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竹林軒出張所

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タグ:倉本聰 ( 23 ) タグの人気記事

『やすらぎの郷』(1)〜(5)(ドラマ)

やすらぎの郷 (1)〜(5)(2017年・テレビ朝日)
演出:藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
脚本:倉本聰
出演:石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチス

まだ5回だから何だが
すっかり枯れてしまっている


b0189364_19290211.jpg 倉本聰の新作ってことで少しばかり期待したが、本当に後ろ向きで枯れきっているという印象のドラマである。
 第5回目までに関してだが、セリフが説明的で、ナレーションも過剰である。しかも設定があまりにも不自然。短編小説とか1時間ドラマだったら耐えられるかも知れないが、これから約3カ月間も付き合うのはちょっと大変そうな気がする。ドラマの中に、先へ先へと進めるだけのダイナミズムがないため(1回あたり12〜13分のドラマだが)見続けるのも苦痛を感じる。
 もちろんまだ5回目だし、今後なんやかんやエピソードが入ってきていろいろと展開するんだろうが、そもそも舞台になっている、テレビ業界人だけが招待されるという(しかも入居者の費用がほとんどかからない)豪華老人ホームの設定があまりにリアリティがなさ過ぎで、その段階でもう見ていてアホらしくなる。なお付け加えると、入居者は(元大女優を含む)元大スターが多く(消息がわからなくなっていた大スターたちが実はここに住んでいたというようなことになっている)、そこにかつてシナリオライターだった主人公が新しく入居してくるというストーリーである。それから、ここにかつてのスターたちが入っていることは世間には完全に秘密にされているという嘘みたいな設定にもなっている(今後つじつまがあわなくなりそうな予感さえする)。
 こういう設定を聞くと、倉本聰の夢想をそのまま描いたのかとも思ってしまうが、こういう設定で話を進めるとなると、スターさんたちの過去の栄光が物語の中心にならざるを得ないような……つまり過去および懐かしさ中心に話を展開することになるんじゃないかと推測されるが、こういうふうに懐かしさが物語の中心に鎮座してしまうと、本当に精気が無い抜け殻のような枯れたドラマになるんじゃないかというふうに危惧する。今後精気が盛り込まれるかどうかがこのドラマの唯一の注目点だが、本当のところあまり関心が湧かない。
 キャストは超豪華だし、石坂浩二と浅丘ルリ子の共演なんかもう二度とないだろうから、それなりに見所もあるんだろうが、こんな枯れつくしたような作品が世間に受け入れられるのか、そのあたりは疑問である。「シルバータイムドラマ」などと名うっているんで年寄り向けなんだろうし、初回放送で視聴率が検討していたとか話を聞くが、個人的には大して興味が湧かず、これからも見続けるかどうかはわからない。
★★★

追記:
 ドラマでは登場人物の背景(出演作品とかその人のエピソードとか)がいろいろ出てきて(ほとんどはナレーションで説明される)、こうやって登場人物の背景を設定するのが倉本聰のシナリオ流儀らしく、つまりドラマに直接関係ない人物史を描き、それを随時使うというのが倉本流らしいんだが、これがもうとてもわざとらしくてうるさい感じがするのである。倉本作品を見ると、ときどき居心地の悪さを感じるんだが、おそらくこういうのが原因なんだろうな……ということに今回やっと気が付いた。物語の表に出てこない部分はないことにして良いんじゃないかと思うし、むしろそういう部分の処理の仕方が文学やドラマの醍醐味であり面白さではないかというのが僕の考え方である。

参考:
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『冬の華(映画)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-04-09 07:28 | ドラマ

『赤ひげ』(19)(ドラマ)

赤ひげ 第19回「ひとり」(1973年・NHK)
演出:中山三雄
原作:山本周五郎
脚本:倉本聰
出演:小林桂樹、あおい輝彦、仁科明子、黒沢年男、浜木綿子、小鹿敦、柳生博

