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竹林軒出張所

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『さわの文具店』(本)

b0189364_10163690.jpgさわの文具店
沢野ひとし著
小学館

 元祖ヘタウマ・イラストレーター、沢野ひとしの文房具をテーマにしたエッセイ集。沢野ひとしのエッセイは、『本の雑誌』に連載していた頃(25年くらい前……今も連載しているのでしょうか)からよく読んでいたが、イラスト同様、文章にも味があって大変面白い。『本の雑誌』の同人(というか編集関係者)の椎名誠や目黒孝二などによると沢野氏は相当な怪人のようであるが、自身の文章から語られる本人は、当然のことながら、至って普通の人間である。もちろん平凡ではないが。
 テーマになっている文房具は、ゼムクリップからデスク・ライト、銅版プレス機に至るまで多種多様。なんでも文房具や画材を頻繁に衝動買いするらしく、バルセロナでは、「東京からバルセロナまで二回ほど往復できる定価」の「マルセル・プルースト」という万年筆セットを買ったというし、渋谷の画材屋では、1本数万円する絵筆を「ザーッと筆をつかみ、「とりあえずこれだけください」と言っ」て買ったりもしているという。僕には真似できないし、正直あまり感心できない。もっとも僕も画材には結構お金を使っているので、あまり大きなことは言えない。ただこういう話は聞いている分には面白いし、道具に対するマニアックな思い入れもなかなか楽しいものである。
 こういったモノに対する思い入れというのは誰にもあるわけで、こういうふうにエッセイにすると楽しいだろうな、とふと思ったりもした。そういうイマジネーションを喚起させてくれる楽しい本でありました。それにしてもあの沢野ひとし画伯が銅版画をやっているとはね……。
★★★

参考:
竹林軒出張所『古き良きアンティーク文房具の世界(本)』
竹林軒出張所『日本懐かし文房具大全(本)』
竹林軒出張所『かつをぶしの時代なのだ(本)』
竹林軒出張所『本当はちがうんだ日記(本)』

by chikurinken | 2010-10-25 10:17 |
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