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竹林軒出張所

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『脱ネット・スマホ中毒』(本)

b0189364_7574183.jpg脱ネット・スマホ中毒
遠藤美季著、高原玲漫画
誠文堂新光社

対談形式のネット依存啓蒙書

 タイトルは『脱ネット・スマホ中毒』だが、本書で扱われているのは、厳密に言えばネット・スマホ依存症。
 ネット依存に関連する任意団体の主宰者である著者が、さまざまなネット依存事例を紹介する。全6章構成で、各章ごとに著者+2人が対談し、さまざまなネット依存を取り上げて議論していくという体裁になっている。適宜症例を描いたマンガが挟まれる。マンガの作画は質が高い。
 紹介されるのは、LINEやSNSへの依存、ソーシャルゲーム依存、ネット恋愛の他、ネット依存が原因で家庭が破綻した例、家庭内暴力が引き起こされた例なども取り上げられる。すべて対談形式で読みやすいが、読みやすいという以上のメリットは感じられない。かえってまだるっこしさを感じる部分も多い。
 街で見かける若者たちもスマホをいじっている人間がやたらに多いことを考えると、ネット依存人口は想像以上なのかも知れない。この本に接して特にそういう思いを強くした。親側の感覚から考えると、よく中高生にスマホなんか与えるよなーと思うんだが、自分の子供に訊くとスマホを持っていないのは超少数派なんだそうだ。依存当事者だけでなく、大人の方もスマホについて何も考えていないということがよくわかる。新しいモノがまわりに登場したら、一歩引いてそれについて検討してみるというのも大切なんじゃないかな。
 この本については、正直、内容的にはあまり目新しさを感じなかったが、ネット・スマホ依存の状況が思った以上にひどいということはよくわかった。まわりにネット依存者がいる人なんかは、とっかかりとしてこの本を読むのもアリなんじゃないかと思う。途中、ネット依存度を計測する指標みたいなものもある。
★★★

参考:
竹林軒出張所『失踪日記2 アル中病棟(本)』
竹林軒出張所『実録! あるこーる白書(本)』
竹林軒出張所『ポテチを異常に食べる人たち(本)』
竹林軒出張所『私、パチンコ中毒から復帰しました(本)』

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以下、以前のブログで取り上げたネット依存症関連の本。

(2005年6月19日の記事より)
b0189364_835869.jpgインターネット中毒 まじめな警告です
キンバリー・ヤング著、小田嶋由美子訳
毎日新聞社

 インターネット中毒(依存症)というのはわりと新しい概念かと思っていたが、この本は1998年、つまり今から7年前に出された本だった。
 「インターネット中毒」という言葉はかなりセンセーショナルであるが、実際に依存してしまうのは、チャットとネットゲームがメインらしい。厳密に言えば、「バーチャルリアリティ依存症」という言葉が適切かと思う。
 「インターネット中毒」の問題性は、それまでの生活、つまり仕事上の関係(地位)や家族関係などが崩壊してしまうことだ。チャットを例に取ると、チャットの相手に入れ込んでしまい、家事や仕事をないがしろにするようになる。睡眠時間も削ることで生活パターンも崩壊してしまい、あげくに家族を捨てて家を出るというところまでいってしまう(ケースがある)らしい。こうやって実際にチャット相手(の恋人)と駆け落ちしても、現実の相手は生身の人間であって、チャットを通じて作ったイメージとは当然そぐわないので、その新しい関係も1、2週間で破綻する。結局残ったのは、完全に崩壊した自分の社会性のみということになる。仕事上の関係や家族関係は取り返しがつかないもので、自分にとって一番大事なものだったということにそのとき気付くのである。
 著者は、このような破綻までいくケースは絶対に避けなければならず、そのためにインターネットに依存するのではなく、また完全にやめてしまうのではなく(完全にやめると禁断症状が出て逆戻りするケースが多いらしい)、良い関係を築く(つまり節度を持って使えるようになる)ことが大事であると主張する。
 依存症関連の本は、症例をいろいろ示すのが通例だが、この本もご多分に漏れず、多数の症例が出てくる。また著者自身の経験も紹介されている。チャットに(プチ)依存したことがあるらしい。だが、この本の素晴らしいところは、単なる症例紹介本にとどまらず、処方箋が詳細かつ具体的に示されている点である。しかも、患者が本人の場合、配偶者の場合、部下の場合、子供の場合など、ケースごとに非常に細かく分類されている。著者は、心理カウンセリング業を営んでおり、しかも自身でインターネット依存の相談を受けるホームページを開設しているらしい。本書執筆の動機も、患者を救済したいという欲求から来ているのではないかと思わせるものがある。大変真摯で好感が持てる。
 ネット中毒を早い段階で警告しその処方箋を示した点で、非常に価値のある本だ。
★★★☆

