「「鉄人28号」神戸の街に立て! 震災復興のシンボル」(asahi.comより)
マジですか?と聞き返したくなるようなニュースで、しかもそれに対して好意的な報道姿勢も「マジですか?」である。
僕自身としてはマニアックなものが好きな方で、リアル鉄人を作るという話を聞けば面白そうと思うタイプだ。ただしそれはマニアが集まる場所でやるという前提である。
ジブリ美術館にある天空の城のロボットなども面白いと思っているし、マッハ号を再現したとかいうのも好意的に感じている。だが、公共の場所に固定するとなれば話は別である。これは、価値観、しかも非常に特異な価値観の押しつけであり、景観に対する冒涜でもある。被災者を元気づけようというコンセプトらしいが、こんなもので元気が出るのか、被災者の皆さんは……。こんなもの作るくらいなら金をくれという感じではないのか(僕であればそう感じる)。要するに僕は、公共の場にこういうマニアックなものを作るということに対して疑義を呈しているわけだ。

神戸でやるんだから別にいいじゃん、あんたには関係ないじゃんという声が聞こえてきそうだが、そう、これだけで終われば、アホやな、神戸……で終わる話なのだ。だが全国にはおっちょこちょいの首長や金持ちが大勢いるわけ(今の首相見ればわかるでしょ)で、
あっちで受けてるようだからうちではマジンガーZを作ろうとか、
うちはジャイアントロボだとか言い出す輩がきっと出てくる。間違いない。で、置き場がないから公共の場所に……という発想になる。鉄人くらいならまだ許容範囲だが、そのうち巨大キティちゃんとか巨大セーラームーンとかが現れて街のランドマークになった日には、いずれ住民の頭の中はアルコール発酵することであろう。
実際、かつて大仏ブームというのがあって、全国で次から次へと菩薩や如来が林立していったことがあった。同じような状況が起こる可能性は高い、日本人の習性から考えると……。であるからして、マスコミをはじめこれを目にした人々は
「趣味が悪い」と一蹴していただきたい。変な先例になることだけはご免被りたいものである。
参考:
竹林軒出張所『やっぱりそうなっちゃいます?』竹林軒出張所『ジャイアントロボ (1)(ドラマ)』