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竹林軒出張所

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ひょうそ譚

2004年12月10日・記
 左手の人さし指が腫れ、ズキズキし出した。ズキズキというより、ドックンドックンという感じか。脈を感じる。
 最初はしもやけかと思ったが、やがて痛みが出てくるに及んで却下。状況としては、蜂刺されに似ているが、虫に刺された記憶はない。数日経っても腫れは引かず、むしろ大きくなっているようでさえある。もしかしてリウマチや糖尿病かも……と考えると少し心配になってきた。
 それでインターネットで調べてみた。Googleで「指 腫れ 虫刺され」などと入力して検索する。リウマチとか関節炎とか、さまざまなページが出てきて、1つ1つ当たってみるがどうもしっくり来ない。つまり、自分のケースに該当しない。で、やがて「ひょうそおよび爪周囲炎」について書いているページを見つける。そしてその症状が、ぴたっと当てはまる。しっくり来るというやつ。この感覚が大事だ。
 で「ひょうそ」について調べてみた。不勉強ながら「ひょうそ」についてはまったく知らなかったのだ。後でいろいろな人に「ひょうそ」のことを話したらほとんどの人が知っていたので常識の部類に入るのだろう。ともかく私は知らなかった。
 どうやら「比較的よく発生する病気であるが、放置すると一部の組織が壊疽し、大変な手術が必要になることもある」というようなことらしい。爪付近の傷から黄色ブドウ球菌などの細菌が入り炎症を起こした結果、体内に膿が溜まり、そのために腫れるということなのだ。ガッテンガッテン! b0189364_8422150.jpg「指に膿が溜まる」……まさにそんな感じだ。
 なかなか原因がわからなかった現象でもその原因がわかると至極当然な印象を受けることがよくある。因果関係が単純に割り切れると言うべきか。今回がまさにそれだ。原因は深爪やささくれ、指先のけがという。そういえば何日か前にささくれをむしったなと思い当たる。
 で、早期治療ができれば大事に至らないが、爪の周辺を切開して中の膿を出さなければならないということらしい。つまり手術! 生まれてこの方、手術など経験がない私は少し武者震いした(ウソ)。まあ要するに指を少し切るだけだ。このくらいのことは、トゲが指に入ったときに自分でやってるさ。
 というわけで翌日病院に行くことにした。自分のことで病院に行くなど20年ぶりだ。
 行ったのは近所のクリニックで、内科と整形外科がある。5分ほど待つとすぐに呼び出された。小児科の町病院や大病院で1時間2時間待たされることのある私は、これだけでびっくり。診療室に入ると、気さくな老医師が出迎えてくれ、「こりゃ、ひょうそじゃ」と一言。
 「ちょっと切らにゃあいけんなあ」ということで即手術が決まる。
 「かなり切るんですか」
 「どこまで切るかが問題じゃ。足りんとまた切り直さんといけんし深すぎても痛えしなあ」などとのんきなことを言う。
 ベッドに寝て局部麻酔。親指と人さし指の間に一発、人さし指と中指の間に一発打たれる。体内に麻酔剤が流れ込むのが分かり気色悪い。
 しばらくして医者は「麻酔が効いたかどうかちょっと刺してみるから痛かったら言うてくれ」と言い、なにやら指にぶすっと刺した。私は思わず「イテテテッ」と言ってしまうが、大して痛くなかったのにもかかわらずオーバーだったかなと反省する。医者も「そんなに痛え痛え言われたら切れんなあ」となどと言っている。やがて、私の指にハサミが入る。メスではなくハサミね。ブッツンブッツンという感じで切っていく。痛みはほとんどない。どういう案配になっているか見ていると、医者はにっこり笑って局部を私の方に見せ、「こんなに膿が入っとった」と言う。緑色の膿が玉のように輝いている。その後、チャッチャッチャッと包帯を巻いて、私の初手術は終わることになった。
 「消炎剤出しとくけど、痛み止めはいるかな?」
 「かなり痛みますか?」
 「いやあ、そうでもなかろう」
 「そしたらいりません」
 などというのどかな会話の後、「明日来れたら、また来て見せてみて」ということで、診察室を出る。この間20分程度。病院で30分足らずで用事が終わったのは過去にないんじゃないかと思う。とにかくこの病院は、患者の流れが早く、待合室にも10人弱の人が常にいるのだが、どんどん回転しているのだ。どこの病院もこういうふうにやってほしいものだ。
 医者に親近感を持ったのも初めてだ。以前、まだ乳児だった子供が夜中に泣き続け、夜間診療に子供を連れていったときに、「なぜ今まで放っていたんだ」と医者に怒鳴られたことがあった(厳密に言うと怒鳴られたのは妻)。しかも机をバンとたたきながらだ。この医者も目が充血していたので、夜間診療にうんざりしていたんだろうが、ちょっと人間性を疑う行為だ。こっちは病院嫌いだが、子供が体を少し震わせて泣くので、しようがなしにタクシー飛ばして、遠方の病院まで行ったのだ。しかもさんざん待たされた揚げ句だ。ちなみに病名は口内炎。オイオイ……
 話はひょうそに戻る。翌日病院に行くと、件の医者は私の包帯を取り、様子を少し見た後、「バンドエイドでええ?」と尋ねて、バンドエイドを貼ってくれた。
 「ひどおなったらまたおいで。問題なかったらもう来んでいい」
 私は(心から)礼を言って診察室を出た。病院に来てから診察が終わって外に出るまで10分。素晴らしい。
 手術から4日後の今は、傷口に少し痛みがあるだけで、ほとんど普通に暮らしている。大体手術後でさえ、大して痛みはなかったのだ。手術前の方が痛かったくらいだ。
 ともあれ、いろいろ考えさせられる数日であった。