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(2005年6月19日の記事より)
b0189364_7594923.jpgネット依存の恐怖 ひきこもり・キレる人間をつくるインターネットの落とし穴
牟田武生著
教育出版
児童カウンセラーが取り上げた、子どもたちに見られるネット依存症の現実。
結果的に、「こういう現実がありますよ」という紹介程度で終始しているのが残念だ。最後に処方箋も載っているが、間違っていないのかも知れないがなんとなく眉唾な印象だ。全体を通して分析が甘いからだろう。
子どもの問題としてネット依存を取り上げた点で評価できるが、社会問題としてのネット依存という点では、先発の『インターネット中毒』(1998年刊、本書は2004年刊)の方がはるかに優れているし、読み応えがある。
★★☆
by chikurinken | 2014-07-30 08:02 |

ディスクは戻ったけれど

b0189364_9413112.jpg ノート・パソコンのハードディスクは復旧した。現在は、通常の生活に戻っている。
 前も書いたように、事故の4日前にバックアップをとっていたため、ハードディスクの復旧自体は簡単であった。ただ、物資(つまりハードディスク)がなかなか手元に届かず、随分歯がゆい思いをした。
 ハードディスクさえ届いてしまえば後は簡単で、結局ハードディスクの交換作業が10分、データの復旧が1時間半で完了した。放射能汚染でもしていれば話は別だが、一般的なテクノロジーではあんな危険なものは使わないから。ただし、4日分のデータが溶融(消滅)したのは事実で、この間、ホームページにデータを追加したり、少しばかり大がかりな作業を行っていたのだな。ホームページ自体はもちろん「クラウド」であるため変化はないのだが、手元にあるデータ(ホームページ作成ソフトのもの)は古いままで、ということは次にホームページを更新したらなんと古い状態に戻ってしまうのである。というわけで、ホームページを参照しながら、手元のデータを更新しなければならなくなった。ちょっと気持ちが萎えるような作業ではあるが、致し方ない。こちらについては見通しがまったく立っていない。来週以降に着手することになる。
 ハードディスクは、大きい容量のものがどんどん安くなっていることもあり、以前では考えられないような容量のものが考えられないような値段で売られていた。500ギガワット、もとい500ギガバイトの2.5"ハードディスクが6千円弱と来ている。そういうわけで事故前に160ギガバイトだった容量は一挙に500ギガバイトまで増加した。前のハードディスクのときは空き領域が少なくなっていていろいろやりくりしていたが、一挙に増大して、そういう作業とも当分はおさらばである。実は事故前に、空き領域が少なくなったこともあって、ハードディスクの交換は考えていたのだが、なかなか踏み切れず、結果的にそのことがこのような惨事を招くことになったのである。健全な部品を交換して捨ててしまうというのは気が乗らないものであるが、そこらあたりに今回の事故の原因があったと言えるのではないだろうか。
 なお今回SSD(メモリ型のストレージ)も考えたが、価格がまだまだ高価で、容量も大きなものが期待できないために見送った。それに寿命も短いという話であるし。こういった新しいテクノロジーは、十分検証してから採用するのが世の常である。たとえば原子力なんていまだ検証段階の未熟な技術だと思うんだが、こんなに日本中に大量に導入してしまって良いのかというのは常に感じていた。昨夜の地震でも、あちこちの原子力施設に電気が届かないで大変と言うし、地震が発生すると大事故につながりかねないということは、今回のフクシマで十分に実証されたのだ。つまりそういう意味では日本人はある種のモルモットになったことになるんだ。致命的な性格が実証されたんだから、今さら四の五の言うことはないと思うが、東京湾を埋め立てて原発を作ってもいいなどという権力者がいまだに存在して、本当にあの人の知性を(そして品性も)疑ってしまうんだが、そういう人間を支持する人間も多いというんだから、驚きを通り越してただただあきれるしかない。ものごとを学習して反省するというのは人間の特色だと思うんだが、そういう要素を欠いたどうしようもない人間を上にいただいた集団がどうなるか、いまさら言うまでもないような気がするようなしないような。まあ、そういったあんばいの今日この頃である。

