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竹林軒出張所

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年頭の所感、もとい雑感

b0189364_1054373.jpg 昨年に引き続いて年頭の所感などを。
 歌にもあるように

お正月と云えば
炬燵を囲んで
お雑煮を食べながら
テレビを 見ていたものです

というのが70年代〜80年代の新年の過ごし方だっだが、

今年は 見るテレビが
なかったんです

ときた。
 ここ数年、毎年のことといえば確かにそうだが、今年は特にひどい。食指が動くものさえほとんどない。作ってる方は、芸人を呼んで何かやらせたら面白いと思っているのかも知れないが、全然面白くないぞ。芸人は芸を見せてなんぼである……ってことに製作側が気付いたのか、今年は演芸番組もやたらに多い。すべてのチャンネルでやったんじゃないかというような勢いである。いいかげん吉本に頼るのはやめた方が良いんじゃないか、テレビ局も。
 頼るといえば、昨年の紅白歌合戦だが、歌手のラインナップを見るとジャニーズが7組、AKB関連が6組で、いっそのことJ-A歌合戦にしたらどうかと思うほどだ。特定プロダクションに頼りすぎである。もっとも僕自身は、紅白歌合戦なんか30年来見ていないので実際のところはよくわからない。毎日チェックしているnikkansports.comにやたらそういった芸能情報が出てくるんで知っているに過ぎない。何でも中森明菜まで出て来たそうじゃないか。声が出なかったんじゃないかなどと危惧するが、そうなるとまさに人寄せパンダで、少々痛ましい気もする。ま、見てないんでよくわからないが。
 今年は紅白の裏番組として、ボクシング中継を2局でやっていたが、これもなんだかよくわからない。一時期やたら格闘技番組が年末に集められていたことがあったが、とうとうボクシングか……と思う。どうして別の放送局で同じ時間帯に同じようなものをやらなけりゃならんのかもよくわからない。選挙報道もそうだ。恒例行事のように、全部のチャンネルで選挙速報番組を長々とやっている。この国は全体主義国家かと思う。選挙なんか結果さえわかりゃ良いんだ。開票の実況中継やる意味がどこにあるってんだ。年末もそうだが、こういった類の特番をやるせいで、毎週見ている数少ないテレビ番組さえ飛んでしまったりする。むしろ迷惑きわまりない存在なんだが、他の局がやるという理由だけでいつまでもやめることができないようだ。放送が既得権益に縛り付けられているのが見て取れるというものだ。いっそのこと放送免許をもっとバンバン発行して、系列以外の中小放送局を増やせば多様性が増して面白くなるんじゃないかと思うが、今の行政・立法の人々にそんなことをやるだけの器量がある人はいないだろう。
 そういうこともあって正月は、今まで撮りためていたドキュメンタリーを見続けた。そのため、このブログでは、これから立て続けにドキュメンタリー(それもマイナーな)のレビューが出ることであろう。ここを訪れてくださっている多くの人にとっては退屈になるかも知れないが、だからといって「食指が動くものがない」、「全然面白くないぞ」などと批判しないでいただきたいところだ。

参考:
竹林軒出張所『カバー曲にまつわるあれこれ』
竹林軒出張所『国名改正論(「チャバン」という国の国民)』
by chikurinken | 2015-01-03 10:10 | 日常雑記

のりやんの消息

 何気なくニュース番組なんかを見ていると、大学時代の同級生がコメンテーターとしてシレッと登場するということがこれまで何度かあった(みんな偉くなっておるみたいで)が、今日はもっとビックリ。長年消息がわからなかった幼なじみがNHKのドキュメンタリーに登場したんだから。
 その番組というのは、『ゴジラ生誕60年 日本の特撮 驚異の技』というドキュメンタリーで、円谷英二以来の日本の特撮技術を紹介するという、別段どうということのないプログラム。そこにミニチュア製作会社(マーブリング・ファインアーツ)の代表が登場してきた。僕はそのとき、テレビを見ていて思わず「のりやん!」と叫んでいたのだった。その人こそ、岩崎憲彦って人で、風貌も雰囲気もあまり変わっていないんですぐにわかったのだが、僕は幼い頃、この人によく遊んでもらって、釣りやマンガの手ほどきを受けていたのだった。他にも何か面白そうなことをいろいろ僕にもたらしてくれた人だった。尊敬すべきあんちゃんという感じの人で、この人を含めて、近所の子どもたちと一緒に野球をやったりあちこちをかけずり回ったりしたのだった。
b0189364_862194.jpg のりやんについては、あちらが高校生(こちらが中学生)のときまでつきあってもらったが、高校卒業後についてはほとんど消息を聞いておらず、何をしているか気になっていたのだ。噂によると、当時、佐藤純弥監督の映画に下っ端として参加したという話だけ聞いたが、実際にこの映画を見てみたところ、タイトル・ロールでは名前を見つけられなかった。それがいきなり、日本を代表するミニチュア製作会社の代表であるということがわかったんだから、うれしいなんてもんじゃない。昔から非常に器用でしかもユニークな人だったんで、何か大きなことをやっているんじゃないかという期待はあったのだ。僕も今みたいに底辺で蠢いていないで、そろそろやることをやらなけりゃ、顔を会わせることさえできないな……などと大きな刺激を受けたのだった。
by chikurinken | 2014-09-05 08:08 | 日常雑記

