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竹林軒出張所

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『悪い犬』(ドキュメンタリー)

悪い犬(2017年・東海テレビ)

「悪い」のは犬か、それとも人か

b0189364_19352915.jpg 通行人数人に噛みついてケガをさせたドーベルマンを更正(?)させるために奮闘する(『わんわん保育園DUCA』という)ある動物保護施設の経営者を軸にしたドキュメンタリー。
 通常であればこういった凶悪犬は殺処分になるわけだが、動物愛護センターがこの経営者、高橋忍氏に預け、訓練を依頼した。更正させて命を助けようという寸法である。ちなみにこの施設、基本的にある程度訓練を施すことができた時点で里親を募集し犬の身柄を預けるような形で、殺処分予定の犬たちを救ってきている。今回も、訓練はかなり手こずったが、犬がある程度落ち着いて行動できるようになったため、里親に預けた。ところが、その後、散歩中に通行人を襲って噛みつくという事件が起こり、高橋氏も責任を問われ突き上げを食ってしまう。このドキュメンタリーでは、こういうようないきさつが描かれるのである。
 僕個人は犬に対してあまり思い入れがないので、一般的にドーベルマンみたいな危険な犬を野放しにしている現状にはまったく納得いかない……というか免許がなければ飼えないぐらいの規制を設けても良いと思っていて、そもそも犬を飼うことについて飼い主は相応の責任を持つべきと考える。今回のドーベルマンもそうだが、飼い主側に問題があるのではないかと思えるケースが多いというのも事実。実際、そういう「無責任」と言われてもしようがない飼い主もこのドキュメンタリーで紹介される。
 僕自身、朝、通勤中に突然犬に飛びつかれそうになることもちょくちょくあり、それなのに謝りもせず平然としている飼い主のおばはんには随分憤っているわけである。ちゃんと訓練できないなら飼うなと言いたい。それこそ、犬を飼うこと自体完全免許制にして、飼い主に対するそれなりの教習施設を作ったらどうだと思うのだ。
 おそらくこのドキュメンタリーで描こうとしているのも、「いい加減な飼い主と、そのせいで殺処分という犠牲を強いられる犬」という構図ではないかと思う。
 個人的な経験をもう一つ付け加えると、犬が狭い路の真ん中を堂々と歩いていて、こちらが道の端に追い出されるのも癪に障る。なぜ獣のために俺が道を譲らなければならんのだと思う。飼い主はせめて犬を端に寄せるとかその程度の配慮をしたらどうだと思う。犬を人の生活に紛れ込ませるというんだったら、最低限飼い犬をコントロールできる程度の訓練は、飼い主に対しても施すべきである(したがって免許制という発想が出てくるわけだが)。そういうわけで、愚かな飼い主が多いというのは僕自身も膚で感じており、そのあたりはこのドキュメンタリーの主張に大いに賛成したいところだ。とにかく日本のペット事情は総じて甘すぎるというのが僕の実感である(もっとも、以前に比べれば随分マシになったとも思う)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『じゃがいもコロコロ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『じゃがいも大使(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『続・犬たちの悲鳴(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2019-04-24 07:35 | ドキュメンタリー

『じゃがいも大使』(ドキュメンタリー)

じゃがいも大使 ~災害救助犬への奮闘記~
(2017年・東海テレビ)

じゃがいものその後

b0189364_17111793.jpg 『じゃがいもコロコロ』から3年後に発表された続編で、その後の「じゃがいも」(犬の名前)を追いかけたドキュメンタリー。
 『じゃがいもコロコロ』公開以降も、検定試験を受け続けたじゃがいもだが、なかなか結果が出ず。結局2017年、11回目のチャレンジでやっと合格できた。そしていよいよ被災地を勇気付けるために現地でお披露目というはこびになった。そのあたりの過程と、他の犬のその後も描かれる(死んだ犬や家族の元に戻った犬もいる)。
 ただし前作で紹介されていた映像がこの作品の1/3程度を占めており、もちろん3年後に放送されたときにこれを見ていればこういう配慮もありがたいわけだが、(今回の僕のように)この2本を続けて見るとかなり興が醒める。検定試験の合格の様子が紹介されたのは良かったが、内容自体は前作同様薄めで、多少の物足りなさが残った。もっとも犬好きにはお奨めのドキュメンタリーだと思う。また検定の様子もかなり新鮮で、このあたりは前回と共通であった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『じゃがいもコロコロ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『悪い犬(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『続・犬たちの悲鳴(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2019-04-22 07:10 | ドキュメンタリー

『じゃがいもコロコロ』(ドキュメンタリー)