参考:
竹林軒出張所『パソコンからレンタルDVDが出てこなくなった話』
竹林軒出張所『DVD換装その後』
竹林軒出張所『暑い夏、俺の相棒はとうとう目を覚まさなくなった』
竹林軒出張所『その後のキーボード問題 -- とりあえず最終章 --』
竹林軒出張所『病気になって初めて健康のありがたみを感じる』
by chikurinken | 2014-07-29 09:44 | 日常雑記

暑い夏、俺の相棒はとうとう目を覚まさなくなった

 パソコンからレンタルDVDが出てこなくなって、その後DVDドライブを入れ替えたのは既報の通り。ところがその後、だんだんキーが認識されなくなり、いよいよ電源キーが効かなくなった。とうとう電源投入ができなくなって、要するにおだぶつ状態。
b0189364_7565671.jpg そういうわけでMacBookのキーボードトップというやつを、ネットで探し回って、アメリカのパーツ屋に発注した。もちろんこれは、キーボード部分のパーツに問題ありと判断しての英断ではあるが、ロジックボードのキー認識部分に問題がある可能性もある。その場合、今回発注したキーボードトップは用なしということになる。ちなみに価格は120ドルで、送料込みで16000円程度。なんだかえらいことになってきた。というわけでしばらくは、パソコン作業は、予備用のデスクトップ・パソコンを使用して行うということになる。実のところ、MacBookにしか入っていない貴重な情報というのが結構あって、しかもこのブログのネタもMacBookに書きためていたのだった。そのためこのブログも当面はあまり更新できないことになる。最近更新作業でちょっと疲れていたし、用もないのにパソコンを使い続けたり、プチ・ネット依存状態だったので、ちょっとリハビリのつもりでパソコンから離れるのも一興である。
 ともかく話は部品が届いてからってこと。

参考:
竹林軒出張所『パソコンからレンタルDVDが出てこなくなった話』
竹林軒出張所『DVD換装その後』
竹林軒出張所『その後のキーボード問題 -- とりあえず最終章 --』
竹林軒出張所『理由なき反抗 MacBook編』
竹林軒出張所『ディスクは戻ったけれど』
竹林軒出張所『病気になって初めて健康のありがたみを感じる』
by chikurinken | 2014-07-28 07:58 | パソコン

『港のマリー』(映画)

b0189364_8532413.jpg港のマリー(1949年・仏)
監督:マルセル・カルネ
脚本:L. シャヴァンス、マルセル・カルネ
出演:ジャン・ギャバン、ニコール・クールセル、クロード・ロマン、ブランシェット・ブリュノワ

ジャン・ギャバンの個性が強すぎ

 これもマルセル・カルネの恋愛ドラマで、主演は『霧の波止場』に続きジャン・ギャバン。
 若い女に心理的に振り回される中年男が主人公で、四角関係みたいなちょっと微妙な関係性が見所。カルネの映画らしく、登場人物の心の機微は割合うまく描かれているが、なんとなく予定調和的な結末になってしまったのが残念な部分。
 ジャン・ギャバンということになると、『望郷』のちょっと裏がありそうな荒くれ男のイメージが常につきまとうんで、この映画の主人公についてもそういう見方をしてしまうが、設定上は一般的な実業家という役柄である。ただし相当な女好きではある。その女好きの習性が、途中から一貫性を欠いてしまうように見えるのも惜しい点ではある。それなりに楽しめる映画ではあるが、正直あまり感じるところはなかった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『霧の波止場(映画)』
竹林軒出張所『嘆きのテレーズ(映画)』
竹林軒出張所『望郷(映画)』
竹林軒出張所『大いなる幻影(映画)』
竹林軒出張所『暗黒街のふたり(映画)』
竹林軒出張所『地下室のメロディー(映画)』
by chikurinken | 2014-07-26 08:53 | 映画

