ロバと王女
(1970年・仏)
監督:ジャック・ドゥミ
原作:シャルル・ペロー
脚本:ジャック・ドゥミ
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン・マレー、ジャック・ペラン

シャルル・ペローのおとぎ話『ロバの皮』をジャック・ドゥミがミュージカル仕立てにした映画。『ロバの皮』という話は存在すら知らなかったが、おおむね『シンデレラ』みたいな話である。というよりほぼ一緒。Wikipediaによると『シンデレラ』の原型もペローが作ったんだそうな。どうりで。
さて映画の方であるが、童話を実写化すると、これだけ違和感があるというのをあらためて感じさせられた次第。ミュージカルなんかでも当てはまるが、(童話などの)作り物の世界が、実写に伴うリアリティと適合できない。これは見る側の責任なんだろうが、不自然な感じが常につきまとって、映画で提示される世界をなかなか受け入れることができない。終始違和感との闘いである。要は、絵空事として完全に割り切って見なければならないんだろうが、ともすれば実写世界のリアリティに引きずられてしまって、見るこちらとしては少し厳しい感じがした。
音楽は例によってミシェル・ルグランが担当しており、ルグラン風の少し変わった音楽世界が展開される。この映画は美術が特にすばらしく、童話の対象となっている世界がこういう感じであるというのが提示されて、非常に具体的にイメージが掴める。赤や青が効果的に使われていて、視覚的にも面白い。
ただし、美しい王女(カトリーヌ・ドヌーヴ)と美形の王子(ジャック・ペラン)がお互いに惹かれ合いやがて結ばれてめでたしめでたしという世界は、オッサンの目からみると何だかなという感じもする。美男、美女が画面上でたわむれるというのも確かに映像的に美しいが「なんかイヤ」である。勝手にしやがれと思ってしまうんだな。
★★★参考:
竹林軒出張所『シェルブールの雨傘(映画)』竹林軒出張所『天使の入江(映画)』竹林軒出張所『ロシュフォールの恋人たち(映画)』竹林軒出張所『ローラ(映画)』竹林軒出張所『ロワール渓谷の木靴職人(映画)』