ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

タグ:アニメ ( 7 ) タグの人気記事

『母をたずねて三千里 完結版』(アニメ)

母をたずねて三千里 完結版(1976年・日本アニメーション)
演出:高畑勲
原作:エドモンド・デ・アミーチス
脚本:深沢一夫
場面設定・レイアウト:宮崎駿
キャラクターデザイン・作画監督:小田部羊一
音楽:坂田晃一
出演:松尾佳子、二階堂有希子、信沢三恵子、永井一郎、東美江(アニメーション)

「完結版」じゃなくて「簡潔版」でしょ

b0189364_19190304.jpg 1976年、『フランダースの犬』の後に放送された『カルピスまんが劇場』の1本。なお次の年に放送されたのは『あらいぐまラスカル』。
 監督は『アルプスの少女ハイジ』の高畑勲、場面設定・レイアウトに宮崎駿が参加している。絵のタッチは『ハイジ』に似ている。今回見たものは、元々52話だったものをなんと1時間半に凝縮しているものであるため、ダイジェストも良いところというような作品になっていて、あまりに端折っているため途中わかりにくい箇所も結構あった。もちろん全部あわせて20時間以上のものを1.5時間にするんだから重々承知ではあるが、ホントだったら全部見た方が良いんだろなーとは感じた。
 原作はエドモンド・デ・アミーチスという人のごく短い話だそうで、それを山あり谷ありの冒険談に仕上げたのはアニメスタッフの功績である。ストーリーは波瀾万丈で、もし最初の放送時に目にしていればきっと毎週見続けるだろうと思う。放送時、僕は『カルピスまんが劇場』を一切見ていないんだが、質の高い作品が揃っていて、これについては同時代に生きた者として大変もったいなかったと感じている。
 『カルピスまんが劇場』(今では『世界名作劇場』というらしい)は、その後、自分の子どもが小さいときに何本か再放送されたものを見せ、そのときに僕も一緒に見たため『ハイジ』と『ラスカル』は概ね見ており、『フランダースの犬』もちょっとだけ見ているが、この『母をたずねて三千里』はまったく見ていなかった。タイトルから内容を想像できるということもあるかも知れないが、他の作と比べると知名度が落ちるということも手伝ったような気がする。だが最近、このアニメの音楽担当が坂田晃一だったことを知ってから俄然関心が湧き、それで見ることにしたといういきさつである。とは言ってもさすがに52話全部見るというのはなかなか踏ん切りが付かず、そうこうしているうちにダイジェスト版があることを知ったため、この完結版に手を出したというわけ。
 音楽については、テーマ曲からしてフォルクローレ風にまとめられていて、南米の雰囲気が醸し出される。テーマ曲は、坂田晃一らしくリリカルで魅力的な曲調で、坂田の才能が遺憾なく発揮された見事な作品である。
 映像の方も南米大陸の壮大さ、美しさが表現されていて、大変魅力的。優しい人たちが(不自然でない形で)支援してくれたり、一方で冷たい人たちに主人公があしらわれたりするなど、ストーリーにダイナミズムがあって目が離せない。人の優しさをありがたく感じる良い話が目白押しで、『ハイジ』同様、派手さはあまりないが、心に染みいる良く練り上げられたストーリー。少年少女に見せたくなるようなアニメである。時間があれば通しで全部見たいところであるが、やはり踏ん切りが付かない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『さよならの夏 〜それはルフラン 頭の中で響くの〜』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンがいるかは知らんがやっぱり「ひとさし指」が出た』
竹林軒出張所『昨日、悲別で (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (1)、(2)(本)』
竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (3)〜(7)(本)』

by chikurinken | 2017-04-13 07:18 | ドラマ

『タイガーマスクW』(アニメ)