DVD換装その後

 先日の『パソコンからレンタルDVDが出てこなくなった話』の続き。
b0189364_94275.jpg 通販で「ウルトラスリムDVDドライブ for MacBook [GSA-S10N]」(約6,000円)を購入し、DVDディスクが出てこない現在のDVDドライブと入れ替えた。作業自体は、前回のDVD救出作業とほぼ同じで慣れたもんだったが、交換した後、たとえばDVDディスクが筐体に引っかかって出てこないなどという状況になるともう一回解体して作業をやり直しなどということになる。それだけは避けなければならないということで、作業は慎重の上にも慎重を重ねて行わなければならない。ま、結論を言うとおおむね無事に終わって、事なきを得たわけだが、やはりDVDディスクを入れるのが怖いという恐怖感は残っている。二度と出てこないんじゃないかと危惧しながら入れるわけだ。とりあえずはDVDがきちんと認識されて、きちんと排出されるんだが、排出のされ方が前みたいにスムーズじゃないのもこういった危惧に拍車をかける。なんだかギコンギコン鳴るのね。まあ頻繁に使うわけじゃないんでよしとしよう……と自分で自分を慰めることにする。
 実は一番の問題は、ドライブじゃなくてキーボードの方に出てきた。要するにすばやくキーを叩いていると認識しないことがあるというもので、T→EとかG→Eとかの順でキーを叩くと、後ろのEを認識しないことがあるんだな。Eが省略されて入力されないってんじゃなくて、その後一切入力を受け付けなくなるというもので、これははなはだ面倒くさい。
 今ちょっと「システム環境設定」の「キーボード」で「キーのリピート速度」を速めに設定したら多少は改善されたが、これで完全に治るかどうかはわからない。「風が吹けば桶屋が儲かる」式に、妙なところに問題が出てきたわけで、正直わけがわからない。あまりひどいようだとキーボード部分まで交換が必要になるかも知れない。といっても、そもそもMacBookのキーボード部分だけが売られているのかも知らないし、値段も想像がつかない。当分はだましだまし使うような感じなのか。
 実は家の水道管も漏れているようで、こちらも早急に何とかしなければならない。いろいろなものが不調だとそれだけで気分が滅入ってくるという暑い夏の日。せめて体調だけでもきちんとしておきたいものです。皆様もご自愛のほど。

参考:
竹林軒出張所『パソコンからレンタルDVDが出てこなくなった話』
竹林軒出張所『暑い夏、俺の相棒はとうとう目を覚まさなくなった』
竹林軒出張所『その後のキーボード問題 -- とりあえず最終章 --』
竹林軒出張所『理由なき反抗 MacBook編』
竹林軒出張所『ディスクは戻ったけれど』
竹林軒出張所『病気になって初めて健康のありがたみを感じる』
竹林軒出張所『DVDレコーダー、動作を停止す』
by chikurinken | 2014-07-25 09:05 | パソコン

『霧の波止場』(映画)

b0189364_8105557.jpg霧の波止場(1938年・仏)
監督:マルセル・カルネ
脚本:ジャック・プレヴェール
出演:ジャン・ギャバン、ミシェル・モルガン、ミシェル・シモン、ロベール・ル・ヴィギャン、ピエール・ブラッスール