落ち着きのある『赤ひげ』

b0189364_20364455.jpg 山本周五郎の『赤ひげ診療譚』のドラマ化作品。『赤ひげ』は過去何度も映画化、ドラマ化されているが、これは72年から73年にNHKで全49回に渡って放送されたドラマで、おそらく『赤ひげ』のドラマ化では最高のものと言えるのではないかと思う。「赤ひげ先生」に小林桂樹、「安本」にあおい輝彦という配役で、奇を衒ったところもなく端正に仕上げられたドラマである。小林桂樹の「赤ひげ先生」もなかなか良いものであるが、どことなく同時期に製作された映画(およびドラマ)『日本沈没』の田所博士を思い出させるような人物像であった。
 脚本は倉本聰だが、ドラマの内容自体は、時代劇でありながら結構現代風。「権利」などという言葉が出てきたりして、思わずツッコミを入れたくなるような部分があちこちにあるが、時代考証を脇に置いて純粋にドラマとして見れば、割合よくまとまっている。『赤ひげ』と言えば黒澤明の映画が思い出されるが、あの映画みたいに気恥ずかしい演出があるわけではないので、安心して見ていられる。
 なおこのNHK版『赤ひげ』だが、実はほとんど映像が残っておらず、唯一公式に残っていたのがこの第19回である。患者が求める限り医者は自分の生活より患者を最優先すべきというテーマの1本で、芸術祭に参加したせいかこの1本だけが残されている。他の作品が残っていないのは、当時カラービデオが貴重だったために消去して繰り返し使ったためだろうと推察されるが、ただ放送された映像を録画したものが一部で残っているらしいので、他の回もそのうち出回るかも知れない。この第19回についてはDVD化もされており、割合目に触れやすいんではないかと思う。
第5回テレビ大賞優秀番組賞、第28回芸術祭優秀賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『それぞれの秋 (1)-(15)(ドラマ)』
竹林軒出張所『「3人家族」と「二人の世界」(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2017-03-04 07:36 | ドラマ

『日曜劇場 幻の町』(ドラマ)

日曜劇場 幻の町(1976年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
出演:笠智衆、田中絹代、桃井かおり、北島三郎、室田日出男

b0189364_8315139.jpg「幻」尽くしのドラマ

 東芝日曜劇場1000回記念ドラマで、同時に評価も高いある意味「幻」のドラマである。田中絹代にとっても最後の主演作で、本人がこの脚本をいたく気に入って、出演に消極的な笠智衆を自ら説得したというエピソードもある。
 戦前樺太の真岡という都市に住んでいた老夫婦(笠智衆、田中絹代)が、記憶を頼りに真岡の地図を作ることをライフワークにしていて、その地図を完成させるため、かつて樺太在住だった知人を訪ね歩く旅をしているという、かなりユニークな背景を持つストーリーである。老夫婦は、小樽にかつての知人の話を聞きにやって来たが、その知人はすでに亡くなり、その肉親の若い女性(桃井かおり)にそのあたりの事情を聞くというシーンから話が動き出す。老夫婦の過去や、若い女性の今の生活、それぞれの思いが絡み合い1本のドラマになるという寸法である。
b0189364_8321636.jpg 老夫婦の人生がテーマなんだろうが、老夫婦がキスするなど話がちょっと妙な方向に進んで、このあたりからあまり共感できなくなっていった。むしろ小樽の若いカップル(桃井かおりと北島三郎)のエピソードの方が、ちょっと『前略おふくろ様』を連想させるようなもので、リアルで面白かった。旅をする老人が若いカップルと関わり合うドラマといえば、山田太一の『冬構え』を思い出すが、テーマのリアルさという点では『冬構え』に軍配が上がる。この『幻の町』は、詩的なというか抽象的な方向に流れすぎて、なんだか訳がわからなくなってくる。ちょっと「幻」みたいなストーリーになっているのは作者の意図だかどうだかわからないが、世評は高くとも、どちらかと言うと(倉本作品にありがちな)やり過ぎで企画倒れの部類に入るドラマのような気がする。
第31回芸術祭優秀賞、1976年度芸術選奨文部大臣賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『冬構え(ドラマ)』
by chikurinken | 2016-12-24 08:33 | ドラマ

