吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年・独)
監督:F・W・ムルナウ
原作:ブラム・ストーカー
脚本:ヘンリック・ガレーン
出演:マックス・シュレック、アレクサンダー・グラナック、グスタフ・フォン・ワンゲンハイム
ドラキュラ映画の元祖で、原作はブラム・ストーカー作『ドラキュラ』だそうだ。この映画では、著作権の関係で「ドラキュラ」を名乗れなかったらしい(真相は知らない)。
実は、25年ほど前にドイツ文化センターで上映されたものを見ているんだが、内容についてはまったく憶えていなかった。ただ上映中、失笑が漏れた箇所が割にあったほどで、今となっては恐怖を感じるような映画ではない。ただ、その、何というか、映画史上の価値は非常に高いわけで、サイレント期の映画でありながら、さまざまなテクニックを駆使していたりして、要するに敬意を払ってみるべき映画だと思っていたのだ。ところがついさっき、Webでさまざまな評を読むと、「怖い」と書かれているものが沢山あって、すごく意外に感じたのである。僕は、これを「怖い」と感じるのははなはだ無理があると思うし、無理に怖いと感じることもないんじゃないかと思う。要は歴史的な映画なのである。
ベストの流行を吸血鬼の跋扈と重ね合わせるなどなかなか視点が面白いし、特殊効果もいろいろあって楽しめる。ただ、恐怖映画として見ることは、僕にはどうしてもできない。だから、古典を見るという態度で、正座して見るような気持ちで臨むのがよろしい。そういうわけで、僕は案の定、途中で眠りそうになったのである……。
★★☆参考:
竹林軒出張所『フォーゲルエート城(映画)』竹林軒出張所『タルチュフ(映画)』竹林軒出張所『ファウスト(映画)』竹林軒出張所『ファントム(映画)』