『俺のダンディズム』(1)〜(3)(ドラマ)

俺のダンディズム(2014年・テレビ東京)
演出:石井辰之助
脚本:堀田延、濱谷晃一
出演:滝藤賢一、森口瑤子、大方斐紗子、石橋杏奈、 前川泰之、パンツェッタ・ジローラモ

ドラマと呼ぶにはちょっと抵抗があるが

b0189364_8283886.jpg テレビ東京の深夜枠と言えば、前に紹介した『YOUは何しに日本へ?』(現在ゴールデンタイムに移動)や『解禁! 暴露ナイト』(現在『〜裏ネタワイド〜DEEPナイト』に模様替え)など、ちょっとした充実ぶりを見せているが、最近登場した『俺のダンディズム』という番組もなかなかあなどれない。
 主人公の会社員、段田一郎(滝藤賢一)が、「ダンディ」になるためにさまざまなダンディ・グッズを手に入れるという内容のドラマで、確かに実質的にはドラマなんだが、どちらかというとコントのノリ。あちこちくすぐりが散りばめられている。しかも内容から想像できるようにモノが前面に押し出されるため、メインの部分は名品紹介で、『モノ・マガジン』などのカタログ雑誌を連想させる。それもそのはず『モノ・マガジン』と『MEN'S EX』が監修ときている。
 扱われたダンディ・グッズは、第1話が時計、第2話が万年筆、第3話が靴で、いかにも『モノ・マガジン』風なラインアップと言える。僕自身は万年筆の第2話をたまたま目にしてこの番組に興味を持ったんだが(その後第1話もオンデマンドで見た)、モノの背景になっている蘊蓄が語られるんで、たとえそれが興味のないモノであっても十分楽しめる内容になる。
 先ほども言ったように、ドラマ自体は少しコント的な匂いがするもので、間の面白さやとぼけた味わいがある。主人公、段田の冴えない中年男らしい言動も非常に面白いが、少しバカバカしいほどの大げさなセリフが生真面目に語られたりして、そういうのもあわせて見所である。また(コントではなく)純粋なドラマとして考えても、完成度が高く質が高いのは変わらない。マダムMの女主人(森口瑤子)や店員(大方斐紗子)、マドンナ女子社員(石橋杏奈)もそれぞれ良い味を出している。
 主人公の段田だが、バッグと財布がいかにも貧相で「冴えない中年男の持ち物」然としているため、第5話以降のテーマは「バッグ」、「財布」と続くんじゃないかと思う(第4話は手帳)。各回の最後は、マドンナ女子社員がストーカーにつきまとわれているような不気味なエピソードで唐突に終わるが(今のところ各回の内容とまったく関係ないシーン)、これもこの後ストーリー展開に大きな意味を持ってくることが予想される。おそらく段田が、見栄えだけでなく本物のダンディに生まれ変わってこれに対処するみたいな話になるんじゃないかと思われるが、当然ながら詳しいことはよくわからない。
 ともかく今のテレビ東京の深夜枠は、1990年代のフジテレビの深夜枠に匹敵するほどの充実ぶりである。これだけは間違いない。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『俺のダンディズム (4)〜(12)(ドラマ)』
竹林軒出張所『アドリブの相乗効果 - 「YOUは何しに日本へ?」が面白い』
竹林軒出張所『「日本世間噺体系」テレビ版』
竹林軒出張所『ラジカセ(ドラマ)』
by chikurinken | 2014-05-03 08:30 | ドラマ

孫にはやけに優しいがその実とんでもなく頑固な老職人を思わせるCM

 その昔『キンカン素人民謡名人戦』というテレビ番組が放送されていて、土曜日の午後の顔になっていたことを皆さんは知っておられるか。
b0189364_932846.jpg 僕がテレビでよく目にしていたのは1960年代後半から70年代までだったが、実際には61年から93年まで続いた長寿番組で、司会者も5、6回代わっているらしい。僕が見ていた時代は、パッとしないおじさん(三和完児という人)と鈴木ヤスシで、司会者もパッとしないが内容自体もパッとしないという、そういう番組だった。
 なんと言っても素人参加型の民謡番組という地味にもほどがあるコンセプトで、他に例がないという意味ではオリジナリティ抜群ではあるが、どうしてこういう異色の番組があったのか、しかもキンカンという冠がついた一社提供の番組が……と考えると、当然、キンカンの会社の偉いさんが民謡好きなんだろうかなという点に落ち着く。で、今Wikipediaで調べるとやはりそうだったようで、いくら民謡好きだと言っても、こんな地味な番組が30年以上も続いたのは今考えると驚きである。
 民謡になんぞまったく興味がなかった当時ガキンチョの僕ではあったが、土曜の午後、何をするともなくテレビをつけているとこの番組が出てくるわけで、今考えると結構よく見ていたことになる。とは言ってもそのせいで民謡好きになったりすることもなく、むしろ、審査員が小さなプラカードみたいなものを使って素人歌手の歌を採点したりするという趣向が面白いと感じていたのである。しかも司会者がそれに合わせて「10点、10点、10点と出ましたっ」などと叫んだりするのもまた一興であった。
b0189364_9321735.jpg どうしても年配の方向けというイメージがつきまとうんで、同世代の人間(当時の若者)でこの番組を知っている人がいるのかはよくわからないが、僕が学生になってから、ある同級生がくだらないシャレを言ったときにすかさず「10点、10点、10点と出ましたっ」と言い放った際にごく一部の人間の間で受けていたんで、おそらく彼らはこの番組を見たことがあったんだろうと思う。いずれにしても当時の若者にとってはマイナーな存在であったのは確かである。
 でまあ、番組についてはその程度の印象しかないんだが、そのときのコマーシャルがなかなかキョーレツだったというのが今日の本題である。言わずと知れた、金冠堂(当時テレビでは「キンカン本舗」と言っていたような気がするが)の商品、キンカンのコマーシャルだが、まずコマーシャルソングが非常に印象的。単純かつ明るい童謡のようなメロディで、詞もリズミカルでなかなかふるっている。こんな歌詞ね。

