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竹林軒出張所

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『ぐるりのこと。』(映画)

ぐるりのこと。(2008年・「ぐるりのこと」プロデューサーズ)
監督:橋口亮輔
原作:橋口亮輔
脚本:橋口亮輔
出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、八嶋智人、寺田農、柄本明

『ぐるりのこと。』(映画)_b0189364_17135430.jpg ある夫婦の物語であるが、メインとなるモチーフは欝病である。ただ欝状態のシーンは、ちょっときつくて正視しがたい。ものすごく鬱状態の空気が伝わってきて、しかも鬱患者が周囲の親しい人に当たり散らすという状況も再現されており、かなり気分が悪い。しかも、全編を通じ、やたら人間の嫌な部分が(巧みに)表現されていて、見ているうちに相当気が滅入ってきた。もちろんこのあたりは製作者側の意図通りなんだろうが。いろいろな描写にあまりにリアリティがあるので、実話を元にした原作でもあるのかと思ったが、監督の創作のようである。また、欝病になる几帳面な女性を演じている木村多江が迫真の演技で、それもあいまってますます気分が悪くなった(いや、すごい演技なんですけどね……あまりに真に迫りすぎてて……)。もちろん、映画であるため、最終的には完結するんだが、途中までの段階でエネルギーをすり減らしてしまった。全編見終われば爽快感も残って悪くないんだが、現実のあまりの厳しさを突きつけられるようで、かなりきつい映画であった。だが、ある意味すごい映画である。ただし、精神的に参っているときなどは見ない方がよいと思う。

追記:今ちょっとWikipediaで調べてわかったんだが、監督は、この映画を作る前に欝病を経験したそうである。なーるほど。

★★★★
by chikurinken | 2010-07-24 17:16 | 映画
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