じゃがいもコロコロ ~災害救助犬への長い旅~
(2015年・東海テレビ)

被災地には残された犬がいた

b0189364_20471860.jpg 岐阜県富加町にある岐阜ドッグトレーニングセンターでは、東日本大震災の被災地(福島県飯館村)に残された飼い犬を保護するという活動をしている(45頭が引き取られた)。その中に生まれたばかりの黒い雑種犬がいて「じゃがいも」と名付けられた。この施設では、復興支援に繋げよう(被災地を勇気付けよう)という発想で、このじゃがいもを災害救助犬(現在国内に300頭)として育てようとしている。だがこのじゃがいも、要領が悪いのかアホなのか、これまで数回検定試験を受けているが、ことごとく不合格に終わっている。今度こそという思いで検定試験を受けさせているが、なかなか結果が出ない。このじゃがいもの奮闘と、保護された他の犬と被災地の元家族との交流を描くのがこのドキュメンタリー。
 じゃがいもが検定試験を受けるシーンから始まって非常に興味をそそられるが、途中、保護された犬と被災地との関係の話が延々と続いて、興味が少しずつ削がれてしまった。結局どっちつかずみたいな内容になって、構成が散漫になったような印象を受ける。そのため見ていて少し飽きてしまった。ユニークな素材だっただけに少々残念。
★★★

参考:
竹林軒出張所『じゃがいも大使(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『悪い犬(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『続・犬たちの悲鳴(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『熱中コマ大戦(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『熱中コマ世界大戦(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『藤井聡太 14才(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2019-04-21 07:47 | ドキュメンタリー

『不信のとき』(映画)

不信のとき(1968年・大映)
監督:今井正
原作:有吉佐和子
脚本:井手俊郎
音楽:富田勲
出演:田宮二郎、若尾文子、加賀まり子、岸田今日子、岡田茉莉子、三島雅夫

スイスイも見た目ほど楽ではない

b0189364_21193808.jpg 割合普通のサラリーマンが、妻以外にも女を作り、しかも子どもまで産ませて、何となくうまくやっているんだが、予想通りゴチャゴチャになっていくというストーリー。うまくやってんだかうまくやられてんだかよくわからないという皮肉な展開になる。男たちがしたたかに生きていると思ったら、したたかなのは女の方だったという話で、女性(有吉佐和子)が書いた小説が原作であることを考えると、こういうストーリー展開も納得が行くというものである。
 主演は田宮二郎で、田宮二郎と言えばハードボイルド的な謎めいた存在の役柄が多いが、この作品では、普通の、とは言ってもかなり成功しているサラリーマンを演じており、しかもこの男、世間をスイスイと渡っているような要領の良さがある。そこに登場するのが女の鑑みたいなホステス、若尾文子で、若尾文子の方は例によって不思議な存在を好演している。他に、同じように世間をスイスイと渡っているような会社社長(三島雅夫)も「スイスイの師匠」みたいな存在として登場するが、こちらもコケティッシュな女(加賀まり子)に心を奪われ、「スイスイ」も端で見るほど楽ではないと思わせる。いろいろなことがシニカルに展開し、普通であれば、女性の厳しい目で描かれた愚かな男たちというふうにも映るわけだが、この映画では、登場する男たち(主人公のサラリーマンと会社社長)が、周りに振り回されながらも、どことなく愉しんでいる風情があって、それがこの作品の魅力に繋がっている。
 キャスト、特に女優陣が豪華だが、スタッフも豪華である。また大映らしい丁寧な作品作りにも好感が持てる。例によって文芸作品が原作というのも大映の良心が感じられて良い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『華岡青洲の妻(映画)』
竹林軒出張所『紀ノ川(映画)』
竹林軒出張所『恍惚の人(映画)』
竹林軒出張所『米(映画)』
竹林軒出張所『婉という女(映画)』
竹林軒出張所『にごりえ(映画)』
竹林軒出張所『雁の寺(映画)』
竹林軒出張所『女の小箱より「夫が見た」(映画)』

# by chikurinken | 2019-04-19 07:19 | 映画

『女の小箱より「夫が見た」』(映画)

女の小箱より「夫が見た」(1964年・大映)
監督:増村保造
原作:黒岩重吾
脚本:高岩肇、野上竜雄
出演:若尾文子、川崎敬三、田宮二郎、岸田今日子、江波杏子、千波丈太郎、小沢栄太郎