結論1:医者も接客業なんだから愛想の悪いヤツは前線から退場してほしいものだよ。
結論2:病院も接客業なんだから大名商売してるトコロは閉鎖してほしいものだよ。
 医師をやたら優遇するからこんなひどい状況になったのだ。自分の学生時代を振り返って医学部の同級生を思い起こすと、人間性に問題のあるヤツがやけに集まっていたことを思い出す。ぜひ、自然淘汰されて欲しい。以上!
by chikurinken | 2015-09-16 08:43 | 日常雑記

映画館の進化

 個人的には30年ほど前から映画をよく見るようになったんだが、映画館には当初から大変不満を抱いていた。
 1つには、イスが悪いと言うこと。両隣と肘掛けを共有しているために、隣に厚かましい人間が座ったら肘掛けはその人間に独占される。肘掛けくらい良いじゃないのと思うかも知れないが、厚かましい人間が得をしているようで理不尽な感じがつきまとう。ということになると、こちらも対抗して肘掛け奪取に動くと、これはもう映画の内容どころではなくなって、何をしに映画館に足を運んだんだかわからなくなる。結局、馬鹿な人間と肘掛けの取り合いをしただけで、不快さだけを身体の中に残して劇場を後にする。こういうことは実はたびたびあった。せめて肘掛けをそれぞれの座席に1セットずつ配備したらどうだとずっと感じていた。
 また、イスの前後の間隔が狭すぎるのも問題である。後ろの人間が動くと足が自分の椅子に当たって不快になる。少しくらいだったら気にしないが、たまにやたらイスにガツガツ足を当ててくる客がいて、一度「椅子を蹴らないでくれ」と文句を言ったことさえある。もっともそんなことを言ったりしたら、その後は映画どころじゃなくなるんで、何しに映画館に来たんだかわからなくなる。
b0189364_9272586.jpg さらに、これは名画座でよくあった話だが、上映中にタバコを吸う客や、これも上映中に内容についてしたり顔で語る客(こういう連中は「客」と呼ぶことさえはばかられる)、上映途中から入ってきて、すぐ近くに座り、傍若無人(椅子を蹴る、タバコを吸う、肘掛けを奪うなど)の行為に及ぶ者など。上げたら切りがないほどだ。そういうわけで、僕は映画館から足が遠くなっていった。家でビデオを見られるようになったことも大きい。少なくとも客が殺到するような映画は、よほどのことがない限り行かなくなった。僕のようなコアなファンが行かなくなるんだから映画館が斜陽化するのは明らかで、地方の劇場がどんどん減っていったのは皆さんご承知の通り。
 横浜に住んでいたときにちょくちょく通った近所の二番館もご多分に漏れず客入りが少なく、その後潰れたんだが、客が少なかったために、さっき書いたような周囲の客とのトラブルが逆になくて、居心地は意外に良かったってんだから皮肉なものだ。実際、客が僕1人だったという貴重な経験は、この劇場でしか経験していない。つまり僕1人のために、映写機を使って一般の劇場空間で上映されていたのであるから、これはある意味最高の贅沢と言って良かろう。
 当時から僕が主張していた優れた映画館の条件というのは、他の観客のことが気にならずに快適な環境でスクリーンに集中できることで、そのためにはイスの改善、システムの改善、劇場空間の改善が不可欠だった。これについては実は大学のレポートで書いたことがあって、当時の僕の悲願だったんだが、あいにくこういったすべての条件を満たした劇場は今までなかった。
 とは言っても、娯楽産業の方も多少工夫を凝らすようになって、総入れ替え制にして途中入場禁止にするとか、飲食禁止にするとか、イスを豪華にするとか、それなりの工夫が見られるようにはなっているが、それでも客の試聴環境に配慮した劇場は皆無と言って良い。