ペペルモコ・カルネ風

 『天井桟敷の人々』の監督マルセル・カルネと脚本家ジャック・プレヴェールのコンビによる恋愛映画。主演はジャン・ギャバンで、相手役はミシェル・モルガン。
 内容はと言うと、波止場一帯を舞台にした数日間の話。ストーリー展開に少々複雑な部分があり、しかも途中までそれが隠されていたりするため、わかりにくい箇所はあるが、それなりに良く工夫されたストーリーではある。ただし途中から『望郷』とそっくりな展開になってきて、『望郷』と一緒じゃねーかと突っ込みを入れたくなるほどである。ある批評によると、『望郷』とこの『霧の波止場』がジャン・ギャバンの代表作ということだが、この2作、舞台と設定を変えた以外はほとんど共通である。主人公の男の性格なんかもかなり似ている。マルセル・カルネとジャック・プレヴェール、この映画の前年に公開された『望郷』にかなり影響されたと見える。だがこれだとほとんどパクリのレベルと言って良い。そういう点では不満だが、そうは言ってもエンタテイメントとしてはよくできていて、それなりに楽しめるというのもこの映画の特徴ではある。登場人物がそれぞれ非常に濃いのもとても良い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『望郷(映画)』
竹林軒出張所『港のマリー(映画)』
竹林軒出張所『嘆きのテレーズ(映画)』
by chikurinken | 2014-07-23 08:11 | 映画

『舞踏会の手帖』(映画)

b0189364_8211958.jpg舞踏会の手帖(1937年・仏)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:アンリ・ジャンソン
出演:マリー・ベル、フランソワーズ・ロゼー、アリ・ボール、フェルナンデル、ルイ・ジューヴェ

名画だが……微妙……

 富豪と結婚してその夫と死に別れた30台の美女が、かつて舞踏会デビューのときに彼女に言い寄った男たちを20年ぶりに再訪するというストーリー。訪れる男は都合7人+1人で、オムニバスみたいな形式になっている。
 20年経てば男たちも随分変わっており、成功したり落ちぶれたりとまあいろいろである。当時の社会情勢を反映しているようでもあるが、正直あまり感じるところはなかった。一種の同窓会ドラマで、それ以上のものがあるのかは疑問。
 同窓会ドラマなんかを見たりすると、そう言えば自分の同級生(特に女性)たちはどうしてるだろうなどと考えるものだが、この映画のように金持ちになった昔の知り合いの女が突然自分のところに訪ねてくるという状況は、自分には置き換えたくない設定である。本当にこういう状況が起こったとしたら、そういう女の高慢さが鼻について、あまり愉快な気分にはならないんじゃないかと思う。映画を見ているときも、出てくる男たちのみじめさを感じる以上に、主人公の高慢な動機や態度に気分の悪さを感じる。正直言ってストーリーもさして面白いと思わなかった。また、この映画、見るのは二度目であったにもかかわらず、途中何度も眠気に襲われたことを付記しておく。
★★★

参考:
竹林軒出張所『にんじん(映画)』
竹林軒出張所『地の果てを行く(映画)』
竹林軒出張所『望郷(映画)』
by chikurinken | 2014-07-22 08:23 | 映画

『少年H』(映画)

b0189364_859312.jpg少年H(2012年・『少年H』製作委員会)
監督:降旗康男
原作:妹尾河童
脚本:古沢良太
出演:水谷豊、伊藤蘭、吉岡竜輝、花田優里音、小栗旬、早乙女太一、原田泰造、佐々木蔵之介、國村隼、岸部一徳

戦後豹変する大人への不信感が
よく伝わってくる


 30年ばかり前に文庫版の『河童が覗いたヨーロッパ』と『河童が覗いたインド』を読んで、著者のユニークさに感心したものだが、この著者、妹尾河童が後に『少年H』という自伝的小説を書いて、それが大ヒットしたのはまだ記憶に新しいところ。この『少年H』がこの映画の原作である。
 本作で描かれるのは、少年時代の著者が見た、戦前、戦中、戦後の社会であり、混乱する戦後社会で自立を図る少年(つまり著者の反映なんだが)の(少年としての)生き様である。
 洋服の仕立屋をする父が非常にリベラルで開明的な考え方の持ち主であったため、戦中、いろいろと地域の人々や憲兵から嫌がらせを受けるが、この父は「いずれ戦争は終わるんだからなんとかそれまで我慢して生き延びるべき」と家族に説く。このあたりチャン・イーモウ監督の中国映画『活きる』(以下の過去の記事を参照)を彷彿させるセリフで、社会や政治がどうなろうとも、その中で生きる庶民には直接的に関係なく、ただ悪い影響を受けないよう、静かに生き続けるしかないという考え方は、いい歳になった現在の自分には十分共鳴できる。映画で描かれる、急速に国粋主義化する社会情勢は、今の情勢とシンクロしているようにも感じられるが、いずれことが起こったときは、彼らのように自尊心を持って静かに生きなければならないと思う。
 映画は、非常に豪華なセットが印象的で、当時の町の風景が見事に再現されている。父役の水谷豊、母役の伊藤蘭も好演で、それに主人公を演じた吉岡竜輝も無難に役をこなしている。顔が妹尾河童に似ているのも良い。演出も必要以上に過剰な要素はなく、至って正攻法。全編ややダイジェスト的ではあるが、戦争が終わって態度を豹変させる大人たちへの不信感や嫌悪感がうまく表現されていて、当時の子どもの目から見た大人たちのイメージがよく伝わってくる演出になっている。なかなか渋い一作である。なお監督は、『駅 STATION』の降旗康男である。
★★★☆
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 以下は、以前のブログで紹介した『活きる』の評の再録。

