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竹林軒出張所

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2010年ベスト

 年末ということで、今年も恒例のベストというのをやってみます。「僕が今年見た」という基準であるため、各作品が発表された年もまちまちで、他の人にとってはまったく何の意味もなさないかも知れませんが、今年の総括ということで、ひとつヨロシク。
(リンクはすべて過去の記事)

今年見た映画ベスト5

b0189364_11245548.jpg『歩いても 歩いても』
『鴨川ホルモー』
『王妃マルゴ』
『潜水服は蝶の夢を見る』
『親密すぎるうちあけ話』

 今年は仕事がヒマだったせいもあり、映画をかなり見ていた(92本!)。
 『歩いても 歩いても』は、情感を重んじた非常に日本映画らしい作品で、今の日本映画のレベルの高さを感じさせるものだった。日本映画のレベルの高さと言えば『鴨川ホルモー』も同様で、こういうハチャメチャな青春映画を、デタラメに陥らずに高い完成度で作り上げるスタッフ、キャストに脱帽であった。この作品については賛否両論あるようだが、僕にとってはいつまでも後を引く映画で、もう一度見たいと思う秀作であった。
 『王妃マルゴ』の歴史スペクタクル、『潜水服は蝶の夢を見る』の斬新な表現は、どちらも映画の可能性を見せてくれるもので、映画の遺産といって良いものである。同じく『親密すぎるうちあけ話』も映画の可能性を広げるような新しさがあった。

今年読んだ本ベスト5

b0189364_11254088.jpg『ダムはいらない! 新・日本の川を旅する』
『脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ』
『たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する』
『発明はいかに始まるか』
『コミック昭和史』

 『ダムはいらない! 新・日本の川を旅する』は、30年前に、破壊されていく日本の自然環境を告発した野田知佑の『日本の川を旅する』の続編で、野田知佑健在を印象づけた一冊である。また、日本の環境破壊が同じく健在であることも認識させられた。前著とあわせて古典的名著と言って良い秀作である。『脳は眠らない』、『たまたま』は、新しい視点を与えてくれた本で、真摯な良書であった。『発明はいかに始まるか』は、発明をテーマにした大著で、知識の集成という意味で優れた本である。『コミック昭和史』は水木しげるが、自分の半生を鑑みながら昭和という時代を振り返り、それを時系列でまとめたマンガによる歴史書で、昭和という時代を非常に身近に感じることができた。

今年見たドキュメンタリー・ベスト3
『スリーパー 眠れる名画を探せ』
『あるダムの履歴書』
『フェルメール盗難事件』

 『スリーパー 眠れる名画を探せ』、『フェルメール盗難事件』はどちらも美術関連のドキュメンタリーであるが、NHKの底力を見せつけるような作品であった。それぞれ2004年、2001年の作品であるが、こういうものがときどき再放送されるのがNHK-BSの良いところである。ただ、来年から1チャンネル減るそうで、再放送の機会も少なくなるのではないかと危惧している。優れた作品は何度でも放送していただきたい。それはドラマでも共通である。
 『あるダムの履歴書』はETV特集として今年放送された1本で、今まであまり一般に知られていなかった沙流川流域のダム建設の問題を告発するドキュメンタリーである。行政による環境(および文化)破壊、しかもそれが行き当たりばったりの政策によって行われ、莫大な金額が投入されて、取り返しの付かない状況を生みだしてしまっている。その状況が、しっかりとした構成のドキュメンタリーで報告され、告発される。これぞ、ドキュメンタリーの真髄である。

今年見たドラマ・ベスト3
b0189364_11271312.jpg『「英雄」〜ベートーベンの革命〜』
『鬼太郎が見た玉砕』
『ジェネラル・ルージュの凱旋』
番外:『前略おふくろ様』

 『「英雄」〜ベートーベンの革命〜』はBBC製作の歴史ドラマで、「英雄」交響曲の初演をドラマで再現するという試みである。したがってドラマといってもその半分以上は演奏シーンである。ユニークなドラマでありながら、細部にも非常にこだわっており、演奏も古楽器で行われる。しかも「英雄」の歴史的な意義がハイドンの口からさりげなく語られるなど、心憎い演出が光っていた。
 『鬼太郎が見た玉砕』は2007年作のNHKスペシャルで、水木しげる作の『総員玉砕せよ!』をドラマ化したものである。香川照之の熱演も含め、原作をうまく再現できていた(原作を超えていたかも?)。
 『ジェネラル・ルージュの凱旋』は今年放送されたドラマで、2010年を代表するドラマではないかと思う。チープなドラマが多い昨今ではあるが、こういった硬派の原作ものドラマも作れるんじゃん、と感心した次第である。是非(小説の)原作ものドラマも、継続して取り上げていただきたいと思う。ちなみに先頃放送された『フリーター、家を買う。』も、まだこのブログでは書いていないが、大変デキが良かった。
 番外の『前略おふくろ様』は、放送後すでに35年経つが、今回が初見である。強烈なインパクトはないが、それでもやはり評判に違わない優れたドラマであった。敬意を表して「番外」に列せさせていただいた。

 ということで、2010年の竹林軒出張所はこれで終わりです。これまで読んでいただいた皆様には、感謝の言葉もありません。当初の目標は、丸2年は続けるということでした。したがって少なくとも2011年6月までは続けていく所存でございます。2011年も何卒よろしくお願い申し上げます。
by chikurinken | 2010-12-31 11:28 | ベスト
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