b0189364_8403229.jpg で、いよいよ本題。先日、近場にできた超豪華映画館に行ってみた。その名も「グランシアター」! 文字通りグランなシアターである。入場料もグランで2,500円と少々お高くなっているが、ワンドリンク付きで、イスが「全国初の全席電動フルリクライニングシート」と来ている。僕としては、「フルリクライニングシート」には別に大した感慨はないが、それぞれの座席に肘掛けが1セットずつ付いているという事実に着目したわけで、これは是非一度自分で体感してみなくてはと思ったのだ。もちろん今の僕には、こういう贅沢を堪能するような余裕はなく、招待券をもらったんで出向いたわけなんだが。
 あらかじめ劇場の情報を調べると、お金をもらっても見たくないような類の映画ばかりがかけられていて気乗りしなかったんだが、『ショート・ターム』という(どちらかと言うと)ミニシアター系の映画が昼間に唯一かけられていたんで、これを見に行くことにした。付け加えておくと、この劇場はシネコンの一部であるため、他のスクリーンとの間でいろいろな作品が持ち回りされている。だからたとえばこのグランシアターに1日中とどまっていると、毎回違う映画を見られる可能性もある。ただこの劇場には全部で46席しかないという話なので、ちょっと早めに行かないと満員で入れないかも知れないという危惧もある。
b0189364_8412597.jpg ここまで下調べをした上で劇場に赴く。到着すると、シネコンらしく豪華な受付カウンターがしつらえられており、そちらで入場の手続きをする。全席指定ということになっていて、ここでモニターを見ながら席を指定できるようになっている。当初危惧したようなことはまったくなく、僕が入場する時点で占有されている座席は1つだけだった。そのまま劇場に入ると、ロビー(「ラウンジ」と呼ばれている)にもソファーがしつらえられており、バーのようなカウンターもある。ここで飲み物をオーダーすることになっており、上映開始までロビーで飲み物片手にくつろげるという算段になっている(先ほども言ったがワンドリンク付き)。僕は「白桃ピューレソーダ」というちょっとおしゃれかつ不思議な名前の飲み物を注文した(これがまた結構美味だったのだ)。劇場内にも持ち込めるようになっている。
 そしてついに、肘掛けが1セット揃ったイスを目にすることになる。でわかったのは、これは従来の映画館のイスの概念とまったく違うということで、言ってみればソファみたいなものだということ。いちおう2脚ずつ接してはいるが、それぞれのイスはほぼ独立している。「フルリクライニング」のシステムも予想以上に快適だ。イスには飲み物を入れるドリンクホルダーも付いているので、上映中飲み物をひっくり返すなどということもあまりあるまい。非常によく考えられている。特に目を引いたのは、前後の席との間にかなり広い空間が空いていることで、1列ずつほぼ完全に独立しているような印象である。前に座っている人間の頭すらほとんど見えないくらい距離が確保されておりかなりの段差もある。ボックス席であるかのような錯覚すら受ける。このように、イスについてはまったく申し分なく、理想に近い劇場と言うことができる。
b0189364_841113.jpg 唯一の難点は、スクリーンと最前列のイスがやや近いことで、最前列に座ると少し疲れるかもしれないという印象を持った。とは言え、リクライニングで寝そべって見ればかえって楽しいかも知れないし、アクション映画なんかだと、スクリーンに近いことでかえって臨場感が増すかもしれない。値段にしてみても高いと感じるかも知れないが、一般のロードショー館でも1,800円であることを考えると、500円弱の値段のドリンクが付いているわけで、それほど高すぎるという感覚もない。イベント感覚で行けば十分元が取れるんじゃないだろうか。
 さて、当初危惧していた客の入りなんだが、僕ともう一人の客以外結局入ってこなかった。最後まで2人で貸し切り状態で、しかも、僕の少し前の列に座っていたその客が視界に入ることもほとんどなく、その客がいることすら意識されることはなかった(先ほども言ったように、後ろからは前の客の頭がほとんど見えない)。ましかし、客が2人なら僕としては従来型の映画館でも全然問題なかったんだが……などと思いながら、帰路についたのだった。しかしこんな街中にシネコンができた日にゃ、周辺のロードショー館は廃業するしかあるまいな……とも思う。あるいは思い切って劇場空間を改装しお客様最優先の空間にしたら特徴が出せて客を呼び戻せるかも知れない。いずれにしても今までの映画館が客をないがしろにしすぎていたのは事実である。どこの映画館も生き残りをかけて発想の転換を図ってもらいたい……と勝手なことを書いて締めることにする。

参考:
竹林軒ネット『映画を所有するぜいたく』
竹林軒出張所『映画の見方、その変遷』
竹林軒出張所『日本映画の「文革のようなもの」』
竹林軒出張所『昨日、悲別で (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ショート・ターム(映画)』
by chikurinken | 2014-12-22 08:42 | 日常雑記

追悼 高倉健

b0189364_8183215.jpg 高倉健の訃報を聞いた。日本映画界の最後のレジェンドの一人(もう一人は吉永小百合)であるため、あちこちのニュース番組で報道されている。多くの人に影響を与えた映画人であることは言うまでもないし、僕自身も映画をよく見るようになって、映画界における彼の存在の大きさにあらためて気付かされた。このブログでも、これまでに高倉健関連作品を多数紹介しているため、ここでまとめておこうと思う。
 中でもやはり、『駅 STATION』が出色であると思う。合掌。

参考:
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『遙かなる山の呼び声(映画)』
竹林軒出張所『単騎、千里を走る。(映画)』
竹林軒出張所『昭和残侠伝 唐獅子牡丹(映画)』
竹林軒出張所『昭和残侠伝 死んで貰います(映画)』
竹林軒出張所『ザ・ヤクザ(映画)』
竹林軒出張所『冬の華(映画)』
竹林軒出張所『八甲田山(映画)』
竹林軒出張所『君よ憤怒の河を渉れ(映画)』
竹林軒出張所『飢餓海峡(映画)』
竹林軒出張所『鉄道員(ぽっぽや)(映画)』
竹林軒出張所『刑事(ドラマ)』
竹林軒出張所『証言 日中映画人交流(本)』
竹林軒出張所『中国10億人の日本映画熱愛史(本)』
by chikurinken | 2014-11-20 07:18 | 映画