キンカンCMソング
作曲:服部正/作詞:藤浦洸

b0189364_9243289.jpgカンカン キンカン キンカンコン
カンカン 鍛冶屋のおじいさん
肩こり 腰の痛みには
キンカン塗って また塗って
元気に陽気に キンカンコン
☆ミカン キンカン サケノカン
ヨメゴモタセニャ ハタラカン

カンカン キンカン キンカンコン
カンカン 家庭の常備薬
毒虫 水虫 蚊やぶよに
キンカン塗って また塗って
明るい暮らしを キンカンコン
☆(繰り返し)

 キンカン自体がどういう製品かはよく知らないが、虫刺されとか肩こりとかに効く薬なんだろうなというのは歌からも推測できる。そういう意味でもコマソンとしては絶品なんだろう。ちなみにこの歌、現在、金冠堂のホームページで聞くことができる(『金冠堂のホームページ | CM紹介』を参照)。Wikipediaによると、60年代のCMソングは「唄:雪村いづみ・ダークダックス」ということになっているが、ホームページで提供されているバージョンは、おそらく天地総子が歌っているんじゃないかと思う(ちなみに僕が馴染んでいるのもこのバージョン)。
b0189364_925651.jpg もう一つ記憶に残っているのは、ある時期に放送されていた(おそらく期間限定の)キンカンのコマーシャル。先ほども書いたようにキンカンを使ったことがないのでよく知らないが、匂いが独特だったらしくて(なんせ主成分はアンモニア水だから)、当時、これを改善してほしいという要望が顧客から会社にたびたび寄せられていたようだ。それについてコマーシャル内で言及するんだが、そのときに金冠堂からの回答として「キンカンは香水ではないのです!」と言い放っていたのだった。あまりの潔さに、当時まだ少年だった僕の心には強い印象が残った。匂いがきつくてイヤという声が客からあがったら、香料を加えるとか匂いの成分を研究して変えてみるとかするのが一般的なアプローチなんだろうと思うが、「香水ではない」と言い切るとはなんという頑固さ。製品によほど自信があるんだろうと子ども心に妙に納得したのを憶えている。あの時代、あの正露丸ですら糖衣錠を出して、それをしきりに宣伝していたというのに……。
 あれから数十年、キンカンは今でも昔と似たようなパッケージで売られているようだが、その後内容成分はどうなったのだろうかと思う。成分は相変わらずで独特の匂いが残っているのだろうか、もしかしたらその後日和って匂いが改善されたりしているのではないか、非常に気になるところではある。昨今ではあまり見られない職人的頑固さが今でも残っていることを期待している自分がいるのだった。

参考:
『金冠堂ホームページ』
by chikurinken | 2014-02-08 09:26 | 放送

ヤマグチさんからのメール

 ヤマグチさんからメールが来た。といってもクリスティー・ヤマグチでもなければ、山口ツトムさんでもない(ネタが古くて恐縮です)。
 何を隠そう、メールを送ってこられたのはあのシェリー・ヤマグチ氏で、京都の伝統文化におそろしく広いコネを持つ(と思われる)あの美女である(竹林軒出張所『外国人が見た禁断の京都(ドキュメンタリー)』)。あの番組ではコーディネーターみたいな立場で登場していたが、メールの文面から察すると、NHKの番組の制作に関わっておられる方のようで、NHKの人?なのかな。
b0189364_8445525.jpg メールの内容は、来週早々に放送される番組の件がメインで、これは皆さんにも早めにお知らせしなければなるまいということで、急遽この場でお知らせすることにした。案内ページを見る限り、指揮者の西本智実がバチカンでオラショを演奏するまでの過程を追うというもので、非常に興味深い。見たところ、NHKではあまり番宣に力を入れてないようで、もったいないよなーと思う。
 またメールには、「禁断の京都」シリーズは全部で6本あって、国内のNHKで放送されたのは件の2本だけということもあわせて書かれていた。こちらももったいない限り。ま、いずれ放送されるんじゃないかと思うが。
 ということで、ヤマグチさんのメールもそのまま掲載しようかと思う。本当ならヤマグチさんの許可を得るのが筋ってもんだが、緊急の番宣なんで事後承諾いただくってことで、ひとつよろしくお願いいたします。もし問題あるようでしたら、おっしゃってください(→ヤマグチさま)。

