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竹林軒出張所

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『冬の花火 わたしの太宰治』(1)〜(13)(ドラマ)

冬の花火 わたしの太宰治(1979年・TBS)
監督:大山勝美、他
脚本:早坂暁、他
出演:石坂浩二、檀ふみ、大谷直子、伊藤栄子、加賀まりこ、北村和夫、佐藤慶、中山仁、地井武男

『冬の花火 わたしの太宰治』(1)〜(13)(ドラマ)_b0189364_20102042.jpg 太宰治をモデルにしたドラマ。30年来ずっと見たかったドラマだが、ついに見ることができた。
 フィクションの要素が強いのではないかと思っていたが、かなりの部分史実に則っているようだ。それでいて見応えのあるドラマになっている。太宰の人生自体が面白いせいもあるだろうが、脚本の質も非常に高い。
 キャスティングも非常にぜいたくで、「小山初代」の役を大谷直子、「太田静子」の役を檀ふみ、「山崎富栄」の役を加賀まりこが演じていて(ドラマではそれぞれ別名)、どれも魅力的である。また、周辺に配置されたバイプレーヤー、「井伏鱒二」の北村和夫、「檀一雄」の地井武男も人間味があって良い。キャスティングの唯一の難点は、妻の「石原美知子」役をやった長山藍子である。いや、長山藍子自体は非常に印象的で期待感を持たせる登場の仕方だったのだが、途中から病気を理由に伊藤栄子に代わった。伊藤栄子も悪くはなかったが、長山藍子が演じていた気丈さが伊藤栄子になく、交代前と交代後の「石原美知子」に一貫性がなかった。仕方がないとは言え、非常に残念。
 大道具や照明などもなかなか良く、細部に至るまで力が込められていることがよくわかる。豪華なセットはないが、職人芸みたいな高級感がある。
 太宰治については、今まで伝記などを何冊か読んだが、太宰の生涯についての記憶は僕の中にあまり残っていない。だが、今回みたいな(よくできた)ドラマの形式で見せられると、周辺の人物や太宰の信条の変化などについて確固としたイメージが掴める。そういう意味でも見て良かったと思える。
 最終回に、太宰の遺作、『グッドバイ』を小さな芝居(つまり劇中劇)にした部分が出てきて、太宰の飄逸な部分を再現していた。僕自身は、太宰のこういった部分が好きなんで、それをドラマの中ではっきりと打ち出していたことに好感が持てる。同じく最終回で、井伏鱒二や檀一雄が、そういった太宰の飄逸な部分について語る場面がある。このドラマの製作者側にもそういう部分の理解があったのかと思うと何やら親近感が湧いてくる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ドラマ雑記』
竹林軒出張所『富嶽百景・走れメロス 他八篇(本)』
竹林軒出張所『青空文庫の「ヴィヨンの妻」を読む』
竹林軒出張所『女性操縦法 “グッドバイ”より(映画)』
竹林軒出張所『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(映画)』
竹林軒出張所『太宰治物語(ドラマ)』
竹林軒出張所『「津軽」太宰治と故郷(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『井伏鱒二の世界(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2009-10-13 20:12 | ドラマ
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