STAP細胞問題 問題の根底

b0189364_733099.jpg 昨日、理研の笹井芳樹氏が亡くなったというニュースを聞いて、僕自身大変驚いた。もちろん面識などないが、昨日紹介したドキュメンタリー、『調査報告 STAP細胞 不正の深層』では、笹井氏の研究者としての能力だけでなく、その人間性も高く評価されていたので、個人的に少しシンパシーを感じていたのだ。あの番組が原因とは言えないが、何かの引き金になった可能性はある(僕自身は割合真摯な番組だったとは思っているが)。もちろん、一連のマスコミの異常なバカ騒ぎが原因の半分以上を占めていることは間違いない。
 かくなる上は、次なる犠牲者が出ないよう、関係者の周りの人には注意を怠らないよう求めたいところである。小保方氏や若山照彦氏(この人も真面目で有能な人として紹介されていた)に対するマスコミのバッシングは、昨日書いたようにほとんど集団によるいじめで、つるし上げ、パワハラと言っても過言でないほど。そもそも論文に誤りがあったからといって(しかも真相が明らかになってさえもないのに)その当事者を(まったく無関係で事情もよく知らない)マスコミ連中がこぞってつるし上げるのは正しいことなのか。風紀委員を気取っているのか知らんが、自分たちの身の回りのことは棚に上げてよくも好き放題にやってくれるなと、常々苦々しい思いをしていたのである。もちろん僕は当事者とはまったく関係ないんだがね。当事者の方たちはいっそのことこんなバカな国からしばらく離れて、なんとか精神的に立ち直っていただきたいものである。
 いずれにしても、今回のこの騒動に対するマスコミ各社の責任はきわめて大きいんじゃないかと個人的に思っている。昨日書いたように、NHKをはじめとするマスコミ側の自己批判を聞きたいところだ。

参考:
竹林軒出張所『調査報告 STAP細胞 不正の深層(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いじめの果てに(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カナダ いじめ撲滅プロジェクトの1年(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いじめを語ろう 〜カナダ ある学校の試み〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『追いつめられて 〜アメリカ いじめの実態〜(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2014-08-06 21:09 | 社会

ディスクは戻ったけれど

b0189364_9413112.jpg ノート・パソコンのハードディスクは復旧した。現在は、通常の生活に戻っている。
 前も書いたように、事故の4日前にバックアップをとっていたため、ハードディスクの復旧自体は簡単であった。ただ、物資(つまりハードディスク)がなかなか手元に届かず、随分歯がゆい思いをした。
 ハードディスクさえ届いてしまえば後は簡単で、結局ハードディスクの交換作業が10分、データの復旧が1時間半で完了した。放射能汚染でもしていれば話は別だが、一般的なテクノロジーではあんな危険なものは使わないから。ただし、4日分のデータが溶融(消滅)したのは事実で、この間、ホームページにデータを追加したり、少しばかり大がかりな作業を行っていたのだな。ホームページ自体はもちろん「クラウド」であるため変化はないのだが、手元にあるデータ(ホームページ作成ソフトのもの)は古いままで、ということは次にホームページを更新したらなんと古い状態に戻ってしまうのである。というわけで、ホームページを参照しながら、手元のデータを更新しなければならなくなった。ちょっと気持ちが萎えるような作業ではあるが、致し方ない。こちらについては見通しがまったく立っていない。来週以降に着手することになる。
 ハードディスクは、大きい容量のものがどんどん安くなっていることもあり、以前では考えられないような容量のものが考えられないような値段で売られていた。500ギガワット、もとい500ギガバイトの2.5"ハードディスクが6千円弱と来ている。そういうわけで事故前に160ギガバイトだった容量は一挙に500ギガバイトまで増加した。前のハードディスクのときは空き領域が少なくなっていていろいろやりくりしていたが、一挙に増大して、そういう作業とも当分はおさらばである。実は事故前に、空き領域が少なくなったこともあって、ハードディスクの交換は考えていたのだが、なかなか踏み切れず、結果的にそのことがこのような惨事を招くことになったのである。健全な部品を交換して捨ててしまうというのは気が乗らないものであるが、そこらあたりに今回の事故の原因があったと言えるのではないだろうか。
 なお今回SSD(メモリ型のストレージ)も考えたが、価格がまだまだ高価で、容量も大きなものが期待できないために見送った。それに寿命も短いという話であるし。こういった新しいテクノロジーは、十分検証してから採用するのが世の常である。たとえば原子力なんていまだ検証段階の未熟な技術だと思うんだが、こんなに日本中に大量に導入してしまって良いのかというのは常に感じていた。昨夜の地震でも、あちこちの原子力施設に電気が届かないで大変と言うし、地震が発生すると大事故につながりかねないということは、今回のフクシマで十分に実証されたのだ。つまりそういう意味では日本人はある種のモルモットになったことになるんだ。致命的な性格が実証されたんだから、今さら四の五の言うことはないと思うが、東京湾を埋め立てて原発を作ってもいいなどという権力者がいまだに存在して、本当にあの人の知性を(そして品性も)疑ってしまうんだが、そういう人間を支持する人間も多いというんだから、驚きを通り越してただただあきれるしかない。ものごとを学習して反省するというのは人間の特色だと思うんだが、そういう要素を欠いたどうしようもない人間を上にいただいた集団がどうなるか、いまさら言うまでもないような気がするようなしないような。まあ、そういったあんばいの今日この頃である。

参考:
竹林軒出張所『パソコンからレンタルDVDが出てこなくなった話』
竹林軒出張所『DVD換装その後』
竹林軒出張所『暑い夏、俺の相棒はとうとう目を覚まさなくなった』
竹林軒出張所『その後のキーボード問題 -- とりあえず最終章 --』
竹林軒出張所『病気になって初めて健康のありがたみを感じる』
by chikurinken | 2014-07-29 09:44 | 日常雑記

そうだっ、別れの歌を聴こう!