『日曜劇場 りんりんと』(ドラマ)

日曜劇場 りんりんと(1974年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
音楽:冨田勲
出演:田中絹代、渡瀬恒彦、原知佐子、黒木進、大滝秀治

b0189364_847113.jpg現代版楢山節考

 倉本聰脚本、北海道放送製作の日曜劇場。
 東京で同居していた(と思われる)老いた母(田中絹代)をフェリーで北海道の老人ホームに送り届ける息子(渡瀬恒彦)の話。母は、少しばかり認知症の症状も出ているようだが、基本的にこの息子、およびその兄弟姉妹は母を老人ホームに入れることには反対で、ずっと同居したいと思っている。ただ母の方が自ら知り合いの老人ホームへの入居を勝手に決めたため、しようがなく母を送ることになったという設定である。
 こういうストーリーから容易に『楢山節考』との類似点が思い付くが、テーマもほぼ一緒で、年老いた親を持つ身としてはものすごく身につまされる。
 この作品を書いた頃は倉本聰自身も若く、主人公の方に近いし、また母親に対して似たような経験を持っているという話なので、あくまでも親を送る側の視点だが、老いに対して非常に厳しい見方をしていると言える。たとえば母親が息子に「私が生きていて良いの?」などとサラリと言うセリフなど、これはやはり子供側の視点としか思えない。子供側にとっては、言われると恐ろしいリアリティのあるセリフかも知れないが、老人側にとっては、思考がそういう方向に行くことは(自分自身が年を取ってきた今となっては)あり得ないように思える。このあたりは山田太一が書いた「老い」三部作(竹林軒出張所『冬構え(ドラマ)』を参照)と同様、老いに対して見方がシビアすぎるように感じる。まだまだ自らの老いを現実的に捉えていない者の見方であるように思う。もちろんだからと言って作品の価値を損なうことはなく、特に送る側のいろいろな思いが濃密に表現されていて、そのあたりは共感できる部分である。このドラマも佳作と言って良い。
 音楽は冨田勲で、『田園交響楽』と同じく、『惑星』風のシンセサイザーを駆使していて、効果を上げている。序盤のシーンは、セリフもなく周囲の雑音だけが流れる(少々うるさく感じるが)というなかなか斬新な音使いも見られる。小野武彦が黒木進という役で登場しているのも別の見所かな(細かったため、気が付かなかったけど)。なおタイトルの「りんりんと」は、三好達治の「乳母車」という詩の一節「轔々と私の乳母車を押せ」から取ったもの(ドラマの冒頭で紹介される)。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『冬構え(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-23 08:47 | ドラマ

『日曜劇場 田園交響楽』(ドラマ)

日曜劇場 田園交響楽(1972年・北海道放送)
演出:守分寿男
原作:アンドレ・ジッド
脚本:倉本聰
音楽:冨田勲
出演:木村功、仁科明子、山本亘、久我美子、下条正巳