タイガーマスクW(2016年・東映アニメーション)
演出:小村敏明
原作:梶原一騎、辻なおき
出演:八代拓、梅原裕一郎、三森すずこ(アニメーション)

b0189364_22215895.jpgこれも一種の懐かしグッズ

 夜中に『タイガーマスク』が復活していると聞いて、タイガーマスク世代である僕は早速見てみたのであった。
 主人公がナオトで、その恋人がルリコ。その上「虎の穴」が存在していて、ミスXという女性が虎の穴の代理人をやっているなど、前作との繋がりを示唆させる部分が多いのはポイントが高い。しかも僕が見始めた回ではなんと「覆面ワールドリーグ」などという大会が開催されていて、タイガーマスク世代にとっては感涙ものである。その上、ミスタークエスチョンまで出てきた日にゃ感動を通り越して苦笑である。もっともこんなことを書き連ねたところで、昔の『タイガーマスク』を見たことのない人にとってはちんぷんかんぷんだろうが、要は旧『タイガーマスク』の設定およびキャラクターをかなり意識的に踏襲しているということである。何よりかつての『タイガーマスク』に登場していた、主人公伊達直人の弟分である高岡拳太郎(ケン高岡)が、そのまま老人化して出ていて、しかも新タイガーマスクを育てていたというのだから、まさに『その後のタイガーマスク』である。このケン高岡によって、昔のタイガーマスク周辺のあれやこれやの事情が語られたりするのも良い。
 とは言うものの、このアニメ、かつての『タイガーマスク』のような重さというか救いようのなさがまったくなく、全体を通して結構軽い。お笑い要素もあちこちにあり、しかも現在の新日本プロレスのキャラが出てきて、どこか新日本プロレスの宣伝材料みたいな臭いも漂う。それに(今でも存在している)「虎の穴」が主宰する(のかよくわからないんだが)新しいプロレス団体GWMも、なんだか存在自体がエンタテインメント的で、一方で「虎の穴」は厳しい掟で縛られているなど暗い要素があって、その辺りがどうも整合性が取れていないと感じる。やっぱりあの50年前の世界を現在に持ち込もうとすることに無理があるんじゃないかという気がする。そうはいっても、我々旧世代が見ると、先ほど言ったような要素以外に、懐かしのレッドデスマスクやブラックバイソンがさりげなく登場したりするとちょっとテンションが上がるのである。要するに、一種の懐かしグッズになっているわけだ、このアニメ自体が。
★★★

参考:
竹林軒出張所『虎だ! お前は虎になるのだ!』
竹林軒出張所『ちびっ子レミと名犬カピ(映画)』
竹林軒出張所『追われる日々』

by chikurinken | 2017-04-11 06:28 | ドラマ

『山賊の娘ローニャ』(1)〜(3)(アニメ)

山賊の娘ローニャ(2014年・NHK)
絵コンテ・監督:宮崎吾朗
原作:アストリッド・リンドグレーン
脚本:川崎ヒロユキ
出演:白石晴香、宇山玲加、関貴昭、野沢由香里

この後ちっとは面白くなるんだろうか

b0189364_7301378.jpg NHKで初めて長編アニメーションが放送されたのは1978年。世間にはNHKでアニメなんて……という声もありながら、僕自身もNHKのアニメなんか……と思いつつ、少し放送を見てみただけですっかり虜になってしまった。このアニメこそ、宮崎駿が初めて監督した『未来少年コナン』で、あれから36年経った今、息子の宮崎吾朗がNHKでアニメを作成するという。しかも宮崎駿がかつてアニメ化を望んでいたという『山賊の娘ローニャ』だってんだから、どうしても興味が湧くというもの。
 このアニメは、従来のようにセル画で映像を動かすのではなく、CGでモデリングしたものにアニメ風のマチエールを貼り付けて絵を動かすという新しい手法で作成されている。従来のアニメがアナログならこのアニメはデジタルと言えるものだが、実際に映像を見てみると絵に味がないのが実感される。一見従来のアニメと違うようには見えないんだが、空気が抜けたというか魂が抜けたというか、なんだかあちこちで違和感を感じる。これがデジタルの限界なのか知らんが、これならば従来型のセルアニメの方がはるかに良い。もっとも納期などの制約のためにこれからはCGじゃなければダメということであればそれもまた仕方ないが、いずれにしてももう少し改善の余地はあると思う。少なくともこれじゃあ見るに堪えない。
 また、まだ全26話のうちの3話しか放送されていないが、ストーリーはまるで目を引くところがなく、ここまでまったく面白くない。これが果たして今後面白くなるのかよく知らないが、少なくとも僕はもう見るのをやめようと思う。最初にある程度の盛り上がりを持ってくるのがドラマのミソだと思うんだが。宮崎吾朗作品は、悪くはないが、どれもおとなしくて面白味がないという印象が強い。背負うものが大きいせいかわからないが、それはこの『ローニャ』にも共通していて、もう少しはじけちゃっても良いんじゃないかと思う。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『ゲド戦記(映画)』
竹林軒出張所『コクリコ坂から(映画)』
by chikurinken | 2014-10-23 07:30 | ドラマ

