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竹林軒出張所

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『シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代』(本)

シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代
梅田望夫著
中央公論新社

b0189364_933097.jpg 昨日、将棋の羽生善治名人が名人位を防衛した。ちょうどこの本を読み終わったということで、タイミングとしては非常によかった。
 「指さない将棋ファン」を自認する著者の、現代将棋論および羽生善治論。
 内容は、羽生善治、佐藤康光、深浦康市、渡辺明らの棋士論、筆者がかつて執筆したというWeb観戦記(棋聖戦、竜王戦)、羽生名人との対談で構成される。Web観戦記は少し退屈で、不要ではないかとも思えるが、他の箇所で何度も言及されているので致し方ないところか。
 羽生名人をはじめとする現代棋士の将棋に対する真摯さはよく伝わってきた。正直これほどまでとは思わなかった。羽生名人によれば、将棋は「対局者の2人が作」り上げる芸術作品のようなもので、勝ち負けは二の次だということだ。これほど勝ちを積み上げている人なんで、てっきり勝負に厳しい人かと思っていた。「勝ち負けを決めるだけなら、将棋じゃなくてじゃんけんをすればいいい」ということらしい。勝負にではなく将棋に厳しい人のようだ。
 「指さない将棋ファン」の提唱にははげしく同意。わが意を得たりである。また、羽生世代の棋士がいち早く知の共有、オープン化に踏み出していたなど、興味深い指摘もあって、なかなか興味深い。
 著者は、シリコンバレーで事業を興している人だそうで、そのせいか、何かというとビジネスと関連付けて分析しているのがどうにも煩わしい。そういう面での価値観がこちらとまったく違うので、何を言うとんねんという感じが常につきまとってきた。そういう要素を排除して、純粋に将棋本にした方が良かったんじゃないかと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『将棋の解説者』
竹林軒出張所『将棋中継の聞き手』
竹林軒出張所『聖の青春(本)』
竹林軒出張所『聖 ― 天才・羽生が恐れた男 (1)〜(7)(本)』
竹林軒出張所『山手線内回りのゲリラ(本)』
竹林軒出張所『棋士・先崎学の青春ギャンブル回想録(本)』
竹林軒出張所『運命の一手 渡辺竜王 VS 人工知能・ボナンザ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『棋士VS将棋ソフト 激闘5番勝負(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『藤井聡太 14才(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2009-06-25 09:31 |
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