
アップルから
Apple TVというセットトップ・ボックスが発売された。というよりリニューアルしたというのが正しい。ハードディスク付きのものが前から出てたわけだし。ただ値段が高めだったりiTunesストアでビデオ映画が売られていなかったり(これがメインの機能だったような印象がある)などの理由で、もう一つヒットしなかった。認知すらあまりされていないのではないか。
で、先月だったか、ハードディスクを除いたものが新しく発売された。値段は8,800円。基本的にはiTunesストアで販売されるビデオ映画の再生用ということなんだろうが(その証拠に、日本でのApple TVの販売は、iTunesストアでのビデオ映画発売およびビデオ・レンタル開始と同時に始まった)、しかし一番面白いのは、パソコンやiPhone(またはiPod Touch)に入っているiTunesの音楽を再生できる機能ではないかと踏んでいる。
僕などは、1台のパソコンに音楽データを大量に入れて、これをミュージック・サーバーとして使っているが、ただこの方法の場合、基本的にこの音楽を聴くことができるのはこのパソコンからだけという難点がある。iPodに転送すればiPodで聴くことはできるが、それ以外の方法では原則聴くことができない。考えてみればとてももったいない。この音楽データを他の場所でも聴けるようになると便利なのだが……というのは誰でも感じることのようで、それは「この音楽データを無線で別の場所のスピーカーに飛ばす機器」というのがいろいろと出ていたことからもわかる。だがこれは意外に使いにくいもので、実際僕もいろいろ試してみたが、正直実用にならないと思っていた。一番ネックなのは、スピーカーの側から音楽をコントロールできないことで、そうすると実質的に垂れ流し状態になるわけだ。別の音楽を再生したいというときは、パソコンのところまで行って操作しなければならない。だからパソコンの近くにスピーカーがあるような環境だったら良いんだが(こういう環境にあまり意味があるとは思わないが)、離れた場所に置いている場合はちょっと使えない。
そこで、このApple TVの登場である! テレビにつなぐだけで、ミュージック・サーバーの音楽データ(およびビデオ・データ)にアクセスでき、テレビの画面で音楽をコントロールできるという代物である。実際にやってみると、接続も簡単で、それに音楽のコントロールも(リモコンを使って)きちんとできる。当たり前のことが当たり前にできるのがありがたい。また、音楽データ以外にiPhotoの写真にもアクセスできるというおまけまで付いている。
もう一つの目玉はAirPlayという機能で、iPhoneまたはiPod Touchの再生中の音楽やビデオをそのまま、Apple TVに接続したテレビで再生できるというものである。これもなかなか面白い機能で、最初少し設定に手こずったが、iPod Touchをリセットすることで可能になった。ちなみにiOSのバージョンは4.2でなければならない。
そういうわけで、僕にとってこういうものがあれば良いなという理想を体現したのがこのApple TVで、現在ほぼ毎日活用している。8,800円という値段から考えても、お買い得なニッチ製品であると思う(すぐ壊れたりしなければという前提付きだが)。
追記1:
Apple TVでは、iTunesで再生中の音楽を、Apple TVに接続したテレビでスピーカー代わりに流すという「垂れ流し方式」の使い方もできる。ただし先ほど言ったように、いちいちパソコンのところに移動しなければ音楽をコントロールできないという難点がある。ところが、アップルから配布されているRemoteというiPhoneアプリを使えば、iPhoneやiPod Touchを使ってiTunesの音楽をリモート・コントロールできるようになった。これもなかなか便利ではあるが、非常に持って回ったような印象というのか、ちょっと贅沢すぎるというのか、MOTTAINAIというのか、ともかくいろいろな感情がせめぎ合うのであまり使っていない。使える機能であるのは確かである。
追記2:
Apple TVに接続できるTVは、HDMI端子搭載機器に限られるらしい(変換ケーブルを使うという方法もあるようだが、ビデオの再生に制限があるという)。古いテレビの方はご注意。
追記3:
当初、プレイリスト内の音楽がすべてABC順にソートされてしまうというとんでもない状態になっていたが、Apple TVのソフトウェアをアップデートしてから(だと思うが)、iTunesと同じ順序で表示されるようになった。
追記4:
Apple TVにも難点はある。(現時点で)Apple TVでは、パソコン側で公開したくないプレイリストまで公開されてしまう。したがってすべてのiTunesデータにアクセスできるようになるということで、隠したいデータも全部公開されることになる。これははなはだ困った仕様だが、いずれアップグレードで改善されるのではないかと考えている。