いかにも黒岩重吾というストーリー

b0189364_19541550.jpg 変わったタイトルだが、黒岩重吾の『女の小箱』という短編集のうちの一編が「夫が見た」というタイトルで、それが原作であるためにこういうタイトルが付いているんじゃないかと想像する。もっとも原作については読んでいないので、短編集かどうかもわからないし、それにこのストーリー自体、原作から変えられている可能性もある。というのも、映画のストーリーが「夫が見た」というタイトルにふさわしくないためで、そのあたりは原作を読んでいないため詳しくはわからない。ただ映画のストーリー(原作と同じかどうかはわからないが)については割合よく練られていて、凝ったストーリーではある。
 自分の野心を遂げることをひたすら求める男たちと、愛されることをひたすら求める女たちが、絡み合いつつ、当然うまく噛み合いはしないのだが、それが噛み合い始めると関係が崩壊するというかなり逆説的なプロットである。株の買い占めによる企業の乗っ取りがモチーフになっていて、そのあたりも時代を考えるとかなり新しい素材だったのではないかと推測される。ストーリーはこのように意欲的で破綻もないが、終わりの方は少々つまらない収束の仕方をして(と僕は感じた)そのあたりが少しばかり残念なところ。
 演出はオーソドックスで破綻はなく、どのキャストもよく役に収まっている。若尾文子はラブシーンありセミヌードありで、大車輪の活躍である。またクールな田宮二郎も実に魅力的である。キャストは、この時代の他の増村作品と共通する俳優が多いが、どの映画でも非常に個性的な存在を演じているため、他の映画との共通性はあまり感じない。この頃の大映映画は文芸作品の原作が多く、こういった映画は、やはりストーリーがある程度しっかりしているせいか、今見てもあまり色褪せることはない。当時の大映の作品作りへの良心みたいなものさえ感じられる。
 この作品にしても、スリルやサスペンスに溢れた作品で、黒岩重吾作品の雰囲気がよく活かされていると感じる。世間的な評価はこれまでそれほど高くはなかったようが、もう少し評価が高くてしかるべきと思える作品である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『卍(映画)』
竹林軒出張所『刺青(映画)』
竹林軒出張所『妻は告白する(映画)』
竹林軒出張所『氾濫(映画)』
竹林軒出張所『巨人と玩具(映画)』
竹林軒出張所『不信のとき(映画)』

# by chikurinken | 2019-04-17 07:25 | 映画

『女は二度生まれる』(映画)

女は二度生まれる(1961年・大映)
監督:川島雄三
原作:富田常雄
脚本:井手俊郎、川島雄三
音楽:池野成
出演:若尾文子、藤巻潤、フランキー堺、山村聡、山茶花究、江波杏子、山岡久乃、倉田マユミ

奔放に生きる人間らしい女性
ただ共感はできない


b0189364_21001906.jpg ストーリーにあまり意外性や起伏がないため、主題が伝わりにくい。原作が富田常雄の『小えん日記』ということで、日記ものと考えれば、それなりに納得がいく。
 芸者をやっている小えんという女性(若尾文子)は、芸者をやりながら売春まがいのことまでやる。そのためか、性に奔放な性格……というかあまり考えなしにいろいろな男たちと付き合っていく。そこには悪びれた様子もなく、見ていて不快なタイプの人間でもない。こういう小えんという女性の生き様が描かれるのである。
 その後、売春行為が警察に目を付けられたせいで、芸者を辞めざるを得なくなり、ホステスに転身。そこでかねてより面識のあった建築家、筒井(山村聡)に出会い、妾になるという風に話は進んでいくんだが、その間もいろいろな男たちと関係を持つ。この小えん、将来もあまりない憐れな存在であることは、筒井の口から語られるが、本当に刹那的な生き方なんである。こういう若い女性の存在はリアルではあるが、僕のような平凡な人間にとってなかなか共感できにくい存在であるため、映画としての芯が感じにくく、それが主題のわかりにくさに繋がっているのではないかと思う。
 演出自体は非常にかっちりしていて、短いショットが連ねられるのも小気味良い。東宝の川島雄三が大映で初めて撮影した映画だということで、同じく東宝のフランキー堺まで引き連れてきた。外様でいろいろ苦労もあったかも知れないが、そういうことはまるで感じさせないしっかりした作りになっている。主役の若尾文子は、少し抜けた感じの女性を好演。映像で美貌があまり強調されていないのも、人間らしさがかえって引き出されており、良い効果が出ている。
 音楽は現代音楽風で少々変わっているが、映画とは意外に良く合っている。総じて、隅々まで目が届いた、できの良い映画という印象を受ける。相当、地味な作品ではあるが。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『雁の寺(映画)』
竹林軒出張所『しとやかな獣(映画)』
竹林軒出張所『真実一路(映画)』
竹林軒出張所『瘋癲老人日記(映画)』

