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竹林軒出張所

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早川義夫氏のこと


(アルバム『この世で一番キレイなもの』 に収録)

歌:早川義夫
作詞・作曲:早川義夫

早川義夫氏のこと_b0189364_13451752.jpgすごく可愛い 女の子
性格が良くて 話がはずんで
笑顔がステキで いい匂い
すこしHで かなりHで

愛しい気持ちを お口に含んで
広げてごらん よく見えるように
僕を元気に させてくれる
君をいっぱい 愛したい

そんな恋人が 僕の眼の前に
現れるなんて 夢のようなこと
鏡に映る 僕の姿
思いっきり 棚に上げて

君のベッドと 僕のベッドを
支えているのは ふたりの孤独
君のあそこは 僕のものだよ
いやらしさは 美しさ

 この歌を歌っているのは早川義夫という人で、知っている人は知っているが知らない人は全然知らないという(当たり前か)ミュージシャンである。かつてジャックスというバンドで「サルビアの花」を歌っていた人で、その後レコード・プロデューサーを経てから、本屋さん(早川書店、ハヤカワ書房ではない)を開業し、二十数年後、再びミュージシャンとして甦った方である。経歴も異色だが、歌も結構異色である。
 この「H」という歌を聴いて、一体どういう人なんだろうかとあらためて興味を持ち、『たましいの場所』という本を図書館で借りた。実は、これまでに『ぼくは本屋のおやじさん』という早川氏の著書を読んでおり、しかもホームページの日記も頻繁に読んでいるので、この人のことを知らないわけでは全然ないのだ。それに『ジャックスの世界』『かっこいいとはなんてかっこ悪いんだろう』『恥ずかしい僕の人生』などのCDも聴いたことがある(『かっこいいとは……』は買った、他はレンタル)ので、どちらかというとファンに近い……のですかね。
 この人は、日記などでも「恋人が欲しい」ことを公言しているので、奥さんとの関係はどうなっているんだろうかと常々気になっていた(他人である僕が気にすることはないんだが)。そういう状態で、この「H」が収録されているアルバム、『この世で一番キレイなもの』を聴いたんである。この歌からもわかるように、内容が結構刺激的である。奥さんとの関係がこれまで以上に気になるようになった。しかも奥さんとも円満なようなんだ、日記から判断すると。そういうわけで著書『たましいの場所』を借りたんである。
 この本では、奥さんとの関係についても(もちろん)触れられており、家族として仲は良いんだが、どうも男女という感覚がなく(年配の夫婦は大体そうかも)、奥さんの方も、外に子供を作りさえしなければご自由におやりくださいということらしいんだな、これが。そういういきさつで「恋人募集中」を公言するということにつながったようだ。僕のような常識的な感覚では理解しがたいというかうらやましいというか……しかし、早川氏の音楽面から見ると非常にプラスになっているようだ。こういう刺激的なアルバムにつながってるわけだから。このエッチな「H」は、他の曲と同様、早川氏が声を絞り出すようにして歌っている。僕の感覚から行くと、もう少しサラリとやってほしいところだ。
 著書『たましいの場所』は、早川氏の内省的な面がよく出ており、しかも思考を巡らせる過程が文章になっているようで、つい口が緩んでしまう。内容がシリアスだったりするんで、本当のところ笑っていいものかどうか難しいんだが、太宰治の晩年の作を思わせるような上品なユーモアが漂っている。自己否定とかボヤキみたいなのも多いんだが、そのあたりも太宰を彷彿とさせる。ついでに言えばアルバムの『恥ずかしい僕の人生』というタイトルも。
by chikurinken | 2009-07-09 20:07 | 音楽
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