 卒業の季節ですな。卒業といえば思い出す歌がいろいろあるもので、それぞれの世代で思い出す歌は違うんでしょうが、僕なんかは世代的に沢田聖子とか斉藤由貴とかになるわけです。
b0189364_826417.jpg 卒業式で歌う歌なんかも世代ごとに違っているみたいで、僕の時代は小学校では「別れの歌」、中学校では「巣立ちの歌」を歌いました。在校生として卒業式に出たときは、どちらもかっこいい歌だなと思いながら聞いていたものですが、あの「呼びかけ」ってやつは子ども心に一体何なんだと思ったものです。気恥ずかしいったらありゃしない。なんでもいまだにやっているようで、ああ言うのが好きな人が多いんでしょうか、僕にはもう一つ理解できないところです。卒業式ももう少しさらりとやってのけたら良さそうなものなのにと思うんですがね。それに、バカバカしいとは思いつつも「呼びかけ」の内容を40年近く経った今でも結構憶えているってんだから始末に悪いじゃありませんか。ちなみに僕の小学校ではこんな感じでした。

ある生徒:そうだっ、六カ年の思い出と感謝を胸に別れの歌を歌おう!
(「別れの歌」のピアノのイントロが入る)
全員の合唱:「たぁ〜のぉ〜しく、すぅ〜ぎぃ〜た、ろぉくね〜んのぉ〜……」

 「そうだっ」なんて白々しすぎるぞっ。
 まあ「呼びかけ」はともかく「別れの歌」の方は懐かしくて、ちょっと聞いてみたいものであることよなあと思っていたんですが、CDなんかも当然のように出ていなくて残念至極な日々を送っていたわけですね。ところがそこはネット社会、よくしたもので、案の定見つかりました、YouTubeに。しかも初音ミクが歌ってる!(というより「歌わせてる」……)
YouTube『【別れの歌】〜(昔の)卒業式の歌を〜 【初音ミク】』

 それから、中学の卒業式で歌った「巣立ちの歌」もありました。
YouTube『巣立ちの歌』

 「巣立ちの歌」の歌詞はこんな感じ。

巣立ちの歌

作詞:村野四郎
作曲:岩河三郎

b0189364_8262435.jpg花の色 雲の影
懐かしい あの想い出
過ぎし日の 窓に残して
巣立ちゆく 今日の別れ
いざさらば さらば先生
いざさらば さらば友よ
美しい 明日の日のため

風の日も 雨の日も
励みきし 学びの庭
かの教え 胸に抱きて
巣立ちゆく 今日の別れ
いざさらば さらば先生
いざさらば さらば友よ
輝かしい 明日の日のため

 初めて気が付いたけど五七調だったんですね。お見事。
 なおこちらの歌はCDで聞くこともできます。『あの日教室で歌った 思い出の合唱曲』ってのがそれで、このCD、他にも懐かしい合唱曲が満載です。文化祭で歌った「モルダウの流れ」と「気球にのってどこまでも」が個人的には懐かしさ充填100%ですね。一番うれしいのはシューマンの「流浪の民」が日本語版で入っていたことで、この日本語版「流浪の民」、意外なことにクラシックのCDにもあまり見つからないんですね。そういうわけで僕としては久々のヒットCDでした(「巣立ちの歌」については他のCDもあります)。
by chikurinken | 2013-03-12 08:28 | 音楽

