太宰治物語(2005年・ドリマックス・テレビジョン、TBS)
監督:平野俊一
脚本:田中晶子
出演:豊川悦司、寺島しのぶ、菅野美穂、池内博之、伊藤歩、橋爪功
『冬の花火』と同じTBSが、『冬の花火』から25年後に同じ題材で作ったドラマなんで、当然両者を比較することになるが、正直言って比較の対象にならない。同じ題材であってもこうもつまらないと、やはり要は見せ方ということになるんだろう。
太宰の扱い方ひとつ取っても、単に「女たらし」、「女の敵」というレベルの解釈ではまったくもって新鮮味もなければリアリティもない。『冬の花火』では、太宰は「誰かに頼らなければ生きていけない弱い人間」という解釈で、新鮮味もリアリティもある上、ドラマの展開とも整合性がとれていた。そういう点でも優れたドラマだったと言える。
また、セットなども嘘臭くて安っぽくまったくリアリティがない。キャスティングも問題外、演技も光るところはまったくない。
ドラマ単体としても展開がダラダラとしており、最初の10分で飽きが来た。この企画は実質的にはリメイクの類だったんだろうが、こういうリメイクだったらやらない方がいいんじゃないかと思う。残念ながら昨今のドラマのリメイクはこんなレベルなんだが。
★★☆参考:
竹林軒出張所『富嶽百景・走れメロス 他八篇(本)』竹林軒出張所『冬の花火 わたしの太宰治 (1)〜(13)(ドラマ)』竹林軒出張所『青空文庫の「ヴィヨンの妻」を読む』竹林軒出張所『女性操縦法 “グッドバイ”より(映画)』竹林軒出張所『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(映画)』竹林軒出張所『漱石悶々(ドラマ)』竹林軒出張所『リメイクもういらん党宣言』