参考:
竹林軒出張所『外国人が見た禁断の京都(ドキュメンタリー)』

 以下文面。

-----------------

竹林軒さま

前略 いきなりお便りさせていただく御無礼、どうかお許しください。

はじめまして。
わたくしは、シェリー・ヤマグチと申します。
NHKの「禁断の京都」という番組の案内役をしております。
竹林軒さまには、番組を御高覧戴き、
さらに、真摯な御意見をブログに掲載していただきまして、
誠に有難く、心から感謝しております。

「禁断の京都」シリーズは、現在進行形で制作が進んでおり、
海外放送(NHK WORLD)では、既に6本を放送しております。
「Forbidden Kyoto」というタイトルです。
残念ながら日本語版は、竹林軒さまに御覧いただいた2本のみです。

昨今では、若者のTV離れが進み、ネット配信が主流だそうです。
わたくしとしては、あえてフルハイビジョンで制作し、TVで放送する番組は、
日本文化と、その精神性の高さを、圧倒的な美しい映像で伝えるべきであり、
日本人でさえ知らぬ禁断の世界を、世界に、日本に、発信したいと思料しており、
いくら予算が無いとはいえ、せっかく制作した残りの4本についても、
日本語版が制作され、日本国内で放送されるように願っていますが・・・。
視聴様からの強い要望が局に寄せられない限り、なかなか実現しません。
特に、竹林軒さまには、全シリーズ見て戴いて、
御意見や御感想をうかがいたいので、残念でなりません〜。

因みに、他の4本は、どのような内容かと申しますと、
NHK WORLDのHPに、予告編とラインナップが載っていますので、
お時間の許す時に、チェックしてみてください。

★Forbidden Kyoto番組HP

★番組ラインナップ

ところで、話は変わりますが、
わたくしが、ここ数年、全精力を費やして来た番組が完成し、
放送日時が決まりました。

長崎県の生月島に、今なお伝わる「隠れ切支丹」の祈りの歌「オラショ」が、
今から約500年前、宣教師に寄り日本に伝わった当時の形で、
強い百年の時を経て、ヴァチカンで演奏されました。
その過程を追った、ドキュメンタリー番組です。

今年の春に新法王に選出されたフランチェスコ1世は、
ヴァチカン派閥の中でもイエズス会に所属。
イエズス会から法王が選出されたのは、初めての事だそうですが、
奇しくも、500年前、日本に渡り、布教活動に従事した宣教師のほとんどが、
イエズス会の人だったということに、少なからず運命を感じました。
世界中のクリスチャンたちが、ラテン語を使わずミサを行っている今、
なんと、ヴァチカンと生月島だけが、いまだにラテン語でミサをあげています。
そして、ヴァチカンにさえ現存しない讃美歌(オラショ)が、
過酷な弾圧をくぐり抜け、いまだに、生月島に伝えられているのです。

来週のクリスマス祝日の月曜日、夕方5時からです。
12013年12月23日(月) 17:00〜
チャンネルは、NHK総合1chです。

この番組にご興味を持っていただき、御高覧戴けたら幸いです。
そして、感想、御意見など、伺えたら嬉しいです。

大寒の折りから、どうぞご自愛下さいませ。

かしこ

SHERRY YAMAGUCHI
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by chikurinken | 2013-12-21 08:49 | 放送

