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竹林軒出張所

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『バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び』(映画)

バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び(2005年・米)
監督:デイナ・ゴールドファイン、ダニエル・ゲラー
出演:レイヴン・ウィルキンソン、ナタリア・クラソフスカ、イボンヌ・クレイグ
   ドキュメンタリー

『バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び』(映画)_b0189364_9292496.jpg バレエ・リュスの映画があると知って見てみたんだが、いろいろな意味で予想と違っていた。
 そもそも僕が期待していたのは、1900〜1920年頃のディアギレフが主宰したバレエ・リュスを扱った映画だったんだが、この映画は、ディアギレフが死んでバレエ・リュスが解散した後の、新生バレエ・リュスのドキュメンタリーであった。もっとも新生バレエ・リュスが存在すること自体知らなかったし、第二次大戦後まで活動していた(しかもアメリカで!)こともまったくの初耳であった。そういう意味で新鮮ではあったんだが。
 ディアギレフが主宰してパリで人気を博したバレエ・リュスは、ディアギレフが死去してから解散したが、その2年後、2人の興行師(ヴァシリー・ド・バジル大佐、ルネ・ブルム)が「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」という名前で再興する。ディアギレフ時代のバレエ・リュスの舞台、振り付けを踏襲して再び人気を集めるようになり、英国にまでその活動範囲を広げていく。その後、バジル大佐とブルムの確執で、バレエ・リュスは2つに割れ、やがて「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」と「オリジナル・バレエ・リュス」に分かれる。第二次大戦でのヨーロッパの混乱に伴い、両バレエ団はアメリカに舞台を移し、ここでも大人気を博すが、やがてそれぞれ解散へと向かっていく……というのが、この映画で扱われているバレエ・リュス(バレエ・リュス・ド・モンテカルロ)の歴史である。
 この映画では、当時のスターたちのインタビューによる回想を基に話を進めている。インタビューは、その都度部分部分が切り取られて、映画の進行に合わせて使われている。リズム感が生じて演出上良い方法で、多くのドキュメンタリーで使われる手法であるが、ただ、インタビュイーのスターたちについて顔も特徴もまったく知らなかったので、途中、誰が誰かわからなくなって混乱してしまった。もちろんそれでも、バレエ・リュス・ド・モンテカルロの歴史は大体わかるようにはなっているが、総じて、教養ドキュメンタリーみたいな印象は拒めない。あまり感情移入することもなく、お勉強のために見たという感じの映画であった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『ウェーバーとバレエ』
竹林軒出張所『パリ・オペラ座のすべて(映画)』
竹林軒出張所『シャネル&ストラヴィンスキー(映画)』

by chikurinken | 2010-03-24 22:22 | 映画
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