# by chikurinken | 2019-04-15 06:59 | 映画

『おしゃれ泥棒』(映画)

おしゃれ泥棒(1966年・米)
監督:ウィリアム・ワイラー
原作:ジョージ・ブラッドショウ
脚本:ハリー・カーニッツ
出演:オードリー・ヘプバーン、ピーター・オトゥール、イーライ・ウォラック、ヒュー・グリフィス、シャルル・ボワイエ

よくできたストーリーの
ハリウッド的な犯罪ロマンス・コメディ


b0189364_20574319.jpg 『ローマの休日』『ベン・ハー』のウィリアム・ワイラーが監督した犯罪コメディ・ロマンス映画。
 名画の贋作を作っている富豪の娘(オードリー・ヘプバーン)と贋作を暴く活動をしている捜査官(ピーター・オトゥール)が、いろいろな成り行きで、100万ドルの価値がある彫刻作品(実は贋作)を盗むハメになり、それがロマンスを生むというようなストーリーである。ワイラーらしくユーモアも適度に盛り込まれ、ストーリーもよくできているが、軽いいかにもな60年代ハリウッド作品と言えるような話ではある。
 この作品も、35年位前に見て以来、久しぶりに見たのだったが、幸か不幸かストーリーはほとんど忘れていた。当時も面白いと感じた記憶はあり、おそらくそれはストーリーの部分なんだろうが、同時にヘプバーンがかなり年を食っていて、少々痛々しさを感じたような記憶の方が強い。それに(時代背景のせいもあるんだろうが)化粧も無茶苦茶濃いし、少なくとも『ローマの休日』のときみたいな可憐な美しさはすでになくなっている。
 もちろん、エンタテインメント映画としては上出来で、純粋に楽しみたいという意図で見れば、それほど大きな外れはないと思う。とは言えやはり、先ほども言ったようにきわめてハリウッド的な軽いエンタテイメント作品であり、あるいは好みが分かれるかも知れない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ローマの休日(映画)』
竹林軒出張所『シャレード(映画)』
竹林軒出張所『泥棒成金(映画)』
竹林軒出張所『快盗ルビイ(映画)』
竹林軒出張所『ベン・ハー(映画)』

# by chikurinken | 2019-04-13 07:33 | 映画

『怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ』(映画)

怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ(1965年・東宝)
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭
出演:宝田明、ニック・アダムス、田崎潤、水野久美、沢井桂子、久保明、土屋嘉男

ゴジラがシェー!
見ているこっちがシェーだ


b0189364_19023235.jpg 『フランケンシュタイン対地底怪獣』とかなり共通したキャスト、スタッフの東宝SF映画。僕が今回見たのは、おそらく71年に『東宝チャンピオンまつり』で上映されたであろう短縮バージョンの方である。
 木星の衛星X星の探査に行った宇宙飛行士が、現地でX星人と遭遇し、そのときにX星で破壊活動をするキングギドラを退治するために、地球に棲息するゴジラとラドンを貸してほしいと要請される。だが実は、想像通り、このX星人は地球侵略を目論んでいたのだった……というストーリーである。ストーリー自体は途中まで比較的整合性がとれていて、破綻はなかった。ただ、大風呂敷を収拾できなかったという『インデペンデンス・デイ』のパターンになっているのがはなはだ残念。そもそも、恐るべき力を持つ強力な侵略者を撃退するわけだから、(H.G.ウェルズの『宇宙戦争』みたいに)それなりの説得力がなければ納得できないんだが、強すぎる敵に勝つ方法などそうそうあるはずもなく、結局のところ、かなり苦しい(しかも相当いい加減な)決着になってしまっている。
 しかも最後の方は案の定、三大怪獣が暴れ回るというような子ども受けしそうな展開になって、まったくもって新鮮さがない。SF映画というより子ども映画と言うのがふさわしい内容である。
 特撮は割合よくできているが、こちらもいい年をした大人が見て楽しめるかどうかは微妙である。それにゴジラがシェーをやったりするのも、子ども向けのサービスのつもりか知らないが、正直恥ずかしいからやめてほしいと感じる。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『モスラ対ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『マタンゴ(映画)』
竹林軒出張所『フランケンシュタイン対地底怪獣(映画)』
竹林軒出張所『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(映画)』
竹林軒出張所『イノさんのトランク(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2019-04-11 07:02 | 映画

『フルーツ宅配便』(2)〜(12)(ドラマ)

