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竹林軒出張所

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『白い旗』、『姑娘』(本)

b0189364_916420.jpg白い旗
姑娘(クーニャン)
水木しげる著
講談社文庫

 『白い旗』と『姑娘』、どちらも講談社文庫から出ている水木しげるの短編戦記マンガ集である。収録されているほとんどの作品が貸本時代の戦記ものの再録である。基本的に、山本五十六など有名軍人の実話を基にした戦記ドラマが中心で、面白くはあるが、目新しさはない。当時流行っていた他の作者の戦記ものとあまり違いはなく、水木しげるらしい「真の臨場感を感じさせるもの」はあまりない。このあたり、貸本業者からの要請が大きかったのだろうと思うが、水木しげるの本領が発揮されていないのははなはだ残念。貸本版元の方が、水木しげるの真の才能に気付いていなかったということなんだろう。
b0189364_9193659.jpg そうは言ってもさすが水木作品で、両方とも表題作(「白い旗」と「姑娘」)は非常に内容が濃く、特に「姑娘」は、タッチから比較的新しいものではないかと思われるが、水木作品らしい臨場感があり、質も高い。日本軍が展開していた戦争の理不尽さや残虐性がよく表現されている。本当であれば「姑娘」を『敗走記』に入れ、その他の作品を1冊(または2冊)にまとめて「貸本時代の戦記物集」として集めた方が筋が通っているような気もするが、営業面を考慮した結果かも知れない。それはそれで仕方がない。ともかくこの講談社文庫の水木シリーズはどれも質が高かった。

★★★
by chikurinken | 2010-10-05 09:20 |
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