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竹林軒出張所

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松嶋屋からの教訓

松嶋屋からの教訓_b0189364_10343241.jpg 一昨日紹介した本で、15代目片岡仁左衛門(松嶋屋)が、舞台をいくら務めても「今日は良くできたな」と満足することがないと(いうようなことを)言っていた。片岡仁左衛門といえば、「同時代に生きてて良かった」と思わせるほどの名人と僕は思っているのだが、その名人にしてこれである(僕はかつて、この人の舞台を生で見ていて「同時代に生きてて良かった」と本当に思った。先述の本で著者が同じようなことをあとがきに書いていてヘーッと思ったものだ)。
 人間国宝クラスの職人(いわゆる匠ですな)も、やはり同じようなことを言う。いくら作ってもアラが見えて満足するものができない、と。それも口を揃えて。はたから見ていると、こんなにすごいものなのに?と思うにもかかわらず。
 かれらに共通して言えるのは、求めている理想が高いということだ。あまりに理想が高いため、どれだけのものを作り出したとしても満足できないのだろう。
 一方で、平気で大風呂敷を広げたり、大口を叩いたりする人もいる。こちらは大変見苦しい。自分と周囲に対する認識が正しくできていないことを広報しているようなものだ。
 などと言いながら、僕自身、自分の絵に結構満足していたりするのだから、始末に負えない。理想を高く持ち、その理想に対して謙虚に邁進していきたいものだ。自戒です……。
by chikurinken | 2009-07-03 10:39 | 日常雑記
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