ドラマ24 フルーツ宅配便 (2)〜(12)(2019年・テレビ東京)
原作:鈴木良雄
脚本:根本ノンジ
演出:白石和彌、沖田修一、是安祐
音楽:高田漣
出演:濱田岳、仲里依紗、松尾スズキ、荒川良々、前野朋哉、原扶貴子、田中哲司、徳永えり、山下リオ、北原里英、成海璃子、山口美也子、筧美和子

世相を見事に映し出したドラマ
それでいてエンタテイメントとして成立している


b0189364_15151869.jpg 鈴木良雄の同名マンガのドラマ化作品。原作マンガの『フルーツ宅配便』は、「フルーツ宅配便」という名前のデリヘル業者での人間模様を描く作品で、現代の世相や貧困を赤裸々に描いているリアリズム・マンガである。
 主人公の咲田真一(濱田岳)が、ひょんな巡り合わせで、デリヘル店「フルーツ宅配便」の見習い店長になる。そこに集まるワケありのデリヘル嬢が中心になって話が展開していくという作品である。原作に基づく話が中心で、そこに、全体を貫くドラマなりのストーリーが絡んでいく。原作で描かれる女性の貧困の話がかなり辛いもので、そのままドラマにしてしまうと現実世界の厳しさが前面に出てきて救いがなくなる。そのためもあって、笑いやとぼけた要素も交えて、エンタテイメント的な要素も存分に入れられている。ドラマとしては、非常に良い配慮だと思う。
 ドラマでは(原作でもそうだが)毎回1人のデリヘル嬢が主人公になって、その女性の背景が描き出される(ほとんどは金やダメ男に苦しんでいる話)。タイトルもその主人公の源氏名(果物の名前)になる。「ドラゴンフルーツ」(ドラゴンフルーツという源氏名の女性は、伝説のデリヘル嬢であるが今は掃除婦をやっているばあさんという設定)は原作ではものすごいインパクトがあったが、ドラマではなんと山口美也子が演じていて、「山口美也子が婆さん役か……」と思うと、なかなか複雑な心境になった。b0189364_15152311.jpgキャストで言えば、第2回では成海璃子がモモ役でデリヘル嬢を演じていて、少々場違いな印象を受けたが、存在だけでインパクトがあった。なおこの回は、元木大介が本人役で出ていたが、意図がわからない。どうして元木だったのか、せっかく出すんならもう少し大物でないとつまらないだろうと思うが(それなりに面白さはあったが)。
 ドラマではともすると、人身売買とか覚醒剤とか暴力とか、ダークな世界が出てくるので、必ずしも楽しい気分になるようなドラマではない。EGO-WRAPPIN’のオープニングテーマ曲(「裸足の果実」)がこういったダークな雰囲気を定義しているようにも思え、なかなか良い選曲だと思わせる。エンディング曲は逆に少々明るい音楽で、ドラマで少し沈んだ気持ちが和らげられ救いがもたらされる。高田漣の選曲らしいが、非常にお見事である。
 原作の味を活かしながらも、連続ドラマとして成立するような改変を施しているなど、全体的にはよく練られた脚本と言える。ただし最後の方で、風俗嬢が売り飛ばされ一生監禁されるという「売春島」などというネタが出てきたりして、見ていてアホらしくなってくる。もう少し何とかならなかったものかと思う。原作がリアリズムの作品で、それが根底にあるんだからファンタジーを盛り込んじゃいけません。濱田岳と仲里依紗の魅力で何とか成立していたのが救い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『フルーツ宅配便 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『最貧困女子(本)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『俺のダンディズム (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『終電バイバイ(2)〜(4)(ドラマ)』

# by chikurinken | 2019-04-09 07:18 | ドラマ

『学校って何だろう』(本)