輸入DVDもプチ・ウラシマ

b0189364_820267.jpg 以前、輸入盤のCDの値段がえらいことになっているとこのブログで書いたが(竹林軒出張所『輸入CDはウラシマ状態』参照)、その現象はCDだけにとどまらなかった。最近気がついたんだが、ジャズの巨匠たちの(秘蔵)DVDが軒並み1700円前後で売られている。『Jazz Icon』というシリーズがそれで、今のところ23タイトルあるらしい。ほとんどがヨーロッパ・ライブの映像で、現地の放送局が収録していたビデオ映像が最近になって発掘されたため、それがDVDとしてリリースされたという、そういういきさつのようだ。それにしても値段が破格で、今までの相場だと国内盤が4000〜5000円、輸入盤が3000〜5000円という感覚なんだが、国内CD並みの1700円というのは驚きである(映画は廉価ものもありますがね)。あるいはアメリカやヨーロッパではこれが普通の感覚かも知れない。それにジャズの巨人たちの映像は意外に残っていないもので、かつて、大勢のジャズメンの秘蔵映像を集めた映画を劇場まで見に行ったことさえあるくらいで、それくらい目にすることはなかった。特に60年代以前に死去した人々についてはそうである。当時のジャズの社会的地位なんかと関係しているのかも知れない。
 で今回、例によって、試しに1枚買ってみたんである、ジョン・コルトレーンのものを。ヨーロッパ・ツアーの映像ということで、ホールの舞台で演奏しているのであれば少し興ざめではあるが、演奏するコルトレーンの映像自体が少ないし、値段も安いんで、多少はずれでもかまわないと思っていたわけだ。だが実際、蓋を開けてみると、舞台以外の演奏もある上、トータル1時間半以上の映像が収録されていて、満足度は非常に高い。何より、コレハコレハ……という驚きの映像もあった。
 このDVDの構成は、1960年3月28日の西ドイツ、デュッセルドルフでのスタジオ・ライブ、1961年12月4日の西ドイツ、バーデンバーデンでのスタジオ・ライブ、1965年8月1日のベルギー、リエージュでのコンサート映像の3部構成になっている。60年が5曲、61年が3曲、65年が3曲だが、65年の「My Favorite Things」が20分以上の長い演奏という具合で、演奏時間にあまりばらつきはない。60年の演奏はマイルス・デイヴィス・クインテットからマイルス・デイヴィスを抜いたメンツ、61年と65年は、コルトレーン・カルテットのメンツ(マッコイ・タイナー、エルヴィン・ジョーンズら)である。
b0189364_823373.jpg さて60年の演奏だが、ライナー・ノートによると、「JATPヨーロッパ・ツアー」で渡欧したジャズメンをテレビ収録にかり出したものだったらしい。実際映像を見ると、マイルス抜きのマイルス・クインテット、つまりサックスのコルトレーン、ピアノのウィントン・ケリー、ベースのポール・チェンバース、ドラムのジミー・コブの演奏が始まる。このメンツもすごいが演奏も素晴らしい。ところがその後、「Moonlight in Vermont」(DVDの4曲目にあたる)の演奏が始まると、突如スタン・ゲッツが参加してくる。さらにその次の「Hackensack」になると、今度はウィントン・ケリーに代わってオスカー・ピーターソンがピアノを担当するという、コルトレーン、スタン・ゲッツ、オスカー・ピーターソンの夢の共演が実現するのだった。おそらくコルトレーンとスタン・ゲッツの共演は、CDでも出ていないんじゃないかと思う。非常に貴重な演奏が映像で楽しめ、これだけで十分元が取れるというものである。
b0189364_8234849.jpg なぜこういった奇妙なセッションが実現したか、その事情がライナー・ノートに書かれていた。当初、テレビ収録には、このJATPツアーに参加したマイルス・デイヴィス・クインテット、スタン・ゲッツ・カルテット、オスカー・ピーターソン・トリオが出演して、3番組収録する予定だったが、マイルス・デイヴィスが「オレはやらない」と言い出したという。JATPのプロデューサー、ノーマン・グランツは、テレビ関係者に、収録を中止することもできるがこういうのはどうだろうと言って、スタン・ゲッツ・カルテット、オスカー・ピーターソン・トリオの収録以外に、マイルス抜きでマイルス・クインテット(実態はカルテットだが)の演奏をやり、ゲッツとピーターソンをゲスト出演させる企画を持ち出した。テレビ関係者は、3番組撮れればOKということで結局この企画が実現した……ということらしい。スタジオ内のライブであるため、臨場感があって映像としても上質のものである。なお、曲の最後に拍手が入るが、これは現場にいた人々の拍手ではなく、後で重ねたもの(ライナーによる)。
 61年のスタジオ・ライブも同じく臨場感があり、ガレージみたいなセットがしつらえられていて、面白い映像になっている。ちなみにここで演奏される2曲「My Favorite Things」と「Impressions」はエリック・ドルフィーが参加しているもので、既発売のDVD『ジョン・コルトレーンの世界』に収録されているセッションと同じものである。
 最後の65年のコンサート・ライブは、大ホールで行われたセッションの記録映像だが、コルトレーンが無茶苦茶吹きまくる演奏で、ものすごく熱いライブになっている。1966年の日本ツアーもこんな感じだったんじゃないかという演奏で、そういう意味でも非常に貴重。
 このように、どの演奏もまったく外れがない、これで1700円はお買い得! どうです、奥さん! というようなDVDであった。満足度100%である。そういうわけで、このシリーズの他のタイトルも今後いくつか買うかも知れない。
あえて、★★★★

参考:
竹林軒出張所『輸入CDはウラシマ状態』
竹林軒出張所『ジャズの輸入DVD続編』
by chikurinken | 2012-11-17 08:24 | 音楽