手塚・石森アニメ/特撮ドラマ回顧

 手塚治虫、石森章太郎といえば、我々世代にとっては非常に愛着のある存在。かれらのマンガはもちろん、かれらが原作のアニメも同時代の子どもとして折に触れて接触してきている。昨日も紹介したが(竹林軒出張所『手塚×石ノ森 ニッポンマンガ創世記(ドキュメンタリー)』参照)、その手塚治虫、石森章太郎の特集が今月NHK-BSで組まれていて、彼らが原作のアニメ/特撮ドラマも大量に放送された(他にかれらをモデルにしたドキュメンタリードラマも放送)。
 アニメ/特撮ドラマはどれも初回と最終回をセットで放送するというもので、放送されたアニメ/特撮ドラマのラインアップは、手塚治虫作品が『マグマ大使』、『鉄腕アトム(アニメ第1作)』、『ブラック・ジャック』、『ビッグX』、『ミクロイドS』、『ジャングル大帝』、『リボンの騎士』。石森章太郎作品が『仮面ライダー』、『がんばれ!! ロボコン』、『変身忍者 嵐』、『さるとびエッちゃん』、『人造人間キカイダー』、『サイボーグ009(アニメ第1作)』、『秘密戦隊ゴレンジャー』というもの。
 同時代で見たものもあるが、『ロボコン』や『ゴレンジャー』は初放送時すでにこっちもそこそこ年長になっていたため、面白いと感じたことはない。大体このころの石森章太郎は、子ども心に商業主義的な匂いがして、しかも内容自体ちょっとお粗末だったこともあってあまり思い入れはない。しかもその後、『マンガ日本経済入門』を出すに至って、いかにもコビコビの商業主義というイメージを持ってしまったため、手塚治虫と違って、石森氏に対してはあまり良い印象はない。それに『マンガ日本経済入門』の頃、名前を石森から石ノ森に改名したのもなんだか良い気分はしなかった。そのため、石ノ森章太郎という呼び方はいまだに違和感がある。僕の中では石ノ森章太郎は「石森章太郎」ではないのだ。
b0189364_7445814.jpg さて、放送された番組だが、初回と最終回をセットにするというのはなかなか面白い企画で、その作品を俯瞰するにはもってこいと言えるかもしれない。『マグマ大使』は最終回を見るのは40年ぶりくらいでなかなか新鮮だったんだが、正直言って設定もいい加減だし映像が実にチャチな感じがした。『マグマ大使』は、初放送時に見たときは、もうとにかくゴアが怖くて、アニメを混ぜた演出や、マグマ大使の頭の位置からの俯瞰撮影、ロケットからマグマ大使に変身する特撮シーンなんかも非常に斬新さを感じたが、怪獣とヒーローの格闘シーンについては、今見るとやはり円谷プロに一日の長があると見た。それにマグマ大使の着ぐるみがボロボロだったのももの悲しさがある。
b0189364_7453159.jpg 『変身忍者 嵐』と『人造人間キカイダー』についても設定のいい加減さとチャチさを感じた。当時の特撮モノは全体的にこういう水準だったのかも知れない。『変身忍者 嵐』は、小学生だった当時は「面白い!」と思って見ていたんだが、今見るととてもご都合主義的で、しかもディテールがしっかり描かれていないので、大人が見るにはちょっと苦しい。「素敵なラブリーボーイ」の林寛子が子役で出ていたのは当時まったく知らなかったので、今回ちょっとした驚きだった。そう言えば林寛子が歌手で出てきたときどこかで見た顔だと思ったような記憶はある。それから『仮面ライダー』で地獄大使を演じた潮健児が、おっちょこちょいのイタチ小僧として登場したのも新鮮な驚きだった。他にも『仮面の忍者赤影』の白影、牧冬吉が『赤影』と同じような役回りで出てきたりするので、キャスティングは今見ると非常に面白い。
 『ミクロイドS』も今回が35年ぶりぐらいで、当時も感じていたが、作りが非常に雑である。セル数が非常に少なく絵があまり動かない上、プロットもいい加減で、それに絵だって原作の絵と全然違うし、悪いアニメ化の実例みたいな作品だった。『ゴレンジャー』も『ロボコン』もずさん。やはり当時子ども向け番組が非常に多かったせいか、「質より量」とか「こんなもんでよかろう」というような風潮がそれぞれの放送局にあったのかも知れない。
b0189364_7522079.jpg 例外と言えるのが『ジャングル大帝』で、冒頭のタイトルバックの表現は手がかかっていてしかも芸術性が高い。しかも音楽は冨田勲と来ている。虫プロ作品であることから、手塚治虫が関わっていたのかしらんが、今の水準から見ても非常にレベルは高い。今回はタイトルしか見ていないので、内容はどうだかわからないが、タイトルだけで非常に感心したので、ここに記しておこうと思う。
 いずれにしてもこういう企画はなかなか楽しいもので、手塚、石森作品以外にもこれからどんどん放送していってほしいと思う。次はスポ根ものあたりになるのかなと勝手に思ったりもしている。『タイガーマスク』の最終回はすごかったけど、NHKでは放送できないかな……などと一方的に考えたりする。やはり60〜70年代のアニメ、特撮ドラマは我々世代の琴線に触れてくるものなんである。

参考:
竹林軒出張所『手塚×石ノ森 ニッポンマンガ創世記(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2013-07-23 07:52 | 放送