学校って何だろう 教育の社会学入門
苅谷剛彦著
ちくま文庫

学校と教育にまつわる常識を疑う

b0189364_18200681.jpg 元々は『毎日中学生新聞』に連載していた文章をまとめて、編集・加筆した本らしい。学校と教育にまつわるさまざまな現象について、そのまま受け入れるのではなく、まず疑問を持ち、自分なりに考察しようと提案する本である。元々の連載が『中学生新聞』であるため、中学生に語りかけるような口調になっているが、決して(生徒に教えてやるというような)えらそうな言説ではなく、一緒に考えてみようよというような優しいアプローチである。
 全8章構成で、俎上に上がるのが、勉強自体(どうして勉強するのか?という疑問)、試験(試験とは何か?という問)、校則(これについては30年ぐらい前に世間でもかなり話題になった)、教科書(教科書の役割など)、隠れたカリキュラム、先生の世界、生徒の世界、学校と社会のつながりである。こういうのは、僕も中高生の時にかなり悩んだというか考えたクチで、当時こういった本があれば、随分役に立っただろうと思わせるような、非常に興味深い考察である。特に「隠れたカリキュラム」について(学校のカリキュラムという形では存在していないが、学校生活を送る上で従うことが強いられる習慣。たとえば授業中黙って座っているなど)は、かなり斬新な指摘で、僕自身については、今までこういうものの存在を意識したことすらなかったため、目からウロコであった。実際ネット上でも、このあたりの言説をそのまま紹介しているようなサイトがあり(僕はそのサイト経由でこの本に到達したわけだが)、やはりこの着目点が多くの人にとって侮れないということが容易に想像できる。
 記述は平易で、多少くどさを感じるくらいだが(中高生にはちょうど良いかも知れない)、しかし内容は濃いし、「常識」とされているものに疑問を持ってみるという大切な方法論を若者に教えるあたり、評価に値する。若い世代に勧めたくなるような良い本である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『こんばんは(映画)』
竹林軒出張所『みんなの学校(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『本当は学びたい(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『学ぶことの意味を探して(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『高校中退(本)』
竹林軒出張所『ドキュメント 高校中退(本)』
竹林軒出張所『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する(本)』

# by chikurinken | 2019-04-07 07:19 |

『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(本)

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
田中圭一著
角川書店

欝病についてうまいこと整理したもんだ

b0189364_19082151.jpg 自身でも欝病を経験したというマンガ家の田中圭一が、自身の体験の他、さまざまな欝病経験者16人の経験を聴き取りして、そのエピソードをマンガとして書き起こした本。
 欝病経験者として登場するヒトの中には、大槻ケンヂ、代々木忠、内田樹、一色伸幸という有名人もいて、こういう人たちが欝病だったということについて僕はほとんど知らなかったため結構新鮮だった。同時に、誰でも欝病になり得るということが再確認させられる。
 本書の最後(第20話)の「総まとめ」という項で欝病の原因と対策などについて著者なりの見解を述べていて、この項が特に有意義である。要は、(人が本来必要としている)自己肯定感が阻害されることが欝病の原因で、自己肯定感を得られる活動をすることこそ対策として有効というもので、過去に同様の経験を持つ僕もこの点、納得である。
 マンガとしての魅力は欠ける(マンガにする必然性が感じられないのだ)が、実のところ非常に意義深い考察が含まれており、この本があるいは欝病治療の画期になるかも知れないとさえ感じる。ユニークな存在の本と言える。
★★★

参考:
竹林軒出張所『セクシィ古文(本)』
竹林軒出張所『失踪日記2 アル中病棟(本)』
竹林軒出張所『うつ病九段(本)』
竹林軒出張所『入院しちゃった うつウーマン(本)』
竹林軒出張所『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する(本)』

# by chikurinken | 2019-04-05 07:07 |

『独裁者ヒトラー 演説の魔力』(ドキュメンタリー)

