田舎での用もなんとか済み、無事帰還してきた。
行く前は何だか悲壮的で(実際のところそんな大した問題でもなかったのだが)前のような投稿になったんだが、こちらに戻る段になると、人々の優しさなんかに接して、かえって元気をもらったりするのだった。いろいろな人に支えられていることを実感し、感謝することになる。
行きの車窓の風景と帰りの風景も大分印象が違う。あちらに向かうときは、寂れる一方に思えた景色も、冷静になってみるとただの地方の一風景にしか見えない。実際確かに地方の一風景に過ぎないのである。
もう一つ。
高校の同級生に偶然会った。会うのは30年ぶりで、当時は特に親しいわけではなく普通に話をする程度の間柄である。当時は何となくシニカルで醒めていた印象があった。と言ってもそれは彼だけではなく、われわれの学年全体に漂っていた空気で、僕自身も随分冷ややかであったと思う(非常に生意気であったため人並み以上に醒めていたんではないかと思う)。ともかくそういう印象だったその男が、普通に勤め始めて数年経ってから、突如介護職を志したというのだ。そんなわけで勤めを潔く辞めて介護の勉強を始め、やがて資格を取り、介護業界に入ったという。
彼はすでに偉くなっていたが、そんなことよりも、醒めていて物事にあまり積極的に関わらないという印象だった彼が、そういう「熱い」面を見せていたというのがなんだかうれしかったのだった。アメリカ映画で「I'm proud of you.(君を誇りに思う)」などというセリフが出てくるが、あれに近い感慨だった。僕は彼と話しながら「すごいな」を連発していたが、その真意が彼に伝わったかどうかはよくわからない。だが、久々に快さを感じた瞬間だった。
海辺の風景