アドリブの相乗効果 - 『YOUは何しに日本へ?』が面白い

 テレビ番組が最近つまらないというのは誰もが実感することだろう。お笑いタレントを呼んできてウチでやっている遊びを再現するような、安易な作りの番組がやたら増殖しているが、もういい加減よしたらいいのにと思う。作り手のレベルの低さをさらされたところでまったく笑えない。
b0189364_98146.jpg それでもやはり毎週テレビで見る番組というのはあって、僕自身は特に最近はテレビ東京系のものが増えているように思う。前もテレビ東京系の深夜枠について書いたが(竹林軒出張所『日本世間噺体系テレビ版』参照)、最近興味深く見ているのが、やっぱりテレビ東京系深夜枠の『YOUは何しに日本へ?』という番組。
 成田空港にいる外国人旅行者に「YOUは何しに日本へ?」と訊き、内容が面白そうだったら同行取材するというただそれだけの番組で、コンセプトはあるが、結構行き当たりばったりで、アドリブ満載、「なるようになる」的なバラエティ番組である。同じ局の『和風総本家』の1企画みたいな内容で、またこういうのをやらせるとテレビ東京はなかなかうまいんだ。そう言えばやはり同じテレビ東京の『田舎に泊まろう』という番組も似たような同行取材番組であった。こういうアドリブ番組は、何を拾って何を採用し、どうまとめるかにすべてかかっているが、この『YOUは何しに日本へ?』では、今のところ毎回かなり面白い人々を拾いまくっていて、まったく飽きない。意外性もある。
 で、今週放送されたのが、日本海側の都市を自転車旅行するために日本に来たというドイツ人に密着する企画で、いつもはこの番組、数人の人々のインタビューと約2組の密着取材で構成されるんだが、この回はこのドイツ人のみ。つまりスペシャル企画なわけだ。
 実はこのドイツ人、かつてこの同じ番組のパイロット版(以前特番として2回放送されている)のときに登場したらしく、その際に彼が青森に行き、自転車をそこで調達するまでを撮影クルーが追っていったようなのだ(このパイロット番組については見ていなかったが、今回の放送の前半でそのときの模様が放送された)。
 要するにこのドイツ人、「日本海側を自転車で旅する」という目的はあるが、それ以外、何も計画を立てずに来日したということなのである。簡易テントとそこそこのお金は持っているが、かなり行き当たりばったりで、もちろん日本語もろくに喋れない。そういう人が普通列車で東京から青森まで行き、そこで自転車屋を探して、スポーツ車を購入するという、なんだかもうすごい展開になるんだな。しかも買った自転車が30〜40年前の、小・中学生向けでライトがたくさんついたヤツ(ちなみに新車)で、それをなんと5000円で買っていった。ネットに出せば10万円超えるんじゃないかというビンテージものなんだが、すでにここらあたりで面白ネタの宝庫になっている。その後、彼はこの自転車にまたがり、竜飛岬目指して北上していく。坂があれば適当に自転車を押していき、なんだか気ままなもんである。ノープランでいかにも呑気なこのドイツ人を、やはりノープランのこの番組が密着するという、ノープラン同士の相乗効果が番組を面白くしている。ここらあたりまでがパイロット番組で放送された部分である。
 その数ヶ月後、スタッフのところにこのドイツ人から「東京に戻ってきた」というメールが来て、東京で再会することになる。ここからが番組の後半部分で、今回のオリジナル部分。東京のとあるホテルでスタッフはこのドイツ人と無事再会し、今度は彼の東京自転車観光を追っていく。ちなみにあの5000円自転車は健在で、なんでも東京に来る前に、青森から日本海側を南下し、新潟や山口を経由して九州、鹿児島まで行き、そこから再び自転車で東上してきたという話で、そこらあたりの事情は彼が撮影した写真を使ってうまく編集して放送された。そもそも自転車旅行の同行取材だけでもある程度面白くなるのに、そこに「外国人旅行者」、「行き当たりばったり」という面白さが加味されて、この企画、出色のできになった。なにしろこのドイツ人のキャラクターもまた魅力的で、この企画を一層引き立てている。
 通常の放送でも、出てくる外国人の方々がなかなか魅力的で面白いが、おそらくしばらく続くうちにこの番組もワンパターン化していくんだろうと思う。ただテレビ東京の番組は引き際もまた良くて、良いタイミングで終わることも割合多い。放送業界の中では永らく地味な位置を占めていた同局だが、いちやくトップに躍り出る日も近いんじゃないかというような昨今の充実ぶりである。正直今の段階でも、NHKとテレビ東京以外、あまり見るべきものがないという状況なのだ。作り込んだNHKとアドリブに強いテレビ東京、それぞれ持ち味が出ていてよろしいんじゃないかと思う。

参考:
竹林軒出張所『日本世間噺体系テレビ版』
竹林軒出張所『取材ディレクターが語る18のアザーストーリーズ(本)』
by chikurinken | 2013-02-15 09:04 | 放送