音楽が特に目を引くドラマ

b0189364_853117.jpg アンドレ・ジッドの『田園交響楽』を翻案したドラマらしい。『田園交響楽』自体読んだことがないのでよく分からないが、原作にかなり近い話のようだ。
 盲目の少女(仁科明子)が手術を受けて、視力を取り戻すところから話が始まる。彼女の育ての親である牧師(木村功)と妻(久我美子)、息子(山本亘)は、視力を回復した少女を温かく迎えるはずだったが、牧師が少女に抱いていた恋愛感情が視力回復をきっかけとして家族の間で明らかになったため、嫉妬やなんやかんやで家族の間にややこしい問題が起こるというストーリー。
 ストーリー自体はやや大げさで芝居がかっていて、個人的にはあまり好みではないが、1時間ドラマとして考えるとなかなか意欲的な作品ではある。音楽は冨田勲が担当しており、後の同氏の作品『シンセサイザー 惑星』を思わせるようなシンセサイザー音楽が随所に散りばめられていて、こちらも非常に意欲的である。当時冨田はシンセサイザーを購入したばかりで、(このドラマの製作年である)1972年という年はおそらく実際に音楽製作にシンセサイザーを使用できるようになって間もない頃ではないかと思う。冨田勲がシンセサイザー音楽の第一人者であり、彼のごく初期のシンセサイザー作品が使用されたドラマであることを考えると、このドラマは現代音楽史の視点から見ても貴重である。また他に岡林信康の「私たちの望むものは」が随所に流されていて、こちらも目を引く。地味だが、あちこちに見所があるドラマである。ただしやはりストーリー展開は作りすぎの感じがして、あまりいただけない。もっともこれは原作に由来するもののようだが。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ナマ冨田勲が出た!』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-22 08:07 | ドラマ

『日曜劇場 ばんえい』(ドラマ)

日曜劇場 ばんえい(1973年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
音楽:冨田勲
出演:小林桂樹、八千草薫、大滝秀治、中村たつ、中村まなぶ

回想を交えた、とある1日の風景

b0189364_737874.jpg タイトルの「ばんえい」とは、輓曳競馬(サラブレッドではない作業馬が1トン近くの荷橇をひいて、砂地の直線200メートルを走る、北海道独特の競馬)を表す。年老いた作業馬が若い馬たちと競って走る姿に主人公の中年男(小林桂樹)が自身を投影するなど、これがドラマの重要なモチーフとして活用されている。
 主人公は、役所勤めを長年続ける不器用な男で、家庭をないがしろにすることや家族に当たり散らすことを家族から暗に責められ、しかもその後高校生の息子に組み敷かれて、その上妻(八千草薫)に助けてもらうという(本人にとって屈辱的な)経験をして自身の衰えを感じるようになる。その一方で自分の来し方にそれなりの思い入れがあり、それを簡単にないがしろにすることはできない。「まだまだ俺だって」という気持ちが強いのである。そんな男のある1日の話がこのドラマのストーリーで、役所をずる休みして妻と輓曳競馬を見に行くというのがストーリーの柱になる。例によって間にさまざまな回想が挿入されるという、倉本日曜劇場の常套手段が使われる。テーマが明瞭であり、これも佳作と言って良い。
 出演は小林桂樹、八千草薫の他、倉本作品常連の大滝秀治が登場。息子役は中村まなぶという少年である。この少年であるが、どこかで見た顔だと思っていたら、後の中村梅雀であることが判明した。道理でね。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-21 07:37 | ドラマ

『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部』(ドラマ)

日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(1979年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
出演:八千草薫、池部良、下元勉、桜むつ子、大竹しのぶ、佐々木すみ江、三田村邦彦

女は無神経な言葉で男を傷つける

b0189364_18334371.jpg アラスカのアンカレッジに住んでいる中年女性、サエコ(八千草薫)が、アンカレッジ空港でかつての恋人、ゴロウ(池辺良)を見かけ、それをきっかけに再び交流が始まるというストーリー。ただの恋愛ドラマかと思っていたら、2人の過去に確執があったという話。
 第一部、第二部の二部構成になっていて両方合わせると2時間枠になるため、ちょっとした映画と考えることもできる。第一部はほとんどアンカレッジが舞台、第二部はほとんど小樽が舞台になるなど、同じ倉本作品の『ライスカレー』を思わせるような構成である。
 第二部では舞台が小樽に移り、ゴロウがサエコに傷つけられた過去が明らかになる。同時にゴロウの娘(大竹しのぶ)と恋人との関係にも似たような関係性が出てきて、つまるところ女の気安い無神経な言葉がどれほど男を傷つけるかというテーマ(だと思う)に収束していくという仕掛けである。他にも仕事仕事で家族を顧みない、しかも上司の目ばかりを気にする当時の日本人サラリーマンの姿があぶり出されたりもする。
 かつてのメロドラマにつきもののすれ違いもあちこちにあって、恋愛ドラマとしてもそれなりによくできている。バックに流れるブラームスの交響曲3番第3楽章(映画『さよならをもう一度』で使用されたもの)も雰囲気を盛り上げている。偶然に頼り過ぎているのがドラマとしては少々難。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-20 06:32 | ドラマ

