ALWAYS 三丁目の夕日
(2005年・東宝)
監督:山崎貴
原作:西岸良平
脚本:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、薬師丸ひろ子、小雪、堀北真希、三浦友和
レトロにもほどがある
戦後日本を舞台にした、懐かしさが評判の映画である。
「東宝映画」と出る冒頭のオープニングロゴも昔風で、映画自体の画面サイズもシネスコ風(おそらく実際はレターボックスなんだろうが)。なかなかレトロである。舞台が昭和33年で、言うまでもなく内容もレトロ。演技は全体にオーバーアクトで、こちらが気恥ずかしくなるようなものも多い。デフォルメが過剰で「マンガやがな」と突っ込みを入れたくなる。ま、原作はマンガなんだが(西岸良平の『三丁目の夕日』)。妙に陽気な登場人物達が嘘臭い。
くすぐりや笑いのパターンも古く、レトロを感じさせる。ドラマのパターンもどこかで見たことがあるようなエピソードばかりで、その先が十二分に予想できる。こちらも使い古されたパターンである。レトロ。
「携帯もパソコンもTVもなかったのに、どうしてあんなに楽しかったのだろう。」という、この映画のキャッチフレーズも少しうさんくさく感じる。
ただ、あらゆる要素が単純化されているんで、ふだんあまり映画を見ない人々でも楽しんで見ることができるような内容である。家族揃って「お茶の間」で見るには非常に良い映画ではないかとおもう。このあたりの狙いもレトロと言えばレトロだよなぁ。
付記1:集団就職でやってくるロクという少女を若手女優が演じていて、初めて見る顔だがなかなかうまいなと思っていたところ、後でキャプションを見て堀北真希であることがわかった。初めて見る顔ではなかったんだな、これが。アイドル路線の女優かと思っていたが、意外に実力派であった。
付記2:岡山の西大寺でロケをやったと聞いたが、どうやら高円寺の風景がそれに当たるらしい(と感じた)。ほんとのところはわからない。もしかしたら合成のネタとして使っているのかも知れない。
西大寺 三丁目では高円寺
お粗末。
★★★参考:
竹林軒出張所『東京ブラックホールⅡ』竹林軒出張所『潮風の町(本)』