『日本世間噺体系』テレビ版

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 昨日、テレビ東京系で木曜深夜に放送されている『解禁! 暴露ナイト』というバラエティ番組を見た。ちょっと変わった分野のゲストを呼んで話を聞くという番組で、話を聞く側のレギュラーが、名倉潤、河本準一、菜々緒の3人。ということはどう見ても、その前に放送されていた『くだまき八兵衛』をそのまま引き継いで焼き直した番組である。ちなみにこの『くだまき八兵衛』だが、居酒屋でくだを巻いているレギュラー陣のところにゲストが相席をして、専門的な話を披露するというオール居酒屋ロケの番組で、コンセプトは面白かったがゲストによって番組の質が大幅に左右されていたため、当たり外れがかなり大きかった。それにゲストにコアな人々が出てくると、居酒屋での無駄話というコンセプトに必然性がなくなってくる。むしろインタビュー番組にしてしまった方が良いという面があった。また、企画段階から関わっていたと思われるオセロ中島知子が途中から出なくなってしまったこともあって、初期のコンセプトが大幅に変わったような部分もある。おそらくそういう塩梅で実質的なリニューアルという運びになったんではないかと予想される。
 11月1日深夜に放送された分では、4人のゲストが登場したんだが、その4人全員がコアな話を披露して、その内容がまったくもって規格外だった。めったに聞けない話が次々に出てきて、インタビュー番組のポテンシャルを見せつけられた。
 登場した1人目はオウム真理教に4回殺されそうになった弁護士(滝本太郎)、2人目は「吉展ちゃん事件」に立ち会った元監察医、3人目は実際に死刑執行に立ち会ったことのある元刑務官、4人目はかつて著名芸能人の逮捕に立ち会った元麻薬調査官。経歴だけでも興味を持ってしまうような面々である。で、案の定、ちょっとよそでは聞けないようなヘビィな話が次々と繰り出されてきて、僕などはどの話も聞き入ってしまった。話の内容はどれも非常に具体的で、初めて聞くようなものも多かった。特に元刑務官は、死刑がどのように執行されるか事細かく説明し、同時に、日本の死刑執行が受刑者の尊厳を踏みにじらないよう非常に配慮されていると主張していた。一般的にこの時間帯は眠気が襲ってくることが多いが、見始めた頃の眠気は途中でどこかに消し飛んでしまった。さながら『日本世間噺体系』のテレビ版といった趣で、いっそのこと、それぞれの人達に1回ずつ割り当てても良かったくらいの内容充実度であった。
 ましかし、これだけの内容を伴ったゲストを毎回呼ぶのも難しいだろうし、『くだまき八兵衛』同様、回によってグレードが変動するのはある程度予測できる。ただ次回以降も期待させる、ちょっと興味深い、テレビらしいバラエティ番組であるのは確かである。テレビ東京系の深夜枠はここのところ充実していて、20年前のフジテレビの深夜枠に迫るような勢いがある。もう終わったが『極嬢ヂカラ』という番組も、深夜枠にふさわしいインパクトのある番組だった。今後も少し注目しておこうと思っている。

参考:竹林軒出張所『小説より奇なり(本)』
by chikurinken | 2012-11-03 08:43 | 放送

『ゴーイング マイ ホーム』(1)(ドラマ)

ゴーイング マイ ホーム(2012年・関西テレビ、テレビマンユニオン)
演出:是枝裕和
脚本:是枝裕和
音楽:ゴンチチ
出演:阿部寛、山口智子、宮崎あおい、YOU、安田顕、吉行和子、西田敏行、りりィ

b0189364_7485084.jpg 韓国ドラマはどれも好きじゃないだが、それは水準が低いからであって、だからといって日本のドラマなら良いっていうもんじゃない。昨今の日本のドラマはどれもひどいものばかりで、テレビの改編期にはとりあえず比較的面白そうなものをチェックしたりするんだが、正直見れたもんじゃないというものがあまりに多い。ドラマの隅々までダメさが行き渡っていて、シナリオが悪いとか演出が悪いとかキャストが悪いとか、もはやそういったレベルではないんだな。間違いなく今のドラマの9割以上はそういった類のもので、時間を使って見る価値はまったくない。残りの1割にしても、ほとんどは情けない代物で、アラが目立つので、継続して見るにはちょっとした決意がいる。そういう低い水準のドラマを見続けるよりも、昔のドラマの再放送を探して見る方がマシだってもんだ。日本のドラマはほとんど壊滅状態と言って良い。だから内容のないドラマが輸入されて、しかも受けたりするんだろう。そういう風に考えると、見る側の水準も落ちていると言えるのかも知れない。
 そういった状況にあって、ちゃんと見れるドラマが出てきた。監督、脚本は、実力者の映画監督、是枝裕和で、ひどいものができるわけがないとは思っていたが、それでもこれだけの水準のものを作れる実力者がまだドラマの世界にいたということがうれしい。といっても元々ドラマ畑の人ではないが。初回は2時間スペシャルだったが(おそらくこれから10回程度続くと思われる)、どのシーンを取っても無駄がなく、見ていてまったく飽きることがない。細部にわたって非常に技巧を凝らしていて、くすぐり的な笑いも随所に散りばめられている。それも、くだらないドラマで見られるようなこざかしいものではない。こういった、最初から最後まで惹きつける力というのが良いドラマの条件になるが、こういうドラマにめぐり逢うのも随分久しぶりのような気がする。
b0189364_750637.jpg さてストーリーは『歩いても 歩いても』の焼き直しみたいなもので(竹林軒出張所『歩いても 歩いても(映画)』参照)、キャストも共通するんで(阿部寛、YOU)おそらく製作者側にそれなりの意図があってのものだろうと思う。父の危篤のために自分の田舎に戻ることがストーリーの柱になるが、本人は会社でも少し微妙な立場にいるし、家族との関係も何だかとても冷たい雰囲気が漂う(しかも本人はそれにあまり気付いていない)など、今後いろいろな展開が予測できる面白い設定である。『歩いても 歩いても』のときにも感じたが、会話や設定に製作者の経験が盛り込まれているのではないかと思う。田舎の両親や姉との関係も非常に現代的というか、『東京物語』に輪をかけたような冷たさが感じられ、リアリティがある。だからと言って、現時点で何か問題意識を突きつけられるというような部分はなく、なんとなく危機感を孕んでいるような居心地の悪さが感じられるという程度のもので、このあたりもドラマとして心地良い部分である。
 映画との棲み分けもなんとなくできていて、ストーリーの中に出てくるいろいろなネタがテレビ的で、映画では出さない方が良いようなネタもふんだんに出てくる。テレビと映画の棲み分けは70年代くらいまで数々の映画人が悩んできた問題だが、さりげなく回答を出す当たり、是枝裕和という人のすごさを感じる。
 ストーリーはこの後「クーナ」という妖精を中心に進みそうだが、このあたりが多少気がかりな点で、そういうところに収束して家族の問題もそれなりに解決してしまうというようなところに落ち着かないでほしいなと思う。是枝裕和のことだから、その辺もうまく処理するんじゃないかとも思うが。
 ともかく現時点で演出、脚本、キャストともまったく文句の付けようがない高い水準のドラマで、今後の展開に期待できる数少ないドラマである。2010年代を代表するドラマになりそうな予感もある。ただし、一般受けして視聴率がとれるかどうかはわからない。なお第2話は本日22:15から放送予定。ドラマ好きは要チェック。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『歩いても 歩いても(映画)』
竹林軒出張所『ゴーイング マイ ホーム (2)〜(10)(ドラマ)』
by chikurinken | 2012-10-23 07:51 | ドラマ