『ちびっ子レミと名犬カピ』(映画)--馬淵晴子追悼--

b0189364_7542646.jpgちびっ子レミと名犬カピ(1970年・東映)
監督:芹川有吾
作画監督:大工原章
原作:エクトール・マロー
脚本:瀬川昌治
音楽:木下忠司
出演:声の出演:朝井ゆかり、フランキー堺、三島雅夫、市原悦子、富田耕生、馬淵晴子、桂玲子、内海賢二

 エクトール・マローの『家なき子』が原作の子ども向けアニメ。1970年春の「東映まんがまつり」で上映されたもの。併映は『タイガーマスク』、『ひみつのアッコちゃん』、『チュウチュウバンバン』で、子どもの頃実際に見に行ったはずだが、『ちびっ子レミと名犬カピ』以外憶えていない。『タイガーマスク』は「覆面ワールドリーグ」の回を劇場で見た記憶はあるが、これがそれだったのかも知れない。『ちびっ子レミと名犬カピ』については、その後も小学校の映画会で見たりしてるんで、今回が3回目か4回目ということになる。
 子ども向けアニメなもので、猿や鳥なんかも人間の言葉をしゃべったりして、その辺はちょっと興ざめなんだが、しかし情景の描写は非常に洗練されていて、映像的にはなかなかのものである。冒頭と最後に『ミッデルハルニスの並木道』(ホッベマ作)の絵が出てきたりして、随所に凝った作りが見受けられる。演出はやや幼稚な部分もあるが、しかし見る側を飽きさせない工夫と考えることもできる。
 声優陣も非常に豪華で、フランキー堺、三島雅夫、市原悦子、馬淵晴子ら俳優陣がプロの声優に混じって互角の演技を繰り広げている。フランキー堺は、声色を変えていて、声を聞いただけでは顔も思い浮かばない。「フランキー堺が参加している」ということを知らなければ最後まで気がつかないんじゃないかと思うほどだ。三島雅夫に至っては、元オペラ歌手の役だったこともあって、「アヴェマリア」まで朗々と歌っているほどである。大したもんだ。
 音楽は木下忠司が担当しているが、全体的にドラマの『水戸黄門』調で、『水戸黄門』の音楽に慣れている者としては少し笑ってしまう(竹林軒出張所『藍川由美「喜びも悲しみも幾歳月 〜木下忠司作品集」(CD)』を参照)。
 音楽でもう一つ驚いたことがあるんだが、主人公のレミと実の母の別れのシーンで、テレビアニメ『タイガーマスク』の最終回に使われていた音楽が出てきた。『タイガーマスク』の最終回はあまりに衝撃的でそのために音楽も記憶しているんだが、あの音楽が突然出てきたんで驚いてしまったが、ネットにも似たような情報が見つかった。存外有名な話だったのかも知れないが、時代的に考えるとこちらの音楽が『タイガーマスク』で流用されていたということらしい。ちなみに『タイガーマスク』の音楽担当は菊池俊輔だが、木下忠司の弟子筋に当たるんで、その辺で何か「使わせてくれ」みたいな話があったのかも知れない。
 ともかく、映画の内容以外にいろいろ見所の多い映画であったのは確かである。もちろん映画自体もなかなか楽しめる良い映画だった。「子ども向け」という注意書きは付くが。
★★★

参考:
竹林軒出張所『空飛ぶゆうれい船(映画)』
竹林軒出張所『藍川由美「喜びも悲しみも幾歳月 〜木下忠司作品集」(CD)』
by chikurinken | 2012-10-06 07:55 | 映画

『へうげもの』(1)〜(39)(アニメ)

