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竹林軒出張所

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『居酒屋』(映画)

居酒屋(1956年・仏)
監督:ルネ・クレマン
原作:エミール・ゾラ
脚本:ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
出演:マリア・シェル、フランソワ・ペリエ、アルマン・メストラル、ジャック・アルダン

b0189364_857122.jpg エミール・ゾラの自然主義文学『居酒屋』を映画化したもの。
 時代風俗などもしっかりと描かれており、演出、キャスティングとも申し分ない。また、映画の展開も自然な速さで、途中でだれることもなかった。自然主義映画らしく、ショッキングなシーンが多かったが、その辺の迫力も素晴らしいものがあった。フランス映画(およびフランス文学)の底力を感じさせるような、強烈なインパクトを持った作品であった。
 ただ、こういう文学的作品(セリフに重きを置く映画)にありがちだが、登場人物が多く名前が区別(というか記憶)できなくなることがあった。そのため、重要なセリフの意味がわからないままで最後まで行ってしまった箇所がいくつかあり、それについては見終わった後リプレイで確認した。DVDでリプレイできるからまだ良かったものの、こういう点は字幕などで改善できないものかとも思う。もちろん、映画的な演出で改善することも可能だと思うが、原作ものというのはどうしても原作を読んでいる人を対象にしているという部分が出てくるので、こういう問題が大体つきまとってくる。もちろん細部にこだわらなければ大筋で問題はないのだが、わからない部分が残ってしまうと最後までモヤモヤするのだ。
 ストーリー展開について言うと、主人公の心情の変化について納得がいかない部分が途中いくつかあり、ちょっと安直さ(つまり、男の目から見たような安直さ)を感じる箇所もあった。原作の問題かとも思ったが、どうもストーリーが若干書き換えられているようで、違和感を感じた部分もそのあたりであった。そういうこともあり、原作に直接当たってみたいと思わせる映画でもあった。ちなみに原作は全20巻(『ルーゴン・マッカール叢書』)のうちの1巻で、『居酒屋』に登場する脇役(子ども達)も、他の巻では主役として過酷な人生を歩むらしい(その巻についても何度か映画化されている --『ジェルミナル』、『獣人』、『女優ナナ』など)。大河ドラマみたいな壮大な展開がフランス映画界の中で進行していたのですね。
ヴェネチア国際映画祭女優賞、イギリス映画アカデミー賞作品賞など受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『原作と映画の間』
竹林軒出張所『ジェルミナル(映画)』
竹林軒出張所『嘆きのテレーズ(映画)』
竹林軒出張所『ゴリオ爺さん(映画)』
竹林軒出張所『赤と黒(映画)』
竹林軒出張所『ボヴァリー夫人(映画)』
竹林軒出張所『レ・ミゼラブル (1)〜(4)(ドラマ)』

by chikurinken | 2010-12-13 22:55 | 映画
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