b0189364_912615.jpg(旧ブログ2004年7月25日の記事より)
活きる(1994・中)
監督:チャン・イーモウ
原作:ユイ・ホア
出演:グォ・ヨウ、コン・リー、ニウ・ベン、グオ・タオ、ジアン・ユー

 チャン・イーモウの映画にはほとんどはずれがない。この映画も例外ではなく、激動の近代中国を生き抜く家族を、すばらしい映像で追っている。
 今、むちゃくちゃな行政が支配する日本に住んでいて、世の中がどう変われば良いか考えることが多いのだが、実際のところ個人の力で世の中が変わるものでもないのだ。つまり残された道は、どんなひどい世の中になってもなんとか生き抜くことで、それしかない。
 この映画では、まさにそのことを痛切に訴えている。周辺の状況が悪化し不幸が続いても、そこここに小さな幸せがあるものだ。「生きる」ということはまさにそういうことで、そのことを実感することが「活きる」ことになるのだろう。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『鉄道員(ぽっぽや)(映画)』
竹林軒出張所『単騎、千里を走る。(映画)』
竹林軒出張所『関ヶ原参戦の記(後編)』
by chikurinken | 2014-07-21 09:00 | 映画

パソコンからレンタルDVDが出てこなくなった話

 以前、DVDレコーダーからDVDが出てこなくなって往生した話を書いたが(竹林軒出張所『DVDレコーダー、動作を停止す』参照)、今度はパソコン(MacBook)に付いているDVDドライブのトラブルの話。しかも前回恐れていた「レンタルしたDVDが入ったまま壊れて取り出せなくなったら」というあのケースが起こった。なおかつ、それが、いかがわしいラベル写真が付いたいかがわしいDVDというおまけ付きである。よりによって。
b0189364_18301441.jpg 僕のMacBookは2006年モデルで、すでにあちこちガタが来ているわけだが、よりによってDVDドライブが、しかもレンタルDVDが入っている状態で壊れるなどとは誰が予想できようか、いやできはしない。どういう症状かというと、例によってウイーンと鳴ってDVDを吐き出そうとするんだが何かに引っかかってまた中に引き込まれてしまうという、出そうで出ない糞詰まり状態なんである。ちなみにDVDドライブは、スロットローディング式で、トレイ式だと穴にピンを押し込んで無理矢理開けるという芸当もできるが、スロットローディング式だとこれはもういかんともしがたい状態になる。筐体の出口に引っかかっている可能性があるが(これは以前、別の機種で経験済み)、何をどうしても出てこないんだからどうしようもない。
 出てこないDVDがレンタルものであるため、返却期限が設定されていて、遅れれば遅れるほど課金されていくことになる。それにこれを修理に出すわけには行くまい。なんせ、いかがわしい写真が付いたDVDと来ている。恥ずかしすぎ。かくなる上は自ら分解して、摘出するしかあるまいということになり、開腹手術に及ぶことになった。ともかくこのパソコンの中身がどういう構造になっているかさえわかれば、手間はかかったとしても意外に何とか解体できるものである(ただし工具は必要)。とりあえずネットで同じ機種のマックの開腹方法を探すと、あちこちで見つかったんで、それを参考にした(たとえば『MacBook Core 2 Duo Optical Drive Replacement』などが良いかと)。
 今回のMacBookは初めての分解なんで、正直少々緊張したが、やらないわけにはいかない。絶対に負けられない戦いがそこにはある……というわけで意を決して決行する。実際にやってみた印象としては、小さいネジがやけに多いということぐらいで、難易度はそれほど高いわけではない。前に分解したiBookは、これとは比較にならないほど面倒だった。とにかく丁寧に順を辿っていけば何とかなるレベルで、iBookと違って途中で途方に暮れるようなこともない。で、無事にDVDドライブまでたどり着き、DVDドライブを摘出することができた。