へうげもの(2012年・NHK)
演出:真下耕一
原作:山田芳裕
脚本:川崎ヒロユキ
キャラクターデザイン:津幡佳明、山下喜光
美術監督:海野よしみ
出演:大倉孝二、小山力也、江原正士、田中信夫、田中秀幸、鶴見辰吾

b0189364_8301550.jpg 「へうげもの」と書いて「ひょうげもの」と読む。NHKの公式ホームページによると、「ひょうげる」とは「ふざける」「おどける」という意味だという。古田織部(ふるたおりべ)の生き様を表しているらしい。一方で、織部好みの少し歪んだ茶器を「へうげもの」と呼ぶという話も聞いたこともある。原作者がどちらの意図でこのタイトルを使ったのかはわからない。ちなみに原作はマンガで、現在もまだ進行中らしい。つまりこのアニメは話の途中で終わったということになる。
 個人的には、戦国大名、古田織部が主人公という話を聞いてこのアニメに興味を持ったのであって、元々原作マンガの存在も知らなかった。しかしマンガで、数寄者、古田織部を主役に据えるとはなかなか振るってるというものである。織部といえば、茶器の世界でよく名前が出てくるので、日本の美術品に興味のある向きならご存知かと思う。大名としての業績や生き様より「織部焼」や「織部好み」など文化史で名前が通っている人物である。僕自身、古田織部の生涯についてはまったく知らなかったので、このアニメを見てみようと思ったのであった。
 さて、内容はと言えば、全体に剽げたストーリーで、さすがに「へうげもの」だけのことはある。本能寺の変で秀吉が信長を討ったり、千利休切腹時の介錯を古田織部が務めるなど、全体の展開も少しいびつで「ひょうげもの」になっている。もっとも冒頭に「この物語はフィクションで候」というナレーションが入るので、それについてつべこべ言うのは野暮というものである。なお、アニメ版では利休の切腹で終わるが、古田織部はその後も生き延びて、史実ではその後徳川家康に切腹を申し渡されることになるらしい。
b0189364_8303648.jpg 古田織部との関わりで信長、光秀、秀吉、家康、光成、利休などが登場するため、歴史ドラマとして見ても楽しめる。ただところどころ悪ふざけが過ぎる箇所もあり、やり過ぎの感があって正直いただけない。たとえば加藤清正が具志堅用高そのものの風貌だったり(セリフで「ちょっちゅね」を連発する……ちなみに声の出演も具志堅用高!)、伊達政宗が終始歌舞伎がかっていたり(写楽の「大谷鬼次」風)と、遊ぶのは良いんだがちょっとやり過ぎじゃねーの……と感じる。各回のタイトルも少し遊びが入っているが(「カインド・オブ・ブラック」、「カモナ・マイ・聚楽」、「わびスキーが、お好きでしょ。」など)、こちらは凝っていて面白いと思う。要は程度問題ということ。
 また、絵はきれいに描かれているが、アニメとしては動きが少ない。深夜アニメで予算がつかなかったのかも知れないが、そのためもあって全体的に少し安っぽく見えた。ということで、古田織部の歴史的な立ち位置はよくわかったが、アニメとしては少々食い足りない印象が残るという、そういうアニメであった。
★★★
by chikurinken | 2012-02-02 08:31 | ドラマ

『ゲド戦記』(映画)

b0189364_9512651.jpgゲド戦記(2006年・スタジオジブリ)
監督:宮崎吾朗
原作:アーシュラ・K・ル=グウィン
原案:宮崎駿
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
出演:岡田准一、手嶌葵、菅原文太、風吹ジュン、田中裕子、香川照之

 宮崎駿の子息、宮崎吾朗の初監督作品。ちなみに先日見た『コクリコ坂から』(竹林軒出張所『コクリコ坂から(映画)』参照)が第二作目。
 内容は(『コクリコ坂から』とは大きく異なり)SFファンタジーで、ジブリお得意の分野という感じもする。演出もこれまでのジブリ作品を引き継いだようなもので、ジブリ色がよく出ている。宮崎駿監督作品といっても通りそうである。そういうわけで『ラピュタ』や『千と千尋』、『ナウシカ』などを彷彿させるシーンや設定が随所に出てくる。別のプロダクションが作っていたら、パロディかオマージュかと感じるかも知れない。
 ストーリー自体は、比較的ご都合主義的で、一昔前のロールプレイイングゲームみたいにやや安直なものである。宮崎駿作品にたびたび見られる、目を瞠るような意外なキャラクターデザインは残念ながらなかった。ジブリ作品の中では可もなく不可もなくという印象だが、アニメ映画の水準で言えばよくできている方だと思う。
 ただし『コクリコ坂』同様、俳優が声を担当しているのはとても引っかかる。「餅は餅屋」ならぬ「声は声優」でしょ、と思う。手嶌葵以外、ちょっと難ありと感じた(ひどくはないが良くはない)。新人の手嶌葵は意外に良い感じで(ま、セリフが少ないこともあるが)、それについてはちょっと予想外だった。この辺は『コクリコ坂』の長澤まさみと共通する。映像も『コクリコ坂』同様、ジブリらしく非常に美しい。
 『コクリコ坂』同様、ストーリーの物足りなさだけがいつまでも残るのであった(『コクリコ坂』よりははるかにマシではある)。
★★★
by chikurinken | 2011-07-25 09:52 | 映画