『日曜劇場 風船のあがる時』(ドラマ)

日曜劇場 風船のあがる時(1972年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
音楽:坂田晃一
出演:フランキー堺、高橋昌也、南田洋子、原知佐子、大滝秀治

札幌オリンピック5日前の慌ただしくも懐かしい風景

b0189364_8362248.jpgネタバレ注意!
 1972年、札幌オリンピックを5日後に控えた札幌での話。主人公は、札幌オリンピックの開会式で1万個の風船を一斉に上げる役割を仰せつかった市役所の職員(フランキー堺)。元来小心者で完璧主義者であるため、失敗したらどうしようと考えると、心配の種が尽きない。この男には美人の奥さん(南田洋子)がいるが、この男が結婚記念日を忘れしかも仕事にかかりっきりであることから、少しすねて昔の恋人(高橋昌也)と不倫しようなどと突発的に考える。結局はその元恋人に諭されて何事も起こらないが、同時に夫の真摯さにも気付かされることになる。夫の方も、あるきっかけで、仕事に追い回されている自分の姿が比較的客観的に見られるようになり、学生の頃の志を思い出す。こうして夫婦の危機は回避されたが、翌日になると、夫は再び風船の仕事に追い回され走り回るのであった……というようなストーリー。
 このドラマの面白いところは、放送されたのが札幌オリンピック開会の4日前ということで、まさにリアルタイム・ドラマである。また画面にさりげなく出てくる当時の事物、たとえば魔法瓶、けたたましい音で鳴る電話、電話のカバーなんかがあの時代を思い出させる。挿入される音楽も由紀さおりの「生きがい」だったりトワ・エ・モアの「虹と雪のバラード」だったりで懐かしい。もっとも「虹と雪のバラード」は札幌オリンピックのテーマ曲なので、このドラマで流されること自体はまったく自然である。
 ドラマとしてはこぢんまりとまとまっていて、緊張感なく見られる。オリンピック直前ということで、どこかお祭りの前みたいな、あるいは正月前夜の「紅白歌合戦」や「ゆく年来る年」みたいな穏やかな雰囲気も漂う。ふんだんに映し出される札幌の当時の街並み風景もどこか「ゆく年来る年」を彷彿させる。
 音楽担当は坂田晃一で、テーマ曲は1時間単発ドラマと思えないほど素晴らしい曲である。何かの機会に是非CD化していただきたいものである。
1972年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-19 08:37 | ドラマ

『日曜劇場 ああ!新世界』(ドラマ)

