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竹林軒出張所

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『猫楠』(本)

猫楠 南方熊楠の生涯
水木しげる著
角川文庫ソフィア

b0189364_8472222.jpg 博物学の大家、南方熊楠の生涯をマンガで描いた伝記。相当戯画化されており、とんでもない人物に描かれているが、本当のところはよくわからない。南方熊楠には多少興味があったが、さりとて伝記を読むほど興味があるわけでもなく、簡単に読めるようなものがあったらいいナと思っていたら、水木しげるのマンガがあったという次第。だがそこに描かれる人物像は、奇人としか言いようのない怪人である。だがこれはこれで全体に筋が通っており、破綻はない。優れた伝記映画みたいな味わいもある。実像もおそらくこういうイメージに近かったんだろう。
 マンガの方は400ページを超える大作で、できも良い。狂言まわしを努めるのが「猫楠」という名前の猫で、南方熊楠がこの猫を飼っていて、熊楠が猫語でこの猫と会話できるという設定(なんでも熊楠は18カ国語を話せると言われているらしく、だから猫語だってOKということ)になっている。説明的な部分は、この猫と熊楠、他の猫などとの会話の形で紹介される。マンガという媒体であるため、猫がしゃべってもまったく不自然さはない。
 ともかく熊楠という人間がわかる作品で、いずれにしろ、この南方熊楠という人、決してお友達になりたいようなタイプではないなと思った。南方熊楠に対する先入観は、本書で180度転回したのであった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『水木しげるの泉鏡花伝(本)』
竹林軒出張所『水木しげるの遠野物語(本)』
竹林軒出張所『マンガ古典文学 方丈記(本)』
竹林軒出張所『今昔物語(上)(下) マンガ日本の古典8、9(本)』

by chikurinken | 2010-07-26 22:45 |
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