ナマ冨田勲が出た!

b0189364_1259732.jpg 先日いつものように『タモリ倶楽部』を見ていると、なんとあの(!)巨匠、冨田勲が登場。
 テーマは「温故知新シリーズ (1)」ってことで、古いシンセサイザ、MOOGIII-Cを使って音を出してみようという企画である。そもそもこのシンセサイザを日本で最初に購入したのが冨田勲だそうで、MOOGIII-Cを使うという企画であればこの人以上に適任な人はいないんだろうが、それにしてもよくこんな番組に出てきたなと思う。ちなみに冨田勲以外に、弟子の松武秀樹って人(僕は全然知らなかったがエライ人らしい)も登場したが、実際に音出しするのはこの人がほとんどだった。
 さて、この『タモリ倶楽部』、レギュラー陣が進行途中に茶化したりするので、エライ人が出ると見ているこちらがヒヤヒヤするんだが、この回はそういう部分はあまりなく、滞りなく進行する。冨田勲がシンセサイザに魅せられたいきさつ(大阪万博のときに『スイッチト・オン・バッハ』というアルバムを聴いたのが始まりだそうで)や、当時1千万円でアメリカから個人輸入したという話(費用は借りたらしい)、輸入する際税関で1カ月足止めを喰らったという話も非常に興味深い(楽器であるということが理解されなかったそうだ)。さらに、手に入れたは良いが使い方がわからず、「大変な鉄クズをアメリカから買いこんじゃった」(本人談)と思ったという話も面白い。で、手に入れてから数年後1974年にアルバム『月の光』を発表するんだが、これがアメリカでヒットし、「シンセサイザの冨田勲」として知られるようになったんだそうだ。
b0189364_8232682.jpg 僕が個人的に冨田勲を知ったのは、『惑星』が最初で、当時中学生だった僕は小遣いをはたいてこのLPレコードを買ったが、シンセサイザ・アルバムとしてはすでに4作目だったそうである('77年発売)。冨田勲の作品は当時一般的にも人気があったようで、FMラジオでもときどき流れていたし、CMでも使われたりしていて、個人的にはそこそこ馴染みがあった。そういうわけで僕の中では永らく「冨田勲=シンセサイザ」だったんだが、その後、シンセサイザ以前にNHKのテレビ番組のテーマ曲をたくさん書いているということを知ることになった。あの『新日本紀行』や『きょうの料理』のテーマまで冨田勲が書いていたというのもこのとき知ったのである。b0189364_8235214.jpg最近ではこういうのをまとめたアルバム『TOMITA ON NHK〜冨田勲 NHKテーマ音楽集』も出ていて、冨田の作品を回顧できるようになっている。あらためてこの人のすごさがわかるってもんである。
 さて、その冨田勲だが、この『タモリ倶楽部』で、このマシンを使ってどうやって『月の光』の音を作ったかまで細かく説明していて、正味15分弱のこの番組がものすごい密度で展開されていた。音作りの前段階のインタビューも非常に密度が濃く、1視聴者の僕は終始ワクワクしていたのだった。今回に限っては「空耳アワー」を省いてほしかったと思ったほどである。間違いなく僕にとっての『タモリ倶楽部』歴代ベスト3に入る名作だったと言ってよい。ちなみにこの放送、僕は数日前に見たが、東京では2週間前に放送されていたそうである。

参考:
竹林軒出張所『訪問インタビュー 冨田勲(ドキュメンタリー)』
Wikipedia「冨田勲」
竹林軒『マニアの集い タモリ倶楽部』
by chikurinken | 2012-09-24 08:25 | 音楽