私の記憶が確かならば……かつて『料理の鉄人』というテレビ番組があった。
2人の料理人が、あるテーマに従って制限時間内で料理を作り、それを審査員が判定して勝負をつけるというテレビ・ショーで、結構な人気を誇っていた。その後アメリカでも放送され、こちらも相当な人気を集めていたと聞く。
番組の仕組み自体は、『美味しんぼ』の「究極VS至高」の対決を地でいくようなもので、最初はパロディみたいな要素があって、やや「バッタもん」の番組かと思ったが(事実最初はそうだったらしい。フジテレビは当時この手の「バッタもん」番組を深夜によく放送していた)、登場する料理人の活躍のせいで、本格志向に変わっていったような記憶がある。

実際、見るこちら側も最初は少しいかがわしい番組として見ていたが、第3回とか第5回とかそのくらいの初期の放送で、「和の鉄人」道場六三郎が、なんだかわからないがすごいインパクトのある料理を披露し、その料理のすごさがこちら側に伝わってきて、そして審査員もそのすごさをこちらに伝えることに成功したという(バラエティ放送史上)稀有な演出が行われたことがあった。まさに感動を伝えるということが行われた瞬間である。そんないきさつもあって『料理の鉄人』は毎週見るテレビ番組になったのであった。
この『料理の鉄人』であるが、その内容だけでなく、番組内で使われている音楽も非常に気になるものであった。豪華で壮麗な雰囲気があって、『料理の鉄人』の演出とよく合っており、CDがあるんなら手に入れたいものであることよなあなどと考えていた。最初はオリジナルかとも思っていたのだが、いつまで経ってもサントラCDが出る気配もなく、音楽担当者の名前も番組で紹介されていないので、既存の音楽から使っているんだろうという結論に至った。なんとなくシベリウス風の印象も受けるので、最初はシベリウスの交響曲に的を絞って探していたんだが、これもどうも違うらしい。それらしい音楽のCDをいろいろ当たってみたが結局わからずで、それ以降いろいろなバラエティ番組でこの曲を耳にするも、その正体はわからないままであった。
で、先日、例によってネットで調べてみると、同じような疑問を持っている人がいたようで、いろいろな質問サイトにその答えが載っていたのだった。そして、15年来の疑問がついに解消したのである。ジャッジャッジャカジャカジャッジャッ! ジャッジャッジャカジャカジャッジャッ!(『料理の鉄人』挑戦者登場の音楽)

答えを言ってしまうと、『バックドラフト』という映画のサウンドトラックということであった。CDも出ており(
『バックドラフト オリジナル・サウンドトラック』
)、全10トラックのうち、6〜9トラックが番組で使われている。
『Ryori no Tetsujin (Iron Chef)』というサイトでは、音楽のどの部分がどの箇所で使われているか詳細に記述されている。
このCDは結構メジャーで、レンタル・ショップにも図書館にもあったんで、早速借りてきて確認し、想い出に浸ったのであった(ただし15年近く前のことで忘れている部分も多かった)。作曲担当者はハンス・ジマーという人で、いろいろな映画の音楽を担当している有名な方のようだ。不明にしてまったく知らなかった。でもなかなかダイナミックで良い。僕の不明のせいだとしてもシベリウスと間違ったほどである。また『料理の鉄人』でこの音楽を採用したのも見事であった。これほどの組み合わせはないというくらいよく合っていた。大変おいしゅうございました!
追記:
今知ったのだが、音楽については
Wikipediaの「料理の鉄人」の項でも触れられていた……。存外有名だったのかしらん。
参考:
竹林軒出張所『激闘! 美食のワールドカップ(ドキュメンタリー)』