独裁者ヒトラー 演説の魔力
(2019年・NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

過去から学ばないものに明日はない

b0189364_20393022.jpg かつてドイツ国民を大いに魅了したヒトラーの演説の秘密を探るドキュメンタリー。
 1932年にドイツの首相に就任しその後総統の地位まで上り詰め、ヨーロッパ中に災厄をまき散らす結果になった独裁者ヒトラー。彼の地位を確立したその最大の要因は、その扇動的であり同時に魅力的な演説である。このドキュメンタリーでは、当時、この演説の現場に立ち会った何人かの人々に当時受けた印象や感銘について語らせ、あわせてその演説テクニックや演出などについても言及する。そのため、当時の映像もふんだんに現れる。
 ヒトラー関連のドキュメンタリーはこれまでも数々作られており、このドキュメンタリーもそういった作品と大きく変わることはないが、当時の人々のリアルな感じ方を聴き取った上でそれを現象として検証した点がユニークと言えばユニーク。インタビューを受ける人々の中には、ヒトラー・ユーゲントとしてニュルンベルグの党大会に招待された人や、ヒトラーの演説に魅了され空軍に入隊した人などもいるが、総じて、党大会などの映像を見る目は懐かしそうで(中には敬礼をしたりユーゲントの行進曲を歌ったりする人までいる)、下手をすると軍国主義賛美みたいにも受け取られかねない。ドイツの国内ではヒトラーに関する表現が規制されているらしいが、こういうのは大丈夫なのかと勝手にヒヤヒヤしてくる。だが中には、かつてヒトラーのシンパであったにもかかわらず、ユダヤ人弾圧政策のせいでユダヤ人の義父が拘束され(解放されるがその後人格が変わってしまい1年後に死去)ヒトラーに対する感情が少しずつ変わっていったという人もいて、それぞれが複雑な思いを抱えていることが分かる。しかし一様にヒトラーの演説は魅力的だったと語る。ベートーヴェンの第九交響曲の最終楽章みたいな高揚感だったという証言もあり、当時の映像に映っている民衆の顔もワールドカップの自国チームの勝利に酔いしれる人々の顔のようにさえ見える。ヒトラーの演説はドイツ人に「新しい信仰」を植え付けるものだったと語る人もいた。
b0189364_20393457.jpg つまるところ、ナチスの戦争と虐殺を推し進めたのは、こういった一般民衆の支持であったということが分かるのだ。彼らの多くは戦後になって、ヒトラーに騙されたと口にしたようだが、だがナチスの推進力になったのは民衆の力である。これは日本の軍国主義にも言えることである。戦争を支えるのは一般民衆であり、たとえデマゴギーに扇動されたとしても、だからといってそれを支持し、しかも虐殺に(間接的に)加担していたことの言い訳にはならないのだ。だからこそ後の世代は過去の出来事、失敗について反省しなければならないわけだが、それをないことにしたい勢力もあるわけで、だが失敗をないことにしてしまうとそこから何も得られなくなってしまう。少なくともこういった、自らと直接関係しない、よその事情を目にすれば、自身の歴史を謙虚に振り返るきっかけにはなるかも知れない。そういう意味でも、ナチスのテーマを日本で取り上げる価値は十分あると言える。過去から学ばないものに明日はないのである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ヒトラー 権力掌握への道 前後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『アフター・ヒトラー 前後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー・クロニクル(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 最後の日々(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第3集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『特攻 〜なぜ拡大したのか〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“駅の子”の闘い(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2019-04-03 07:39 | ドキュメンタリー

『映像の世紀プレミアム 第12集』(ドキュメンタリー)

映像の世紀プレミアム 第12集 昭和 激動の宰相たち
(2019年・NHK)
NHK-BSプレミアム

映像的な目新しさは少ない

b0189364_16322425.jpg 過去の日本の首相にスポットを当てる『映像の世紀プレミアム』の最新版。
 冒頭、犬養毅や大隈重信、ひいては伊藤博文、田中義一などの映像が出てきて非常に期待を持たせたが、こういった珍しい映像は結局これだけで、番組は近衛文麿、東条英機、吉田茂、岸信介を中心に展開したため、割合よく目にする映像に終始してしまった。
 とは言うものの、彼らが首相を務めていた時代は戦前、戦中、戦後のもっとも重要な時代であり、戦前の挙国一致体制、軍国主義体制、戦後の民主主義体制をしっかりと追いかける内容になっていて、それなりに見所はある。特に、現在から遡って見ると軍部の暴走を招いたと思える近衛文麿が、軍部の独走を止めるという確固とした意志を持って首相に就任したというんだから、今の時代からは逆説的にも見栄、驚きである。
 他にも吉田茂の対米外交や60年安保のいきさつなどが映像を交えて紹介され、興味深い内容にはなっていたが、そうは言っても、珍しさという点からは少々物足りない。内容は悪くはなかったが、僕としてはむしろ、明治、大正時代の珍しい首相の姿が映っている映像の方を期待したいところであった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『昭和史 1926-1945(本)』
竹林軒出張所『昭和史 戦後篇(本)』
竹林軒出張所『華族 最後の戦い(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『小説吉田学校(映画)』
竹林軒出張所『戦後70年 政治の模索(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第1集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第2集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第4集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第7集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第8集(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2019-04-01 07:31 | ドキュメンタリー

『二つの祖国 後編』(ドラマ)

二つの祖国 後編(2019年・テレビ東京)
原作:山崎豊子
脚本:長谷川康夫
演出:タカハタ秀太
出演:小栗旬、多部未華子、仲里依紗、高良健吾、ムロツヨシ、池田エライザ、橋本マナミ、田中哲司、リリー・フランキー、中村雅俊、ビートたけし、笑福亭鶴瓶、織田信成

