軒出張所『ぼくらの60〜70年代宝箱(本)』竹林軒出張所『キックの鬼』