『コクリコ坂から』(映画)

b0189364_14365920.jpgコクリコ坂から(2011年・スタジオジブリ)
監督:宮崎吾朗
原作:高橋千鶴、佐山哲郎
脚本:宮崎駿、丹羽圭子
出演:長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、柊瑠美、風吹ジュン、香川照之

 久々のロードショー! といっても別段見たかった映画というわけではなく、時間つぶしで見たのだった。でもしっかり身銭を切ったことだし言いたいことは言わせてもらおうと思う。
 ジブリの映画らしく、背景の美術やキャラクターの動きなどは秀逸で、文句の付けようがない。背景の美術は、背景で終わらせてしまうのがもったいないような詩的なものもある。書き割りだからといって侮れないのだ、全然。
 また音楽もなかなか良い。最初のタイトルバックで『さよならの夏』という主題歌のタイトルが紹介されていたため、もしかして森山良子の『さよならの夏』のリバイバルかと思ったが、まさにそうだった。映画の最後の最後に流され、非常に良い味を出していた。この歌は元々、70年代に放送された同タイトルのドラマの主題歌で、個人的に非常に好きな歌だったんだが、これを手嶌葵が歌っている(ジブリは手嶌葵がお好きなようで『ゲド戦記』に続いて参加)。手嶌葵の歌は、森山良子のように日本語を丁寧に語るようなものではなく、ところどころ空気が抜けるような歌い方で、詞の内容がわかりにくい箇所もあって100%は支持できないが、それなりに独特の色が出ていて悪くない。
b0189364_14562235.jpg これだけ良い材料が揃っていればさぞかし素晴らしい映画になるかと思えばさにあらず。なんだかボヤンとした映画で、もの足りない印象が最後まで続く。そもそも、根本的になぜこういった(低い)レベルの話を、これだけ手をかけてアニメ化しなければならないのかという疑問がずっとつきまとうのである。原作は少女マンガということだが、内容があまりに陳腐で、正直見ていてこけそうであった。互いに恋する少年と少女が、実は血がつながっていたとか言われると、もう結構ですと言いたくなる。この間見た映画(竹林軒出張所『夜のピクニック(映画)』参照)でも同じような設定があったし、『赤い疑惑』の頃からさんざん使いまわされているネタである。そういう安っぽい設定を別にしても、話自体、実に食い足りないストーリーである。どうしてこういうチープな話を宮崎駿が原作としてピックアップしたのか、そのあたりが不思議で、あの人のセンスを疑いたくなる。『耳をすませば』や『おもひでぽろぽろ』で懲りてないのかとツッコミを入れたくもなる。オリジナル作品だと割に水準が高いのに、ホントに不思議だ。
 それからもう一つ、ジブリの映画では、声の担当に声優を使わないで、人気のある俳優を使う傾向がある。保険のつもりなのかもしれない(ファンの集客が見込めるからね)が、今回の映画なんか、主役級がことごとく役者である。正直言ってどの役者も声優としてはまったくなっておらず、声がしっかり出ていないために何を言っているかわからない箇所も多い。また、どの声もハリがなく魅力に乏しい。唯一の例外が主人公の長澤まさみで、こういうことを考えあわせると「長澤まさみって器用だナー」と思う。このあたりも『となりのトトロ』の糸井重里の例や『おもひでぽろぽろ』(あれはひどかった!)なんかで学習してないのだろうかと思う。
 とは言え、音楽(主題歌以外のものも含む)もなかなか面白く、映像が美しくかつノスタルジックなので、見ている分にはなかなか心地良い映画ではあった。劇場で見るのに適していると言える。
★★★

参考:
『コクリコ坂から』公式サイト
竹林軒出張所『ゲド戦記(映画)』

by chikurinken | 2011-07-19 14:37 | 映画