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竹林軒出張所

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『将軍を追いつめた判事 前・後編』(ドキュメンタリー)

将軍を追いつめた判事 ~チリ軍事政権の闇~ 前・後編
(2007年・米 West Wind Production)
NHK-BS1

b0189364_12122637.jpg チリのピノチェト軍事政権時代の悪行(前編)と、ピノチェトの起訴に至る過程(後編)を描くドキュメンタリー。
 1970年、チリの大統領選挙でアジェンデが当選し、社会主義政権が誕生する。だが1973年、ピノチェト将軍によるクーデターで、政権は崩壊。ピノチェトは、以後20年以上に渡りチリに君臨し、恐怖政治を敷いてきた。このあたりの事情はガルシア・マルケスの 『戒厳令下チリ潜入記』 に詳しい。
 その間、秘密警察DINAを使い、多数の反体制派市民を逮捕、拷問、殺害してきたが、その所業については一般市民の日の目を見ることもなく隠されてきた。その後、ピノチェトは、1988年に大統領を退任するも陸軍総司令官として権力をふるい、しかも他の議員の反対の中、終身上院議員にまでなる。上院議員には不逮捕特権があるため、それ以前の犯罪的行為が明らかになってもチリ国内で逮捕されることはない。どこまでも狡猾な人間である。
 ピノチェトが権力の第一線を降りてから、ピノチェトについて、殺人などの罪が問われることになった。その際、控訴審裁判所でその案件を担当することになったのがグスマン判事である。ただしこの判事は、右寄りの保守派であったため、その成り行きを危ぶむ声も起こる。一方、最初はあまり乗り気でなかったグスマン判事も、事実を知るにつれ、その重要性に気付くことになり、自ら現場検証に立ち会うなどして積極的に関わるようになる。やがて、不逮捕特権や痴呆症(弁護側が主張)などの障害を乗り越え、ピノチェトの起訴に踏み切り、ピノチェトを拘束するに至る。あわせて秘密警察DINAのコントレーラス元長官も逮捕した。
 永らくはびこってきた悪を法が裁く瞬間、不当に殺され遺棄されてきた市民の魂が救われる瞬間で、正義が執行される瞬間は大変快い。ちなみに2009年現在のチリの大統領、ミシェル・バチェレは、ピノチェト時代の犠牲者の娘である。
★★★☆
by chikurinken | 2010-01-03 12:15 | ドキュメンタリー
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