 さてここからが未知の領域になる。DVDドライブの解体の仕方を伝授しているサイトは見つからなかったため、ともかく外観から見て、これを外したら解体できそうというネジを見つけ、とりあえずネジを3個外す。ネジを外した状態でドライブのフタ部分をいじくっているうちに構造がだんだん読めてきて、そのままスライドしたら無事フタがはずれ、件のDVDが露出してきた。DVDのラベルにも露出したなまめかしい姿が付いているんで、二重露出ということになる。DVDは、中心部のコア部分にはめ込まれていただけだったので、そのままパコンと外して無事救出成功と相成った。DVDが無傷だったのも幸い。
 DVDドライブはそのままフタをネジ留めして、後は解体手順とまったく逆の手順でMacBookを組み立てる。このあたりも特に難しい箇所はない。組み立て完了後、動作を確認したところ、幸い以前と同じように動作を始めた。ホッと一息の瞬間である。というわけで、万事うまく行ったことになる。DVDドライブについては、さすがにもう1回DVDを入れようという勇気が無いので正常に動作するかどうかは確認できないが、いずれ新しいものと交換しようと思っている。
 何にしろ、こうして私の1日は、パソコンとともに暮れていったのだった。なんだかすごい無駄なことで一生を過ごしているんじゃないか……と感じたりする夏の午後だった。

参考:
竹林軒出張所『DVDレコーダー、動作を停止す』
竹林軒出張所『暑い夏、俺の相棒はとうとう目を覚まさなくなった』
竹林軒出張所『その後のキーボード問題 -- とりあえず最終章 --』
竹林軒出張所『理由なき反抗 MacBook編』
竹林軒出張所『ディスクは戻ったけれど』
竹林軒出張所『病気になって初めて健康のありがたみを感じる』
by chikurinken | 2014-07-19 18:37 | パソコン

『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』(本)

b0189364_14453493.jpg米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす
マシュー・アムスター=バートン著、関根光宏訳
エクスナレッジ

『英国一家、日本を食べる』とは
直接関係ないようだ


 『英国一家、日本を食べる』の続編かと見まがうようなタイトルの本で、同じ時期に同じような本を同じようなタイトルで出してしまった本。少なくとも日本語タイトルは後発のこちらが変えるべきじゃないかと思うがいかが? ちなみに原題は『Pretty Good Number One: An American Family Eats Tokyo』。
 著者は、日本食大好きなアメリカ人フード・ライターで、家族で1カ月間、東京中野に滞在し、その際にあちこちで食べ歩きをした。そのときの見聞記が本書である。トライする食べ物は『英国一家』と多少違い、B級というか、焼き鳥やお好み焼き、鍋物、麺類など、日本人にとって馴染みの多いものが多い。特に居酒屋がお好みらしく、居酒屋についての記述が多い。全26章に渡って、外国人が見て味わった東京(およびその周辺)の食べ物が紹介されていくが、『英国一家』が伝統的なものも含めた日本の食文化にアプローチしていたのとは対照的である。とは言え、文章のタッチなどは似た部分もあり、タイトル同様、類似点の方が目に付く。そうなると、どうしても『英国一家』の二番煎じみたいな印象を持たれてしまうんじゃないかと思う。やはりせめてタイトルくらいは別のものにしといた方が良かったんじゃないかと思うが。内容についてはは非常に面白く、十分に楽しめる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『英国一家、日本を食べる(本)』
竹林軒出張所『英国一家、ますます日本を食べる(本)』
by chikurinken | 2014-07-18 14:46 |