「時代錯誤」的なドラマになった

b0189364_17051925.jpg 山崎豊子原作の同名小説のドラマ化作品。「テレビ東京開局55周年特別企画」という副題が付いている。
 後編は、米軍の戦後処理、日本への進駐がストーリーの背景になる。主人公の賢治(小栗旬)は、なんと東京裁判にモニター(通訳を監視する役)として参加することになる。とにかく登場人物を歴史の最前線に持ってこようという原作者の意図が見え隠れして、作為性を感じてしまう。それはたとえば、同じく主役級の梛子(多部未華子)が(戦時中も米国に住んでいた日系米人でありながら)原爆投下の瞬間に立ち会い、被曝するというストーリーにも現れている。登場人物が歴史的な重大事件にそう都合良く関わるなんてことはいくらなんでも無理がある。歴史ドキュメンタリーじゃないんだから、そこまで歴史的事象の中に入っていかなくても良いだろうと思うが。
 しかしそのために東京裁判の模様まで描かれることになり、東京裁判のシーンが再現されることになった。で、大川周明(笑福亭鶴瓶)が東條英機(ビートたけし)の頭を張るシーンも再現されているが、残念ながら他のシーンとまったく脈絡がなく、結局「再現」で終始してしまっていた。大川周明は単に変なオッサンとして描かれており、東條英機もまったく東條らしさがない(東條ではなく、ヅラをかぶったたけしにしか見えない)。
 総じて、無理に登場人物を動かしている(これは原作の問題)、キャストに無理なセリフを言わせている、役者の演技も大ぶりでなっていない(特に多部未華子と仲里依紗。他のドラマでは割とうまいのに、このドラマではセリフ回しがまるで舞台劇のようでクサかった)など、いろいろアラが目立つドラマになってしまった。そのためドラマ作り自体が、全体的に「時代錯誤」であるような印象さえ受ける。テーマは伝わってくるが、こちらも何だか教条主義的で面白味がない。このドラマを5時間もかけて見るぐらいなら、同じ素材を扱ったドキュメンタリーを見た方が、はるかに有意義だったと思う。
 それからさらにもう一つ、ドラマの挿入音楽がことごとく60〜70年代のアメリカンポップスで、内容との脈絡がまったくなく、完全に浮いていたことも付け加えておきたい。音楽的な趣味の悪ささえ感じた。
★★★

参考:
竹林軒出張所『二つの祖国 前編(ドラマ)』
竹林軒出張所『ドラマ 東京裁判 (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『華麗なる一族(映画)』
竹林軒出張所『不毛地帯(映画)』
竹林軒出張所『ぼんち(映画)』

# by chikurinken | 2019-03-30 07:04 | ドラマ

『二つの祖国 前編』(ドラマ)

二つの祖国 前編(2019年・テレビ東京)
原作:山崎豊子
脚本:長谷川康夫
演出:タカハタ秀太
出演:小栗旬、多部未華子、仲里依紗、麻生祐未、松重豊、高良健吾、新田真剣佑、ムロツヨシ、池田エライザ、柄本佑、仲村トオル、泉谷しげる

後編の東京裁判が唯一の愉しみ

b0189364_18464357.jpg 山崎豊子原作の同名小説のドラマ化作品。「テレビ東京開局55周年特別企画」という副題が付いている。
 主人公は日系米人で、太平洋戦争時の米国内での日系人迫害から戦後処理に至るまで話が続く。前編は太平洋戦争末期までで、日系米人たちが自分のアイデンティティについて思い悩むというのが、この前編のテーマである。ブラジルの日系人社会で起こったような(竹林軒出張所『遠い祖国 前・後編(ドキュメンタリー)』を参照)、親日愛国主義者と親米日系人とのせめぎ合いもある。あわせて家族や夫婦の問題も扱われ、ストーリーは重層的である。
b0189364_18464914.jpg キャストも割合豪華で、原作も相当な力作と思わせるが、無理なストーリー展開が少々鼻につく。前線で敵味方に別れた主人公兄弟が出会ったりするという展開があるが、これは相当な無理な設定であって、こういうのを目にすると途端に白けてしまう。こんなシーンは要らないというか、むしろない方が良いと思うがどうだろう。
 それにセリフがこなれていないせいか、多部未華子が非常に演じにくそうで、終始妙なアクセントでしゃべっている(あるいは演出のせいか)。他のキャストも今一つという印象が強い。見る前の期待が大きかったため、その辺が余計ガッカリではある。ただ後編では東京裁判のシーンが再現されるらしく、そのあたりが一番の楽しみになるのではと思う。東京裁判の席で、大川周明が東條英機の頭を張るシーンも再現されているらしい。
★★★

参考:
竹林軒出張所『二つの祖国 後編(ドラマ)』
竹林軒出張所『華麗なる一族(映画)』
竹林軒出張所『不毛地帯(映画)』
竹林軒出張所『ぼんち(映画)』
竹林軒出張所『遠い祖国 前・後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『総書記 遺された声(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2019-03-29 07:46 | ドラマ