『日本世間噺体系』テレビ版

b0189364_8414279.jpg
 昨日、テレビ東京系で木曜深夜に放送されている『解禁! 暴露ナイト』というバラエティ番組を見た。ちょっと変わった分野のゲストを呼んで話を聞くという番組で、話を聞く側のレギュラーが、名倉潤、河本準一、菜々緒の3人。ということはどう見ても、その前に放送されていた『くだまき八兵衛』をそのまま引き継いで焼き直した番組である。ちなみにこの『くだまき八兵衛』だが、居酒屋でくだを巻いているレギュラー陣のところにゲストが相席をして、専門的な話を披露するというオール居酒屋ロケの番組で、コンセプトは面白かったがゲストによって番組の質が大幅に左右されていたため、当たり外れがかなり大きかった。それにゲストにコアな人々が出てくると、居酒屋での無駄話というコンセプトに必然性がなくなってくる。むしろインタビュー番組にしてしまった方が良いという面があった。また、企画段階から関わっていたと思われるオセロ中島知子が途中から出なくなってしまったこともあって、初期のコンセプトが大幅に変わったような部分もある。おそらくそういう塩梅で実質的なリニューアルという運びになったんではないかと予想される。
 11月1日深夜に放送された分では、4人のゲストが登場したんだが、その4人全員がコアな話を披露して、その内容がまったくもって規格外だった。めったに聞けない話が次々に出てきて、インタビュー番組のポテンシャルを見せつけられた。
 登場した1人目はオウム真理教に4回殺されそうになった弁護士(滝本太郎)、2人目は「吉展ちゃん事件」に立ち会った元監察医、3人目は実際に死刑執行に立ち会ったことのある元刑務官、4人目はかつて著名芸能人の逮捕に立ち会った元麻薬調査官。経歴だけでも興味を持ってしまうような面々である。で、案の定、ちょっとよそでは聞けないようなヘビィな話が次々と繰り出されてきて、僕などはどの話も聞き入ってしまった。話の内容はどれも非常に具体的で、初めて聞くようなものも多かった。特に元刑務官は、死刑がどのように執行されるか事細かく説明し、同時に、日本の死刑執行が受刑者の尊厳を踏みにじらないよう非常に配慮されていると主張していた。一般的にこの時間帯は眠気が襲ってくることが多いが、見始めた頃の眠気は途中でどこかに消し飛んでしまった。さながら『日本世間噺体系』のテレビ版といった趣で、いっそのこと、それぞれの人達に1回ずつ割り当てても良かったくらいの内容充実度であった。
 ましかし、これだけの内容を伴ったゲストを毎回呼ぶのも難しいだろうし、『くだまき八兵衛』同様、回によってグレードが変動するのはある程度予測できる。ただ次回以降も期待させる、ちょっと興味深い、テレビらしいバラエティ番組であるのは確かである。テレビ東京系の深夜枠はここのところ充実していて、20年前のフジテレビの深夜枠に迫るような勢いがある。もう終わったが『極嬢ヂカラ』という番組も、深夜枠にふさわしいインパクトのある番組だった。今後も少し注目しておこうと思っている。

参考:竹林軒出張所『小説より奇なり(本)』
by chikurinken | 2012-11-03 08:43 | 放送

輸入CDはウラシマ状態

 最近気が付いたんだが、AmazonでクラシックやジャズのCDがものすごい値段で売られている。以前から廉価版CDというのがあったのはもちろん知っているが、今の状況はちょっと「はんぱねぇ」んである。
b0189364_9595278.jpg たとえばEight Classic Albumsというジャズのシリーズがあるが、4枚組で1100円前後とくる。しかも4枚組ではありながら、その実8枚分のコンテンツが入っているという。どういうことかというと、たとえばジョン・コルトレーンの『Eight Classic Albums』には、『The Last Trane』、『Informal Jazz』、『A Blowin Session』、『Black Pearls』、『Settin The Pace』、『Kenny Burrel And John Coltrane』、『Traneing In』、『All Mornin Long』の8枚分のオリジナル・アルバムが収録されている……4枚のCDに(つまり2枚分のアルバムが1枚のCDに収録)。ということは、計算してみると、元のアルバム1枚当たり110〜140円程度ということになる。レンタルより安い!
 このシリーズだが、コルトレーン以外にも、マイルス・デイヴィス(マイルスは10枚組!)、ソニー・ロリンズスタン・ゲッツなどの有名どころもあるし、今の日本ではあまり多く出回っていないようなアーティストのものもある。収録されているアルバムは、特に有名どころのアーティストについては、割に有名なアルバムが多く、マイルスやロリンズについては、個人的には持っているものばかりなので今さら必要ないが、ちょっとマイナーな線になると興味を引かれるものも多い。そういうわけで、試しにキャノンボール・アダレイのものを買ってみた。このCDもご多分に漏れず8枚分のアルバムが入っているが、そのうち持っているものが1枚あったので新旧で聞き比べてみたが、音質的に特にどうこういうような問題はなかった。思った以上に良いもので、少なくともiTunesやiPodに入れて聞く分にはまったく遜色ないのではないかと思う。
b0189364_1025069.jpg 一方クラシックになると、はんぱなさも桁外れになる。たとえば、CD85枚組のベートーヴェン全集が約6000円(輸入盤であるためか毎日値段は変動している)、170枚組のモーツァルト全集が約1万円、157枚組のバッハ全集が約1万3千円である。こうなると、これまでの常識が通じないというか、もうなんかわけがわからない世界である。ベートーヴェン全集の場合でCD1枚当たり70円程度。レンタルするよりはるかに安いときている。この3つの全集は、オランダにある(という)Brilliant Classicsというレーベルが出しているもので、他のクラシック・レーベルからライセンスを受けて販売する会社らしい。そのためか、ラインアップを見る限り演奏自体は割と有名なアーティスト、アルバムのものが多いのである。こういう商品が起爆材になっているのか、名のある老舗レーベルも、同様の企画を出している。RCAからはまもなくトスカニーニ全集(84枚組、7500円前後)が出るというし、カザルスクライバーも大手レーベルから低価格でボックス・セットが出ている。
 こういうのは大抵が輸入盤だが、こうやって通販で普通に買えるようになると、今までのCDの価格体系というものが劇的に変わるんじゃないかと思う。特に、クラシック、ジャズ、ロックなどの古典再版系のものは、今後、二束三文の値段で売られるようになるかも知れない。古典を安く入手できるのは歓迎ではあるが、果たしてこれでレコード会社がやっていけるのか、共倒れになるような価格設定なんじゃないかと老婆心で心配してしまう。
b0189364_10135178.jpg だがベートーヴェン全集が6000円で手に入るというのも何とも魅力的な話である。少し調べてみると、ベートーヴェンの交響曲全集なんかも千円台から出ている。僕もかつてはせっせといろいろなアーティストのものを買い集めたが、どれも1万円近くしたような記憶がある。ルービンシュタインのショパン曲集もたしか2〜3万円程度で買ったような記憶があるが、今見たら11枚組で2360円だそうな(Chopin Collection)。10分の1の値段ということか……。こういうのは何だか少し複雑な気分になる。
 かつて国内盤CDがやたら高値で売られていたときに、クラシックの輸入盤CDを渋谷の専門店で探し回っていたことがあるが、そのときはせいぜい国内盤の2〜3割引程度の値段だった。それから20年以上経ったが、国内盤は、多少は安くなったとは言え旧態依然の売り方を続けていて、一方で海外盤は、完全に価格体系が変わったかのような値段になっている。しばらく輸入版に頓着していなかった間に時代は大きく動いていたのだろうか。僕はウラシマ状態である。国内メーカーもさすがに今までのような殿さま商売を続けるわけにいかなないだろう。今の時代、渋谷をうろつき回らなくてもネットで簡単に手に入れられるわけで、同じ市場で勝負しなければならないわけだから。少なくともクラシックやジャズなどの古典再版系については今後劇的に変動があるかも知れない。「瞑目して待て」という境地の昨今である。