日曜劇場 ああ!新世界(1975年・北海道放送)
演出:長沼修
脚本:倉本聰
出演:フランキー堺、南田洋子、藤原釜足、山本麟一、斎藤信和、札幌市民交響楽団

倉本聰の私小説的ドラマ

b0189364_9384248.jpgネタバレ注意!
 放送時にたまたまテレビで一部だけ見て、その後、もう一度見たいとずっと思っていたドラマ。当時、倉本聰のことは一切知らず、当然このドラマが倉本作品であることも知らなかったが、今見てみると非常に質が高くかつ意欲的な、倉本作品らしいドラマであると感じる。
 かつて「東京音連フィルハーモニー」という有名な管弦楽団で打楽器を担当していたある演奏家(フランキー堺)が、人間関係に嫌気がさし仕事を捨てて北海道の田舎町に、これも元楽団員の妻(南田洋子)とともに移住した。田舎に越したは良いが、田舎には田舎なりの嫌な人間関係があり、音楽家としてのプライドもあって、今の生活も決して満足いくものではない……というあたりが話の背景になる。このあたりは、途中少しずつ明かされるわけで、ドラマ自体は演奏会のシーンで始まる。
 ストーリーの続き。先ほどの管弦楽団が札幌で引っ越し公演を行うにあたり、この元演奏家にゲスト出演してくれるよう依頼がある。この演奏家も今の生活に満足していないこともあって、多少の不安はあるが出演を快諾する。何せ演奏される曲はドヴォルザークの新世界で、この演奏家が担当するシンバルは1回しか音を鳴らさない。いくらブランクがあっても大丈夫だろうというハラだ。
b0189364_9402165.jpg ドラマは、新世界の第1楽章から第4楽章まで流れていき、その間に主人公の腹の中が語られ、同時にこれまでのいきさつが回想形式で流れていく。この独白と回想で、現状に対して複雑な感情を抱く主人公の心情、忸怩たる思いなどが痛いほど伝わってくる。倉本聰の面目躍如である。
 この頃、倉本聰は大河ドラマの件でNHKと揉めて、落ち延びるように札幌に移住してきていたときで(竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』を参照)、ちょっと穿った見方をすれば自分の行く末として投影したのがこの主人公ではないかと考えられる。そのためか、そういう切迫感や悲壮感、屈辱感が主人公によって吐露され、これでもかというぐらいこちらに伝わってくる。私小説に近い感覚で書かれたのか、ともかく主人公の心情には非常なリアリティがある。1時間ドラマとは思えないほどの濃密さで、日曜劇場を代表する傑作であると言って良い。
第12回ギャラクシー賞受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-17 09:41 | ドラマ

『日曜劇場 ひとり』(ドラマ)

日曜劇場 ひとり(1976年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
出演:船越英二、大原麗子、山内明

さすが倉本聰、まったく侮れない

b0189364_730204.jpg 国鉄を早期退職することになった主人公がイワナ釣りに行くという、それ自体なんということもないストーリー。最初から最後までイワナ釣りのシーンが続き、その間に、彼の仕事、会社との関係、周辺で起こったことなどが回想形式であぶり出されていく。回想形式といってもほとんどが秘書課のある女性(いわゆるお局様的な人で「キツネ」というあだ名が付いている)との会話で、この会話を通じて主人公のあれやこれやが判明していくというもの。登場人物は、主人公の男(船越英二)、キツネ(大原麗子)、主人公のイメージに登場する死んだ兄(山内明)の3人だけ(他に若干のエキストラ)で、独白劇のようですらある。1時間ドラマであるが内容は濃厚。北海道の森の中が舞台で、いつヒグマが出てくるかわからない状況であるため、魚釣りのシーンで終始するが割合スリリングである。
 これも短編小説のような味わいがある非常に意欲的な作で、さすが倉本聰、まったく侮れない。またこのようなドラマを製作する余裕が放送局にあったこと、このようなドラマを放送する枠がテレビにあったことなども今考えると驚きである。「東芝日曜劇場」は玉石混交で、ごく普通のホームドラマもあれば、何やらやけに意欲的な作品もある。また物足りない作品も割にある(竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』を参照)。b0189364_729517.jpgただこういうハイグレードなものがさりげなく放送され、しかもあまり話題になっていないところに「日曜劇場」の魅力があったのかとも思う。もう一本似たようなテイストの倉本作品に『ああ! 新世界』というドラマがある。これはかつて放送時に見て記憶に残っている作品で、こちらも近いうちに見る予定だが(先日、日本映画専門チャンネルで放送された)、似たような回想形式のドラマだったと記憶している。こういう作品はCSでもかまわないのでどんどん放送してほしいと思う。埋もらせておくのはもったいない。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-16 07:32 | ドラマ