参考:竹林軒出張所『ウェーバーとバレエ』
   竹林軒出張所『今月のCD カツァリスのベートーヴェン』
   竹林軒出張所『ホグウッドのモーツァルト』
   竹林軒出張所『ベートーヴェンの使い回し』
by chikurinken | 2012-02-22 10:09 | 音楽

1ユーザーによるスティーブ・ジョブズ追想

 今、速報で見たが、アップルのスティーブ・ジョブズが亡くなったらしい。
b0189364_10565774.jpg 見るからに癌患者というような痩せ方だったのでいずれはと思っていたが、ついにという感じ。
 個人的にはアップル製品とのつきあいは20年以上になるが、僕がマッキントッシュを使い始めた頃は、すでにジョン・スカリーの時代で、ジョブズはすでに異色の起業家というイメージになっていた。アップルの創業者でありながら周囲に無理難題を押しつけ終いに追い出されてしまったという変わった経歴を持つ天才……そういうイメージである。だが当時、ジョブズはすでにNeXT, Inc.を創業して、NeXTという斬新なワークステーションを出しており、その行動力と発想力は依然として健在だったのである。アップル・ユーザーから見ても、どんな面白いことをやってくるかわからない楽しみな逸材だったわけだ(NeXTには非常に興味があったが、あまりに高かったので僕にはとてもじゃないが買えるものじゃない)。とは言え、少なくとも日本でジョブズのことを語ったりする人は、ごく少数のアップル・フリークのみであった。だが今は、行きつけの喫茶店でも普通に「ジョブズ」の名前が出るようになって、僕自身ちょっと驚いたりしたのだ。そのくらい、知名度が上がったということだろう。
b0189364_1102344.jpg LisaやMacintoshなどのグラフィカル・ユーザー・インターフェースや、iPodなどの音声端末(MP3プレイヤー)はアップルの発明品ではないが、おそらく後世から見るとアップル、ひいてはジョブズの発明として認知されるんだろうなと思う。実用化し普及させたのは確かにアップルと言えるし、その功績は疑うべくもないが。この辺はエジソンの例と同様で、事実は適宜ねじ曲げられるものなんだろうと思う。いずれにしても、20世紀のテクノロジーにおけるジョブズの功績は計り知れないものである。また、マイクロソフトとの闘いや、創業したアップルから追い出された(しかも復帰して立て直した)という経歴など、彼の非常に劇的な生涯も端から見ていて面白い。そのうち映画になるかも知れない。って、実はドラマになってるんだな。『シリコンバレーの海賊たち』(Pirates of Silicon Valley)というのがそれで、ジョブズは『ER』の「ジョン・カーター」、ノア・ワイリーが演じている。今は英語版のVHSしか発売されていないらしいが、おそらく近いうち、ジョブズ追悼企画としてBSかCSで放送されるんじゃないかと思う。乞うご期待。僕はかつてWOWWOWで見たが、ビル・ゲイツとの確執がなかなか面白かった記憶がある。ゲイツもジョブズもかっこよすぎるんじゃねーのとは思った。
 何はともあれ、合掌。

追記:ちなみに僕は、ジョブズがアップルに戻ってきたとき多少の期待感はあったが、(彼の復帰にあわせて発売した)iMacにはまったく共感を覚えなかった。あんなむさいパソコンがあんなに売れるとも思ってもみなかった。ましてやアップル復活の起爆材になるなどとは予想だにしなかった。読みが甘かったと言わざるを得ない。

参考:
竹林軒出張所『バトル・オブ・シリコンバレー(映画)』
by chikurinken | 2011-10-06 10:57 | 社会